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(中山岳)
「野球のWBCで日本が優勝した時、NHKはしばらくそればかり報道していた。大事なニュースは日々あるのに。優先順位がおかしいと感じる」。最近のNHKについて小林さんはこんな辛口評価を述べる。
かつて名を連ねた経営委員会は、NHK会長の任命権などを持つ組織。小林さんは2001年から2期6年、委員を務めた。
昨秋には次期会長の人選を控える中、市民有志や元NHK職員らと「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」を設立。昨年12月、元文部科学次官の前川喜平さんを推薦する署名約4万6千筆を経営委の担当局に出した。
だが、経営委は同月、日銀元理事の稲葉延雄氏を選んだ。人選は昨年7~12月まで計9回あった経営委指名部会で議論。会長に求められる資質を「公共メディアとしての使命を理解」「政治的に中立」などと決めた上で、複数の候補を委員が推薦して議論し、稲葉氏に決まったという。部会の議事録は公表されているが、稲葉氏の他に誰が推薦されたかを含めて議論の詳細は明かされていない。
求める会は「市民の声を無視し、透明性が確保されていない」と抗議した。これに対し、経営委は「人事に関する情報は答えられない」「外部者からの推薦は受け付けていない」と回答するにとどまった。
経営委の情報公開が徹底されないことについて、小林さんは「私の在任時には委員からNHKにとって具合の悪い発言があると議事録に残さないことがあった」と明かす。
第一次安倍晋三政権時の07年、次期経営委員長の人事を巡って 一部のメディアが、安倍氏と親しかった富士フイルムホールディングス社長(当時)の古森重隆氏を有力と報じた。
小林さんには寝耳に水の話で、経営委で「本当か。なぜこうした情報は上かってこないのか」とただした。だが、この発言は議事録に残らなかったという。
小林さんは「経営委には、旧態依然とした体質がいまだにあるのではないか」と問題視する。 NHK会長が稲葉氏含めて6人連続で経済界出身者から選ばれている ことも「視聴者のために良質な番組を作ることに役立っているとは感じられない」と述べ、時の政権の影響を受けやすくなっていないかと危ぶむ。
折しも今国会では、放送法の「政治的公平」を巡る行政文書の存在が明らかになり、時の政権と放送局との距離感が問題になった。NHKを巡っては、総務省の有識者会議でインターネット事業の拡大に向けた議論も進んでいる。
小林さんは「ネット事業の拡大より前に政治と適切な距離を置き、市民に開かれたNHKへ改革してほしい」と述べ、こう訴える。 「経営委の議論をより透明化することが必要ではないか。NHKの執行部はまだ圧倒的に男性が多いので、女性を増やすことも多様な番組作りに役立つはずだ」
求める会は、これまでの活動をまとめた記録集「公共放送NHKはどうあるべきか」の出版準備を進めている。活動報告や前川さんらが講演するシンポジウムを30日午後1時半から武蔵大(東京都練馬区)で開く。参加費5百円、先着3百人。
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