音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2021年09月04日
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大ブレイク前夜のセカンド作


 ボン・ジョヴィ(Bon Jovi)は、1986年発表の 『ワイルド・イン・ザ・ストリート(原題はSlippery When Wet)』 が爆発的なヒットとなり、一気にスターダムにのし上がった。けれども、1984年にデビューしてから同作がヒットするまでの間は、時代を先取りしつつも、いまひとつセールスに恵まれなかった。そんな彼らのセカンド作が1985年リリースの『7800°ファーレンハイト(7800° Fahrenheit)』である。“華氏7800度”を意味するこの表題は、“岩(=ロック)を溶かす温度”なのだとか。

 本盤の特徴はというと、時代の先取りと若さ爆発の演奏の二点にあると思う。時代の先取りというのは、新時代のハードロック、つまりはポップな部分も含めて広い聴衆に訴えかけ得るハードロックのサウンドという点に他ならない。若さ爆発というのは、実際に彼らが若かったのはもちろんなのだけれど、演奏やアレンジの物足りない部分(次作ではここが大幅に進歩したからこそのヒットだったと言えるだろう)も含めて若さがはじけていると思う。特にヴォーカルのジョン・ボン・ジョヴィの若々しいはじけっぷりがいい。

 注目したい曲としては、まず1.「恋の切り札(イン&アウト・オブ・ラヴ)」。この後のバンドの快進撃の中で見られる演奏や曲調の得意パターンが詰まった1曲である。4.「キング・オブ・ザ・マウンテン」は、粗削りな部分はあるものの、個人的にはその当時かなり斬新な印象を受けた曲。テンポを落とした5.「サイレント・ナイト」は、有名クリスマス曲(「きよしこの夜」)ではなく、ジョン・ボン・ジョヴィのオリジナル曲。ジョンのヴォーカルのよさの片鱗がうかがえる好曲だと思う。6. 「TOKYO ロード」 は、“サクラ、サクラ…”のイントロから始まるもので、日本のファンにはおなじみのナンバー。早くから応援してくれた日本のファンには、前年のロック・フェス来日に続き、このアルバムが発売された直後にも単独公演を日本で行った。7.「ハーデスト・ナイト」は、いかにもこの頃の産業ロック方面で受けそうなナンバー。シングル・ヒットに結びついてもよかったんじゃないかという気がするのだけれど、なぜだかアメリカではチャートインすらしなかった(全英では68位)。

 ボン・ジョヴィの完成形を見たい人には、第三作以降を勧める。この見方に世間の大きな異論はないだろう。けれども、その元の姿がどんなものだったのか、トップ・バンドに上り詰めた彼らの形成過程はどうだったのかという意味では、このセカンド作やそのファースト作を後聴きで試すというのも面白い体験になると思う。


[収録曲]

1. In & Out of Love

3. Only Lonely
4. King of the Mountain
5. Silent Night
6. Tokyo Road
7. The Hardest Part Is the Night
8. Always Run to You
9. To the Fire
10. Secret Dreams

1985年リリース。




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【輸入盤】7800 Fahrenheit (Ltd)(Rmt)(Sped) [ Bon Jovi ]


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Last updated  2021年09月04日 09時26分24秒
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