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【ソウル=上野実輝彦】 元徴用工訴訟問題で、韓国政府が6日にも解決策を発表する方向で調整していることが、複数の日韓外交筋への取材で分かった。尹錫悦(ユンソンニョル)大統領が日韓関係改善に強い意欲を示しており、訴訟原告らが求める日本の被告企業の謝罪や資金拠出を待たず、韓国側か先行して措置を講じるもようだ。
韓国政府は、傘下の財団が被告企業に代わって原告らに賠償相当額を支給し、当面の財源は韓国企業の寄付でまかなう方法を検討。その後に日本企業の自発的寄付などがあれば受け入れる考えとみられる。原告らが反発する可能性もあるが、韓国政府関係者は「交渉が長引いて機運が失われないうちに、日韓関係改善を進めるべきだ」と話した。
日韓筋によると、尹氏は早ければ今月中に訪日し、岸田文雄首相と会談することも模索している。米韓報道によると尹氏は今春、米国への国賓訪問を計画しており、訪日もこの時期に合わせて行う可能性がある。
◆談話継承 謝罪の意味なさず-韓恵仁・アジア平和と歴史研究所研究委員に聞く
日韓の懸案である元徴用工問題を巡り、一部の原告や支援団体は、韓国政府が示す「賠償肩代わり」案に強く反発している。韓恵仁(ハンヘイン)・アジア平和と歴史研究所研究委員は、かつて日本が朝鮮半島を統治した歴史的経緯に目を向けるよう求める。
(聞き手=ソウル・木下大資)
私は2000年代に韓国政府が設置した歴史問題に関する委員会の調査員になり、強制動員の被害者や遺族に接した。日本の植民地支配が韓国社会に残した傷は、想像以上に深い。
1930年代に生きていれば、大部分の人は日本の植民地支配がずっと続くと考え、日本語も一生懸命に覚えて生きていくことを選んだだろう。でも戦争が終わって解放後は、そのような日常を生きていた自分の人生を否定しなければならなくなった。
原告の梁錦徳(ヤンクムドク)さんは、日本語がよくできたので朝鮮女子勤労挺身(ていしん)隊として日本へ行くことになり、工場で働かされた。まともな賃金は受け取れず、誰にも守うてもらえないまま韓国に戻り、挺身隊を慰安婦と誤解され苦痛に満ちた人生を送った。彼女は「金が欲しいのではない。(被告企業でない企業が拠出する)大義名分のない金は受け取れない」と訴えている。国のために奉仕したのに、結局は自分を見捨てた日本という国が謝罪してくれることを望んでいるのだ。
日本政府は謝罪を表明するとしても、既存の談話を「継承」する形になると報じられている。強制動員の歴史的事実を認めないまま「痛切な反省」をすると言っても、誠意を疑われるだろう。韓国の大統領は自分の言葉で話す。談話の継承という方法は韓国人になじみがなく、謝罪の意味をなさないのではないか。
韓国では、日本の植民地支配は強制的で不法なものだったという考えがある。2018年の最高裁判決は、徴用を「日本の不法な植民地支配に直結した反人道的な不法行為」だとして慰謝料の支払いを命じた。植民地被害を受けた共同体の集団意識が論理的に結実したものだと思う。
ただ、(日本政府は日韓併合条約が合法的に結ばれた後に無効になったと解釈しており)植民地支配が合法か不法かはすぐに決着できる問題ではない。それよりも実際に強制動員があり、精神的・身体的な被害があったことを認めることが重要だ。たとえ合法だったと主張しても、被害者の傷が消えるわけではないから。
徴用工や慰安婦問題は韓国と日本の国家間の葛藤と捉えられているが、実はそうではない。「同じ民族の被害」といったナショナリズム的な観点ではなく、大日本帝国によって植民地の人たちが受けた被害についての話だ。被害者は韓国人とは限らない。普遍的な問題と言える。日本ではそのような観点が不足していると思う。植民地支配が合法か不法かはいったん留保し、学術的な研究をともに進めることも必要ではないか。
<ハン・ヘイン> 北海道大博士課程で日本史を専攻。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権が設置した「強制動員被害真相究明委員会」や「親日反民族行為真相究明委員会」の調査官を務めた。
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