音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2021年06月25日
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派手さはないものの、着実な前進を示す1枚


 1984年にEl Tri(エル・トリ)としてデビューして、4枚目のアルバムとなったのが、1987年発表の『オトラ・トカーダ・マス(Otra tocada más)』である。デビュー以来のスタイルを維持しつつ、前作( 『エル・ニーニョ・シン・アモール』 )からの流れを受け継いでの社会的な内容の詞の曲が目立つ。

 全体としては、前後の諸作ほどの派手さはないかもしれない。その理由は、上述した通り、社会的内容の曲が多いことにあるような気がする。この傾向は、1990年代へと続いていくわけだが、世の不正などを歌にするのは、時に命懸けに近いものがあったのではないだろうか(1994年には大統領候補が暗殺されたり、21世紀になってからも、麻薬組織がらみで政治家が殺されるのがメキシコ社会だったりするのだから)。

 さて、本盤で注目したいナンバーとしては、まずは、2.「ノシーボ・パラ・ラ・サルー」。アルコール飲料に書いてある“健康を害する恐れがあります”というセリフがタイトルになっている。実際のところは”愛は”が主語なのだけれど、こんな表現を表題にするあたり、1980年代当時のとりわけ地方でのアルコール中毒問題が背景にあったということだろう。6.「エル・ブギー・デ・ラ・シーダ」も時代を反映した曲。演奏だけを聴くと、確かにブギー調のナンバーなのだけれど、詞の内容はというと“シーダ(SIDA)”(英語では“エイズ(AIDS)”)をテーマにしている。8.「サラ」は、本盤発表の数年前に逮捕された麻薬王(ラファエル・カロ・キンテーロ)のオンナだった女性の名が曲名になっていて、インパクトのあるナンバーである。最後に、9.「カセータ・デ・コブロ」は、筆者的には本盤の中で特にお気に入りの曲。タイトルは、”(高速道路の)料金所”の意味で、本盤ではアルバムを締め括る曲となっているが、翌年にリリースされたバンド初のライヴ盤(過去記事は こちら )では、オープニング・ナンバーとなっている。


[収録曲]

1. Otra tocada más
2. Nocivo para la salud

4. Seguro de vida
5. El maldito ritmo
6. El boogie del SIDA
7. Lágrimas en la lluvia
8. Sara
9. Caseta de cobro

1987年リリース。




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Last updated  2021年06月25日 12時45分50秒
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