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2023年10月26日
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テーマ: ニュース(96827)
カテゴリ: ニュース
劇作家で演出家の永井愛氏が2005年に初演した「歌わせたい男たち」は、国民に「君が代」斉唱を強制することは日本国憲法が保障する「内心の自由」を踏みにじる違法行為なのだということを訴えたもので、当時の各種演劇賞で高く評価され、最優秀作品賞に選ばれたものでしたが、実は一般国民には作者の真意が必ずしも正しく伝わっていないという「現実」について、作者の永井氏は11日の朝日新聞で、次のように述べています;




 執筆のきっかけは04年春に、東京都の教職員250人が処分されたという新聞記事でした。都は前年に、学校での「国旗・国歌」の取り扱いを細かく定め、従わないと処分も念頭におくという通達を出していました。憲法は思想信条の自由を保障しているのにと、強い違和感を覚えました。

 劇の終盤、校長はこう演説します。

<たとえ国歌の嫌いな人が、「イヤだなあ」と思いながら歌っても、「イヤだなあ」と思う内心の自由は、歌っている最中にさえ、しっかり保障されているではありませんか>

自分の中にも疑問があるのに、歌わせなくてはいけない立場にいる校長の矛盾から出た言葉の滑稽さに、客席は沸きました。

 でも再演した08年の観客アンケートに「内心の自由の意味が理解できた」という感想がありました。長い場面なので、「ここが作者の言いたいこと」と受け取られてしまったようです。

 これではいけないと、22年公演は校長のせりふを短くし、錯乱も書き加えました。今度は「校長先生が気の毒」「歌いたくない気持ちも分かるが、ルールは守るべきだ」という反応が増えました。

 「卒業式の君が代」について、以前はよく報道されましたが、近年はほとんど見ません。問題そのものを知らない人が増えていることも一つの要因でしょう。

 でもそれ以上に、 「上が決めたルール」の意味と是非を考えず、ルールを守ることが正しいとする風潮が浸透してしまったことが大きいと思います。 政治家の記者会見でも、問われる側に都合の良いルールからの逸脱を、記者自身が嫌っているように見えますから。

国会での「ご飯論法」が話題になりましたが、問いと正面から向き合わないことへの「慣れ」も社会に広がっています。 安倍晋三元首相の「国葬」に疑義を示そうとすると、「人を悼む心がないのか」と話をすり替えてしまう。この劇でも「歌わないと罰するぞと脅して強制すること」の是非を問うたのに、「国歌の大事さを理解していない」と批判する人がいます。

 これは「君が代問題」ではなく、国連機関も懸念を表明している人権の問題です。人権は普遍的な主題。今後も問い続けたいと考えています。
(聞き手・山口宏子)


<ながい・あい> 1951年生まれ。近現代の日本社会を見つめた作品で評価が高い。「歌わせたい男たち」は05年の各種演劇賞で最優秀作品に選ばれた。


2023年10月11日 朝日新聞朝刊 13版S 13ページ 「耕論・君が代 歌わせたいのは-『人権の問題』と気づいて」から引用

 「内心の自由」という法律用語は、うっかりすると「心の中で何を考えようと、自由だ」という意味にも解釈されかねず、上の記事が指摘するような「間違った解釈」をする人は確実に存在し、せっかくのお芝居も作者の意図がまったく伝わらない事態にもなり得るわけで、憲法を起草するときの法律家たちの用語法に、もう少し工夫が必要だったのではなかったかと、素人ながらに思います。「内心の自由」の本来意味するところは、国民は誰であっても普段は口にすることもない自分の主義主張の実行を妨げられてはならない、ということで、普段から「君が代というのは、気に入らない内容の歌詞だから、自分は歌いたくない」と思っている人が、学校等の式典で歌うことを拒否する権利がある、というような「意味」になると思います。
 したがって、「内心の自由」を濫用すると、これは「公共の福祉」を損ねることにもなりかねません。普段から「車は左側通行というルールはイヤだ」と内心で思っていた人が、ある日突然、車で右側通行を実行すると、これは交通事故という「公共の福祉」を毀損する事件を引き起こすことになるもので、このような場合は「内心の自由」は一定の制限を課されると言うべきです。
 そして、「国歌斉唱の拒否」はどうかと言うと、もともと国歌や国旗というものは、他国と自国を判別するのに都合がいいから作ったものであって、それが無かったり国民に無視されたりすると国家の存立に関わるものかと言えば、そんな大げさなものでは有りません。だから、式典の場で国歌斉唱のときに、大音量で別の歌を歌ったりすれば、それははた迷惑でマナー違反であると批判されることはあるかも知れませんが、ただ口をつぐんで斉唱拒否するだけなら誰にも迷惑をかけず、公共の福祉を損ねる心配もないのですから、「内心の自由」を尊重するということで良いのだと思います。





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最終更新日  2023年10月26日 01時00分06秒


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