韓国の高校生がその島へ修学旅行中、船の転覆事故(セウォル号沈没事故)にあい死者負傷者多数、日本でも大きなニュースになり知られるようになりました。
朝鮮半島の先にある日本に近い小さな島、この書で知りましたが、戦前戦後を通して公式非公式「表裏取り混ぜて」、島民が日本にたくさん入国している縁があるということに、なるほどと思いました。
東西冷戦下での国家成立に際して朝鮮半島が混乱、離れ島故の陰惨な闘争があり、虐殺事件が起こり、その中で作者が経験したことと、その後たどらなければならなかった波乱な人生の回想録です。
常々、朝鮮半島が二つの国に別れなければならなかった経緯をたどる時、東と西に分かれて戦ったという単純なことではないとは思います。
日本統治下、日本語で生育し自我に目覚めた時は日本の世界だったということ。そして18歳の時に日本の敗戦によって突然「解放」されてしまって戸惑う青年著者。この子供のころの記憶、詩人でもあるがゆえに切々と書いてある様子は読んでいて胸迫るもの。
次第に朝鮮人としてアイデンティティを取り戻すも、東西冷戦下、本土(半島)から蔑視されている離れ島、島内は混乱状態になる悲劇。
その辺の事情・事件が事細かく書かれているのですが、その様相はちょっと想像を絶するしつこい残虐さなので、人間の「ごう」について考え込まされます。
闘争に巻き込まれ、官憲に追われた著者が済州島を脱出して日本に逃げてくる描写は不謹慎ながら映画のように迫力がありぐんぐん読ませ、しかし、その後大阪でいろいろ苦労しながらも人生をおくれたのはさいわいでした。
幼いころの日本語教育、日本に逃げなければならなかったために日本に住み続ける葛藤。
時の権力者の意向、政治によって国の方向性が決まるのは摂理。仕方がないこととはいえ、翻弄される個人。哀しみを覚えて読了しました。
朝鮮と日本に生きる 済州島から猪飼野へ (岩波新書) [ 金時鐘 ]
よみがえり 2023年12月21日
こういうエンタメが好き 2023年12月19日
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