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暗い生活のドン底に春をひさぐ女は「貞操」を誇る婦人を罵 ( ののし っ) て「贅沢者だ」と云った。肉を買ってさえ食えぬ女のためには、貞操なんか一の贅沢品であるかも知れぬ。考えて見ねばならぬことだ。
2026年06月30日
多くの異性から慕われる快感、そして何人にも容易に許さざる誇。
2026年06月30日
女の涙、結婚前には巧みに異性の愛を引く。結婚後には寧 (むし) ろ男の愛情を追っ払う。
2026年06月29日
真実の 能 (よ) く解り過ぎたる時、彼女は解らぬと答う。「解らぬ」とは恋の熱き共鳴の声成り。
2026年06月29日
肉を買って食う女は綺麗好きなものだ。美の粧飾は即 (すなわ) ち生きる資本なのだ。凡 (おおよ) そ掃除の行き届いて清潔なのは「妾の家」だ。次で「お茶屋」だ。それから「或る別荘」だ。多くの女中さんなんか使用して美しく掃き清められた家に入ると、その女主人の現商売と前身とが忽ち直覚される。
2026年06月28日
日本の女は異性を選ばないで、常に選ばれるのだ。男から選ばれるのを唯一の誇として喜ぶ。だから選ばれなくなるのは最大の苦痛であり極度の寂しさである。しかも二十二三歳までに選ばれない女は時に終生をミスの儘で果すものがある。 「選ばれる時期」を失ったのだ。シュンを過ぐれば、年若くとも女は既に老人だ。
2026年06月28日
女の悪口を云うて喜ぶものは女だ。男の悪評を噂して悦ぶものは男だ。女の前に他の女を賛美する男は決してその女に愛されず、男の前に他の男を嘆賞 (たんしよう) する女は必ずその男に好かれない。婦人を卑しむ思想は男性には肯定されないが妙に婦人には歓迎される。婦人を卑しむ宗教には婦人は随喜 (ずいき) の涙を垂れて集るも、曾 (ひい) て男性の参詣を見ないのを常とする。
2026年06月27日
婦人の感情を害せんとならば、同年輩の他の女性を口を極めて賛美するにある。多少思いを寄せていた男性へでも、絶望と共に軽い反感を投げるに至る。口は禍の門たると同時に怨敵退散の噴火口でもある。
2026年06月27日
空気を読むには先ず女性の動作を窓として覗くを可とする。今、彼等は果してどんな心持ちで自分を見ているかと自問自答する前、その主人を見ずしてその妻君を読むのだ。眸の一射、顔の電波ありありと心境の全部が描かれている。女は露骨なるネオンサインだ。
2026年06月27日
人間は畢竟(ひっきょう)「疑い」に生き「迷い」を楽しむ動物なのだ。「真実」を求めつつ、しかも心の何処かに真実に触るることを忌み避けている。女が情人の男に「恋の敵」の名を呼んで好きか嫌いかと尋ねる。尋ねる最初が既に一種の迷いなのだ。男の心を疑っているからだ。そして若(も)し情人慰安する。男が女に対する場合も皆それと同じだ。
2026年06月26日
女というものは法外な高望みをするものだ。そのくせイイ加減な処ですぐ妥協して平凡化するものだ。
2026年06月26日
男三人の争う女は十人も之を好み、女三人の競う男は十人も之に魅せられる。ただ 蓼 (たで) 喰う 蟲 (むし) ありて男女の下手物 (げてもの) は万遍なく片付いて行く。
2026年06月25日
こってりと厚化粧した女の多くは幼児の手を引いて遊び歩く。小さい監督は直ちに暗い罪の補助者だ。子供は親や姉の淫蕩には最も便利なる道具として使用さる。
2026年06月25日
孔雀の羽を 擴 (ひろ) げたように盛装を凝らして来る婦人に対して、時にウットリと見とれてやるは最良の慈善行為なり。
2026年06月24日
女性の羞恥心を失ったのは汽車の脱線よりも乱暴なものだ、一ト年寄って幾人もの子の親となり、厳とした夫を持つ婦人など、時とすると自ら羞恥の心を捨てる。恐ろしい人生の危険区だ。
2026年06月24日
婦人の犯罪と云えば虚栄心から生れる万引、嫉妬から起る放火、家庭不和から出る嬰児殺しなどとチャンと相場が定まってある。誰かは美しく飾られたショーウインドを覗いて婦人犯罪の教唆機関だと云ったが、マコトそうだろう。
2026年06月23日
花は他人から奪い去られんとする恐怖があって益々愛情の度が加わる。誰も顧みないような花は決してその持主も賞玩しないものだ。「或は?」という不安、男性の軽い疑いに包まれて女は初めて生命を握られるのだ。「ややもすれば奪わるる」女型でないとオヤジたるものは愛着しない。現代の女たるものは盛んに脱線して常に男の心をイライラさせ、年中焼餅をやかせ通すのが愛の自衛法の秘訣だ。
2026年06月23日
随分ヒドク口説かれたんだけど妾終に応じなかったワ、と今あこがるる男に、他の男の名を汚してモーションをかけるのは茶屋女の常套手段だ。つまり、それほど堅い女だが君にだけは参りけりや先づ手鏡取って自分の面を写して見ることだ。
2026年06月22日
婦人の全生命は顔に在り、しかも余り褒め過ぐれば狂喜の中にも軽き猜疑 (さいぎ) を含む。故に少し難癖を附けて大いに賞揚 (しょうよう) するに在り。女魂興奪法の秘訣なり。色は少し黒けれどもと奪って、二皮眼元に滾 (たぎ) るるばかりの愛嬌ありと興へ、口は少し大きけれどもと下げて、頭髪の濃い首筋の美しいことと上げるなり。若 (も) し当人の物陰に聴けるを知って、陰口を叩くの態にて之を試むれば女魂全奪必ず成功。而 (しか) して今の男子と称する者、実は悉 (ことごと) く「男装せる女子」なるを忘るべからず。
2026年06月22日
独逸の女は下婢 (かひ)、英国の女は奥さん、仏蘭西の女は妾に適するとかや。女に表れたる国民性を察し得べしだ。知らず、日本の女は果して何に適するや、蓋し云わぬが花だよ。
2026年06月21日
隠れたる女は自衛の術として時に恋を他に移すことあり。漸 (ようや) く衰えたる愛は忽 (たちま) ち再び情熱を発し来る。女操を守るは却って永き愛を繋ぐの道にあらず。時に恋情 (れんじょう) の切売りを商うは賢い女の新渡世法なり。現代青年の謹んで示教 (しきょう) を乞 (こ) うべき点なり。
2026年06月21日
「女」と云うものは全部を捧げて一人者に信頼していても、愛の純一に生きる事を忌むもので或る機会だにあらば乙丙丁と愛の分裂に走るものだ。左 (さ) りとてヤハリ誰よりもその主人を慕ってるのだ。慕っていながら次から次へと浮草のように流れるのだ。
2026年06月20日
総て人の外面にはその本質と全く反対色が現われているもので、憂鬱な人が快活に見え、多淫な女が男猫も近づけぬように見られるものだ。
2026年06月20日
弱い美しい女がその家庭を呪うような言葉さえ発していれば、社会と云うものは妙に同情を注いで来る。此変態心理的趣味性のために、さっきまで憎からぬ夫を名残の仇に留めて虚栄的に自殺して逝くような妻女がヒョイヒョイと出て来る。女と云うものは何処までも魔だ。
2026年06月19日
多くの婦人は乞食性を多分に持っている。何でも「呉れ」と云うことを平気で云う。人に物をネダルのを一の特権と信じている。それは「呉れと云われて喜ぶ男子の心理」を巧みに捉えたものだ。曾 (かさね) てネダルことを知らない女は男には愛されぬものと相場が定まってある。
2026年06月18日
どんな美しい女性でも、二十四五歳を過ぐれば早や両の眼尻に微かな三條の線が浮び出る。中にも淫蕩の生活に浸ったものは年長ずるに従って唇が紫色に変ずる。下瞼は鉛色に黒ずんでくる。豊艶の肉さえタルミを生ずる、笑める顔さえ凄い小皺の波を打つ。みんな自らの美の弄辱(ろうじょく)に対する刑罰を科せられているのだ。
2026年06月18日
肥えた女は妻君ではない。必ず第二号だ。第二号にして痩せていたら、更に第三号の秘められてある証拠立てだ。
2026年06月17日
外に対しては強いものを求める、内に向っては弱いものを求める。即 (すなわ) ち他人に向っては成るべく強い反抗性の人を望み、自分に対しては成るべく弱い従順性の人を望む。それは「独自の力」に生き得ない人間の依頼心の発露として誰にも見られる。年中尻に敷いている夫でも、妻以外には強い男たらんことを求むるのは婦人通有の特性だろう。
2026年06月17日
操を売って得た金は悉(ことごと)く服装衣装に使われる。何故にメカスかと問えば、彼女は明かに次の異性を漁らんとしている。同じく売る操にも對手に依って懸値と割引とがある。操、金、飾、肉、カラクリ人形のように回転する。「浮いた生活」も容姿十年の短日月だ。
2026年06月16日
柔か 味五分、渋味三分、あとの二分はシャチ味、それが理想的の女性だと話した。シャチ味とは何か。それは何処となく硬質の抜けない、物固くシャチコ張るという意味らしい。シャチコ張ると云えば語弊あれど、毅然とした一角を持つという程度だ。
2026年06月16日
踊り舞う女性の白い美しい手を見る。而 (しか) して時と処とを異にしたる同じ女性のその手の動きを考える。そこには何とも云い知れぬ皮肉を感ずる。
2026年06月15日
生理的に去勢されたものにも尚「人の噂」を免れない。処女も三十歳を超ゆれば既婚以上に心の肉が硬化する。
2026年06月15日
芸術の名に於て見ることだけを許されたるモデル女は、一転して早や弟子の名に於て「交る」ことの神秘に触れた。而(しか)して、純一の境地より妬 (ねた) み、呪い、悩み、憤りの複雑色に拙 (つたな) い半生画を描いている。
2026年06月14日
男より男を見る、未だ本質を解する能わず、或る一人の女を通じて之を背面より観察すれば脳天より臓腑の底まで一目瞭然たり。女は活けるエツキス光線なり。
2026年06月14日
処女に失恋あれば遠く離れて忍び泣き、芸妓に失恋あれば近く親しみて毒を吐く。離れたる処に人知れぬ情味あり。親しめるところに嫌忌 (けんき) すべき妬心あり。
2026年06月14日
他人の前に「父の無智」を罵る小賢い令嬢に縁談が遠く、常に「両親の無理解」を訴える良家の娘は終に社会に捨てられる。自ら聡明ならんとして自ら聡明を傷 (きずつ) け、独り栄達ならんとして独り栄達を損するものだ。
2026年06月13日
彼女は常に無力の承認を求める。そして承認されたる無力を以て勝たんとする。恐るべき無力の力だ。
2026年06月13日
婦人の早く老いるのは、年の寄ることを深く恐れる心が暗示的に働いて総てを早老に導くのだという。女の寿命は短かい。二十五歳と云えばモウお婆さんだと誰でもが云う。その声に驚かされる恐怖が女の若々しい美を奪い去るのだろう。
2026年06月13日
憎もうたって憎みようのない女は、愛そうたって愛しようのない女だ。
2026年06月13日
女は三十を超ゆれば眼尻の皺を気に悩む。そして強く異性の力を求める。
2026年06月12日
美人は瞳で生き脚で生き着物で生きる。男児は「腹」に生き意気に生き腰骨に生きる。古き恋の情熱既に消えたるも、縁の 絲 (いと) 絶たんとして絶つこと能わず、密かに生活費を貢ぎて徒 (いたずら) に美人の半生を日陰に殺し、転々路傍の花を追うて又新しき恋に酔わんとす。女たるものの警戒を要する点であろう。
2026年06月12日
今は人は素直に 唯 (た) だ「顔」を見る。そして美醜を評定する。女は顔だけで時の相場が決せられているのだ。静かに「手」を見る。「足の裏」を見る。静かに「首」をみる。「胸の幅」を見る。而 (しか) して真価は打たるべきだ。
2026年06月12日
あなたよ、何時の世にも群衆の愚論は絶えないものです。詰らない弁明なんかおよしなさいませ。弁明されて解るようなら初から愚論なんか吐かないことよ。野も山も総てを花と見て通りましょう。自分の信ずる儘に行動すれば 可 (よ) いのです。是非の評なんざ世間の口に一任して置くことです。若(も)し邪魔になれば、眼も耳もくり抜いて捨ててもよいじゃありませんか。若しも奇禍でも受ける場合があったら、遠慮なく皆んな私におっかぶせなさいませ。天下の法律は私で 詐 (いつわ) ることは出来ますまいが。知己の名の下に罪禍を受けるのは寧ろ痛快を感ずるのです。鉄窓の月に流るる人生の影を偲ぶのは凄い愉快だろうと思われます。誓った以上、もし裏切ったら殺すのだ、と 斯 (こ) う定めてさえ置けば常に絶対権は吾が掌中に在るのですもの。何もそんなにくよくよ心配するに及ばんじゃありませんか。時としては悪いことだとも感じます。併 (しか) し斯うなっちゃ最早や是非に及びません、寧ろ進んで善悪の境を超越しましょう。仏とも戦いましょう。庵とも闘いましょう。
2026年06月11日
奥さんなどと偉そうにしているが、彼女は元は何商家の下婢 (かひ) であったのだとイヤに 卑 (いや) しむものあり、卑しまるるものあり。寧( むし) ろ卑しむものを卑しむべく、卑しまるるものを誇るべきなり。むかしの他人の家の下婢、今の我が家の夫人、それが即ち活きる人生の尊き真実にあらずや。或る神経過敏の貴人を慰む。
2026年06月11日
嫁なるものは家の道具として箪笥同格に取扱われる。先祖の位牌に済まぬと云えば、生血の滴る人間が忽 (たちま) ち暗い床の上に石像置物となる。緑の黒髪を断つは脅迫結婚を拒絶する女の武装となってある。悉 (ことごと) く人間を外にした囚 (とら) われた世界の奇現象だ。
2026年06月10日
人 生 日 録 性・愛・恋
2026年06月10日
遂げたる恋は嬉しくして冷め易く、遂げざる恋は悲しけれども生命長し。恋の神秘は遂げざるを以て尊しとす。
2026年06月09日
恋は掴むよりも捨てるところに神秘は潜む。思い切って捨てる男らしさ、女らしさに異性の心は深く喰い入って離れないのだ。掴まんとするが故に逃げ、捨てんとするが故に燃ゆ。面白い心理傾向だ。
2026年06月09日
幼い子供の手を曳いて情夫の家を訪れる未亡人あり。情を知った女中を具して愛人と暗い小路を歩む貴婦人あり。忍ぶ恋の保護色、世を欺かんとする武装、背後の人は皆赤い舌を出している。
2026年06月09日
欺かるると気づきつつ尚更に深く欺かれんと焦慮し、弄 (もてあそ) ばるると知りつつ尚更に深く弄ばれんと腐心す。嘘より出でたる嘘に対するも誠より出でたる誠を以て向う。此至純の心を茲 (ここ) に 飜譯 (ほんやく) して忍ぶ恋と云うとかや。
2026年06月08日
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