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(小川慎一)
上映が禁じられたのは「In-Mates」(約26分)。1930~40年に都内の精神科病院に入院していた朝鮮人2人の診療記録を基に、ラッパーで詩人の在日韓国人FUNIさんが当時の彼らと今の在日韓国人が抱える葛藤や苦難を表現。在日朝鮮人の歴史を専門とする外村大(とのむらまさる)・東京大教授から「日本人が朝鮮人を殺したのは事実」と説明を受ける場面がある。
都内で会見した飯山さんによると、11月末までの会期中に映像の上映とトークイベントを計画。 だが6月、都人権部からプラザを運営する都人権啓発センターに、上映とイベントを禁じる通知があった。 「障害者と人権」という企画趣旨から外れていたことや、FUNIさんの歌詞に朝鮮人への暴力的な表現「ヘイトスピーチ」と受け止められかねない部分があると問題視された。
ただ、飯山さんは直接の原因は、朝鮮人虐殺に触れたことだと感じている。飯山さんやセンターの中村雅行事務局長によると、通知前の5月、 都人権施策推進課職員がセンターにメールで、外村教授の発言に触れ「都ではこの歴史認識について言及していない」と指摘。 朝鮮人犠牲者の追悼式典に知事が追悼文を送つていないことを示し「朝鮮人虐殺を『事実』と発言する動画を使用することに懸念がある」と伝えたという。
飯山さんは都人権部との話し合いを求めてきたが、一度も実現せず、映像作品の編集を提案したものの、受け入れられなかった。
飯山さんは 「この問題は小池知事でなければ起きなかったのではないか。追悼文を送らない態度は歴史の否定、差別の扇動だと考える」 と指摘。「人権プラザという場所で危なそうだから止めるという判断ではなく、上映する対策を考えてほしかった」と話した。
◆知事の歴史認識に配慮のメール、都人権部認める 忖度は否定
関東大震災時の朝鮮人虐殺に触れた映像作品の上映を東京都が認めなかったことについて、都人権部は28日、上映禁止の理由を「精神障害者の人権という(企画展の)趣旨に沿わなかった」と強調し、小池百合子知事への忖度を否定した。一方で、人権施策推進課の職員が小池知事の歴史認識に配慮するメールを、都人権啓発センターの担当課に送っていたことは認めた。
都人権部の担当者は「職員は朝鮮人虐殺が歴史家の見解が分かれる史実だと意識し、内容を確認する意味でメールを送った。 映像を採用するかしないかに都知事は関係なく、(都知事という言葉は)必要ない表現だった 」と釈明した。
小池知事は同日の定例会見で、朝鮮人虐殺への認識について、「東京で起こった大きな災害と、それに続くさまざまな事情で不幸にも亡くなられた方の例があり、その全ての方々に哀悼の意を表することで私自身は対応してきた」と述べた。
(加藤健太)
◆都の対応問題あり
志田陽子・武蔵野美術大教授(憲法・芸術関連法)の話
判例によれば、検閲は、民間人が自発的に行おうとする表現活動を、行政権力が審査・禁止することを指す。今回は東京都の関連事業で、法的には検閲と言えない。しかしアーティストと進めた企画を覆すには、それなりの理由がいる。内容が「ヘイトスピーチと「受け取られかねない」」程度では理由として薄弱だ。 また、都知事の歴史認識は人権啓発と無関係で、理由にならない。 こうしたことから、都の対応は問題と言わざるを得ず、アーティストが検閲を受けたと感じるのはもっともだ。
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