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February 18, 2006
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 ぼくはコンビニで、本日の夕飯を買おうとしていた。今日も夜遅い。適当なものでいいから腹に入れてしまおうと思って、カップラーメンの棚の前に立った。

 醤油ラーメンと、塩ラーメン。パッケージの写真を眺めたが、どちらもそれなりに旨そうな顔をしている。どっちでもいいのだが、どっちかに決めなくてはならない。今日の気分は、さてどっち?
 ぼくがそういうふうに迷っていると、急にそばから声がした。
「もしもし、お兄さん」
「あ、・・・はい?」
 ぼくのことだった。ぼくの左手に、得体の知れない男が立っていた。男は黒ずくめで、教会の神父みたいな格好をしていた。しかし、変な形のサングラスをかけているので、怪しいやつとしか言いようがなかった。
 ぼくはもちろん、怪訝な顔で男を見た。
「なんですか」

「え、はぁ」
 男は口元に笑みを浮かべて、ただぼくの様子をじっと眺めている。なんですかと言っても、答えない。「選んでいるんですね」以降、全く口を開く様子がないので、ぼくは気味悪くなって、さっさと店を出ることにした。
 まあこれでいいかと、醤油ラーメンの方へ手を伸ばしたところ、男は再び口を開いた。
「これはとても重要な選択ですよ」
 ぼくはびくっとして動きを止めた。
「非常に重要な選択です。それで、いいんですね」
「いいんだよ!」
 弱った。ヘンなやつに捕まった。ラーメン選ぶのに重要も何もあるか。ぼくはどうしようもなくて、不機嫌な声でちょっと返事をすると、醤油ラーメンを棚から取った。重要なんて言われたからか、一瞬、塩ラーメンが脳裏をよぎったのだが。男は、表情を変えることなく立っている。
 ぼくはレジへ行く。店員に醤油ラーメンを差し出して、会計を待った。すると、ぼくの後ろを通って、さっきの男が出口へ向った。そして去り際、こんな風につぶやいた。
「君の選んだほうは、最悪の結果です。選ばなかったほうは、最善の結果でしたが。選択は、それ以外にも沢山あったのですよ」
 振り向くと、そこにはもう男の姿はなかった。

「うー、寒いっ!」
 ぼくは、変な気分を紛らわせるように、声を出した。
 商店街を歩いて、自分の部屋へ帰る。人通りは少ない。
 空には、火星かなにかの星が、明るく光っていた。
 部屋に帰って、カップラーメンにお湯を入れ、テレビを点ける。もうそろそろ3分経ったかな、と、ぼくが割り箸を割ってふたを開けたとき、テレビのニュースキャスターが言う。

 ぼくはブラウン管に映る映像をのんびり眺めながら、ラーメンをすすった。
 こんなこと、もちろんよくあることだが。









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Last updated  February 19, 2006 12:35:08 AM
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