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食い止めるチャンスは何度かあっだのに、できなかった。主要な報道機関は問題に取り組むことができず、テレビを中心にメディアはジャニーズのタレントを起用し続け、視聴者や消費者も無関心でした。
ジャニーズ事務所は9月7日の記者会見で性加害を事実と認めましたが、藤島ジュリー景子氏は社長を辞任したものの代表取締役は引き続き務め、100%保有する株式も当面持ち続ける意向を示しました。それでは同族経営の実態も、創業家の人物に利益が入り続ける構造も変わりません。
社会の自浄作用が働かなかった原因は、ジャニーズ事務所が「帝国」化していった過程で公共的な領域がゆがめられてしまったことだと思います。主に2000年代以降のことです。
ジャニーズは、タレントの強いキャスティングカを背景に競合他社を排除していきました。地上波テレビ局を中心に、メディアへの支配力を強めたのです。 公共財である電波を利用している放送局が、ジャニーズの意向に逆らえなくなった。一部のステークホルダーが放送全体に影響を与えてしまう構造になり、公共がゆがめられました。
背景にはメディア環境の変化があったと思います。ネットが普及する中、テレビや活字業界は視聴者数や部数の低下に悩まされていきました。そのため、 所属タレントを起用すれば数万~数十万の熱狂的ファンが視聴・購買してくれるジャニーズを無視できなくなっていったのです。 しかし数万人という数字は、国民全体から見れば、ごく一部の存在に過ぎません。
NHKと主な民放局は、外部の第三者委員会を設置して自己検証すべきだと思います。公共がゆがめられた原因を外部による調査で明らかにし、改善策を打ち出すのです。朝日新聞を含めた新聞各社も自己検証はしてほしいと思います。
現状では、ジャニーズ事務所に所属していること自体がタレントたちの活動の弊害になっています。事務所はタレントを解放すべきでしょう。 タレントのマネジメント機能は外部に事業譲渡し、被害者への賠償だけを担う組織として存続する方法がよいと思います。 放送局は事務所に対して、タレントのマネジメントで収益を得る機能を切り離すよう要請すべきです。
(聞き手編集委員・塩倉裕)
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