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June 11, 2007
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カテゴリ: 日本の小説


文春文庫
☆☆☆☆☆◎
 明治時代の贋札事件なんて、正直私には興味がない…。しかし、この著者はお気に入りの作家さんなので、長らく積読だったのを読んでみた。
 …確かにミステリーではないが、面白い…。
 どちらかというと、歴史上の事件に新たな解釈の可能性を与える内容だと思う。この贋札事件自体を日本史の知識として知らないので断言はできないのだが。この事件の真実を描くと同時に藤田傳三郎と、その幼馴染で若い頃は陰のように寄り添っていたとんぼ(宮越宇三郎)の人生模様が劇的に描き出されるために、贋札事件という大事件ではあるが、小説の題材としては少々堅い内容にメリハリがついたように思われる。

 以下、少々ネタバレ気味なので、ご注意ください。ミステリーではないので、特に文字色は変えていません。

 某テレビ局の「その時歴史は動いた」を思わせるような、二人がまだ主人と腰ぎんちゃくのような感じで一緒にいた江戸の末期から激動の明治維新によって、離れ離れになり、全くの偶然から再会し、そして、様々な(悪い)偶然が重なり、二人は結局「明治に食われてしまう」。この表現は作中、とんぼこと宇三郎が漏らす台詞だ。真面目だった傳三郎が現代にもまだ設立した会社の残る政商へと変身し、悪だった宇三郎は対照的な落ち着きかたをする。この二人の人生の交差が私には面白く読めた。正直、最初の傳三郎ととんぼの関係でどうストーリーが進展するのか、まるで読めなかったのだ。
 また、維新の有名な人物、井上馨、山県有朋、伊藤博文、高杉晋作、大村益次郎、新撰組、なども名前が出てくる。他にも有名人がいたのかもしれないが、私はこの時代には疎いのでよく分からない。





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Last updated  June 12, 2007 02:33:18 AM
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