音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2020年10月27日
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テーマ: 洋楽(3405)
華やかな“全盛期”の集大成作


 ピーター・グリーン擁する活動初期にはブルース・ロック色の強かったフリートウッド・マック(Fleetwood Mac)は、1970年代半ば以降、ポップでソフトなロックへと路線を明確に変え、『噂』(1977年)、『ミラージュ』(1982年)などといったヒット・アルバムを世に送り出した。

 こうした“全盛期”のメンバーで臨んだ5枚目(バンドとしては通算18枚目)のアルバムが、1987年発表の『タンゴ・イン・ザ・ナイト(Tango in the Night)』であった。その内容をひとことで表すならば、この時までのバンドの10数年の方向性を集大成したアルバムになったと言えるように思う。実際、リンジー・バッキンガムは、本盤リリース後にバンドを脱退している(その後、1997年に復帰し、2018年まで再在籍)。

 注目したい曲としては、まず1.「ビッグ・ラヴ」や7.「リトル・ライズ」が挙げられる。前者はリンジー・バッキンガム、後者はクリスティン・マクヴィー(名前がマクヴィーのままだが、この当時には既に再婚しており、この7.の共作者エディ・キンテラがクリスティンの夫である)がヴォーカルを務めている。他にもいくつかの曲がシングル・リリースされたが、これら2曲は全米・全英ともに10位圏内にチャートインした。同じくクリスティンの3.「エヴリホエア」も好曲で、全英のシングルチャートで4位を記録している。さらに、9.「ウェルカム・セーラ(ウェルカム・トゥ・ザ・ルーム…セーラ)」は、スティーヴィー・ニックスのナンバーで、コカイン中毒のリハビリ施設での体験を歌にしたものとのこと。あと、注目しておきたいのは、10.「ミッドナイト・ラヴ(イズント・イット・ミッドナイト)」。筆者の贔屓目も入っているかもしれないけれど、クリスティン・マクヴィーのカッコよさが光るナンバーだと思う。

 ありきたりなまとめ方にはなってしまうが、このフリートウッド・マックの“全盛期”のよさは、やはり3人のヴォーカル体制が肝だったという風に思う。リンジー・バッキンガムのポップで洒落たセンス、スティーヴィー・ニックスの妖艶な魅力、クリスティン・マクヴィーの地道で優れた力量が絶妙のバランスで混じり合っていた。結局、本盤は全米で最高位7位、全英で1位となり、『噂』に次ぐこのバンドのビッグ・セールスを上げたアルバムとなった。余談ながら、筆者は本作のジャケットがなかなか気に入っている。ブレット・リヴィングストーン・ストロングというオーストラリア出身のアーティストによる作品なのだけれど、怪しさと明るさが同居する不思議な絵だったりする。


[収録曲]

1. Big Love
2. Seven Wonders
3. Everywhere

5. Tango in the Night
6. Mystified
7. Little Lies
8. Family Man
9. Welcome to the Room…Sara
10. Isn't It Midnight
11. When I See You Again
12. You and I, Part II

1987年リリース。




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Last updated  2020年10月27日 03時59分34秒
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