Tough Boy-World of cap_hiro(Subtitle:sense of wonder)

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2024年08月15日
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カテゴリ: 霊魂論



「精神科学と医学」 第二講(本講・解説) 1920年 3月22日 ドルナハ
第2講解説・第8回
 生体組織のプロセス全体を健康にしていくこうした医学的処置をするにあたって、最大の障害となるのは、社会的状況であり、また患者自身であるといえます。患者は、まず症状そのものを取り除くように求めるからです。しかし、そういう処置をしてしまうと、病状をもっと悪くしてしまうこともあるのです。言うまでもなく、こうして少しばかり特徴をお話しました処置にとって、最大の障壁はまず第一に状況、社会的な事情です。従って医学とはまったくもって社会的な問題でもあるのです。他面において、最も強力な障壁を築いているのは患者自身であるともいえます。患者は当然のことながら、何はさておき、何かを、彼らが言うように「取り除いて」ほしいと要求するからです。しかしながら、彼らが持っているものをそんなに直接取り除いてしまうと、すでにそうなっているよりももっと病気を悪くしてしまうという事態が容易に起こりうるのです。患者を今の状態よりももっと悪くしてしまうことも考慮しておかなくてはなりませんが、彼らを再び健康にすることができる状態になるまでは待たなくてはならないのです。けれども、大多数の皆さんにご同意いただけるでしょうが、その時にはたいてい患者さんは逃げ出してしまっているわけで、治療を正しく方向づけるためには、医師は病気の後のケアも完全にしなければならないのですが、症状を取り除いたことで満足してしまいがちです。障害は、医師にもあるのです。そもそも治療というもの全体に正しい価値を与えようとすれば、医師は後療法をも完全に掌握していなければならないのですが、これこそ、健康な人間及び病気の人間の正しい観察の結果帰着することなのです。こういうことこそ、まさに公然と目指されねばならないのです。現代のような権威信仰の時代にあっては、このような動きがが導入されさえすれば、その必要性を指摘することが困難であったりしてはならないはずです。然し乍ら、言うまでもなく皆さんの前でこのようなことを申しあげるのをお許しいただきたいのですが、病気をほんとうにその支脈の末端まで追求することを適切であるとみなさず、単に何かを取り除いたことで多かれ少なかれ満足しているのは、いつも患者や社会状況であるのみならず、医師のかたがたであることも屡々あるのです。治療にあたっては、上部と下部の二元性を正しく把握しなければなりません。それは唯物論的な見方に基づいた言葉によっては、非常に説明しにくいのですが、シュタイナーはそれを、アナロジーによって説明しようとしています。とはいえ、このように人間の生体組織のなかでの心臓の位置づけを正しく追求することが、私たちを病気の本質へと徐々に導いていくということはご理解いただけると思います。ただ、皆さんに注目していただかねばならないのは、下部の諸々の組織的活動は単に外的な化学的活動であるものをなるほどある意味で克服してはいるけれども、それと全く反対の上部の活動にやはり何らかのしかたで類似しているというとき、これら上下の間に成立している徹底的な差異なのです。この人間の生体組織における上下を指摘する二元性(Dualismus)に満足に足る定義を与えることは非常に困難です。私たちの言語は、物質的、器官的なものに対立するものを暗示すための手段をほとんど有していないからです。けれども、まず次のようなアナロジーによって、こういう事柄について語るべきことはもっとたくさんあるでしょうけれども、本来この下部プロセスと上部プロセスの間の二元性がどんなものなのかを明確にするなら、もしかすると良くご理解いただけるかもしれません。もしかすると皆さんのどなたかの何らかの先入見にぶつかる可能性が無きにしも非ずですが、私はあえてそういたします。シュタイナーは、上部と下部の二元性をホメオパシー(*同種療法)で説明しています。物質の特性は、一律にどこまでも分割可能なものではなくて、ある限界を超えると反対のものに転化する可能性すらもっています。自然にはそうしたリズミカルな過程があるのです。皆さんが何らかの物質の特性を考えるとき、つまりどういうかたちであれ私たちの前にある物質が効力を生じる際の特性を考えるとき、まず第一に、消化の際に起こっているように生体組織によって克服されて人間の下部の活動に取り入れられるものが考えられます。さて、こう言ってよろしければ、ここでホメオパシー(同種療法)(**)を行うことができます。その物質の集合性、連関性を止揚することができるのです。このことは、その物質を何らかのやりかたで希釈するとき、いわゆるホメオパシー的極小量を用いるときに生じます。よろしいでしょうか、このとき、現代の私たちの自然科学全般においてまともに観察されていないことが明らかになるのですが、人々はすべてを抽象的に観察することに慣れっこになってしまっています。ですから、ここにひとつの光源があるとすると、彼らは、光はあらゆる方面へ広がっていくと言い、これがあらゆる方面へ広がっていって無限のかなたで消滅すると考えるのです、彼らは太陽についてもそう考えます。けれどもこれは正しくありません。このような活動はいかなる無限のかなたでも消え去ることはなく、ある範囲の限界まで達するのみで、その後弾力性をもっているようにはね返ってきます。たとえその性質はしばしば往路の性質とは異なっているにしても、はね返ってくるのです(図)。自然のなかにはリズミカルな経過があるのみであって、無限のかなたに通じる経過は存在しないのです。リズミカルに再びそれ自身にはね返ってくるもののみが存在しているのです。これは単に量的な拡散にのみあてはまることではなく、質的な拡散にもあてはまることなのです。皆さんがある物質を分割し始めるとき、その物質は最初の出発点において特性を持っています。これらの特性は、無限に減っていくのではなく、ある点にいたると、はね返ってきて、それとは反対の特性になるのです。上部と下部の対立性もそういうふうにイメージすることが可能です。生体の上部組織と下部組織の間にもこうした内的なリズムがあります。上部組織はホメオパシー的なもので、下部組織は特性がある時点で逆転したものであるといえますから、その特性を利用して、薬剤師は希釈を行うことで、下部組織に関係した諸特性を上部組織に関係した諸特性に導くことができるのです。私たちの生体の上部組織と下部組織の間の対比もこの内的なリズムに基づいています。私たちの上部組織はホメオパシー的なものです。それはある意味で通常の消化プロセスの正反対のもので、その反対物、ネガを形成するものです。したがって、ホメオパシーの薬剤師は希釈をおこなうことで、普通は人間の下部の生体組織に関係していてこれと関係のある諸特性を、今度は人間の上部の組織に関係のある特性へと、実際に導いているのだと言うことができるでしょう。これはたいへん興味深い内的な連関です。この連関については明日以降さらにお話していきましょう。
<訳注>
*ホメオパシー[Homoeopathie] 同種(類似)療法。健康体に与えるとその病気に似た症状を起こす物質を、ごく低濃度に希釈し、それを薬品としてその病気にかかった患者に投与して治療する方法。アロパシー[Allopathie](逆症療法)はちょうどこれとは逆のやりかた。シュタイナーはホメオパシーとアロパシーをどう捉えるべきかさらに第五講で述べています。ホメオパシーは、19世紀初頭にドイツの医師ハーネマンによって始められた治療法で、稀釈したレメディー(治療薬)を使用し、同様の症状を引き起こす物質を使って病気を治そうとします。一方、アロパシーは一般的な現代医学で、主に薬物療法や手術を用いて病気を治療します。両者はアプローチが異なり、ホメオパシーは代替医療の一種として位置づけられています。
*参考資料:「健康な人に投与して、ある症状を起こさせるものは、その症状を取り去るものになる。」ホメオパシーとは同種の法則を根本原理とする自然療法です。難解ではありますが、近いものが日本の民間療法にもあります。喉が痛いときショウガ湯を飲んだり、 熱が出ているときに布団をかぶって熱くしたりするのがそれです。ホメオパシーでは、熱には熱を生じさせるもの、不眠があれば不眠を起こすものという具合に、 同種でもって自然治癒力に働きかけ、病気の原因を自分で押し出し、体の芯から健康を取り戻すことを主眼においています。
参考画:Homoeopathie and Allopathie



   第2講解説・第8回 了


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最終更新日  2024年08月15日 07時12分49秒
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