音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2021年10月09日
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テーマ: Jazz(1968)
カテゴリ: ジャズ
名脇役的ドラマーが実は主役であることを示す盤


 アート・テイラー(Art Taylor)もしくはアーサー・テイラー(Arthur S. Taylor Jr.)は、1929年生まれのジャズ・ドラム奏者で、1995年に65歳で没している。モダン・ジャズの“名脇役”として数多くのセッションに参加しているが、決してリーダー作は多くない。そんな中で、代表的な盤の一つと言えそうなのが、1960年にブルーノートへの吹き込みとしては唯一のリーダー作となった『A.T.ズ・デライト(A.T.’s Delight)』である。

 トランペットのデイヴ・バーンズ、テナー・サックスのスタンリー・タレンタインがフロントを務め、コンガのカルロス・“パタート”・バルデスも複数の曲で参加している。実際に本盤を聴いてみれば、これらの楽器の存在感が大きい。そのことは、言い換えると、リーダーたるドラム奏者の存在感はどうなのかということにもなる。正直なところ、本盤ではドラムスが他の楽器に比べて特段目立った存在感を示しているという感じがしない。

 とはいえ、本盤のリーダーは、ドラムスのアート・テイラーである。全体としてみれば、アート・テイラーの存在感はドラムスではないところにより感じられると言っていいように思う。演奏全体のバランスをとり、メンバーの演奏を下支えするといった意味でのリーダーだったのではないだろうか。DJやライターもしていたというアート・テイラーだが、自らが目を引く演奏の主役としてリーダーを務めるのではなく、“下支え的リーダー”という役割を見事に全うした作品と言えるようにも思う。

 個人的な好みとしては、1.「シーダス・ソング・フルート」や2.「エピストロフィ―」がまず挙げられる。トランペットやテナーの存在感が大きくて、上述の通り、ドラムスの演奏自体は脇役的であるものの、これこそが、アート・テイラーの目指した姿という風に感じられる。他には、4.「ハイ・シーズ」や6.「ブルー・インタールード」のようないかにもモダン・ジャズですといった趣は本盤の重要な特徴なのだけれど、敢えて別の曲に着目しておきたい。

 5.「クークー・アンド・フンジ」は、とりわけコンガの存在感が大きく、面白いナンバーだと思う。普通に考えれば、コンガの存在感を増せばドラムスの存在感が低くなる可能性もあり躊躇しかねない。けれども、ドラムスの演奏でリーダーの存在感を出そうとするわけではなく、作品全体のコーディネーターとしてやっぱり彼がリーダーというまとめ方の結果が本盤だったということは、こんなところにも反映されているのかなと思うとなかなか興味深いように思う。


[収録曲]

1. Syeeda's Song Flute
2. Epistrophy

4. High Seas
5. Cookoo and Fungi
6. Blue Interlude


[パーソネル、録音]

Art Taylor (ds)
Dave Burns (tp: 5.を除く)
Stanley Turrentine (ts)
Wynton Kelly (p: 5.を除く)
Paul Chambers (b)
Carlos "Patato" Valdes (conga: 2., 3., 5.)

1960年8月6日録音。





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Last updated  2021年10月09日 17時29分59秒
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