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April 20, 2008
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カテゴリ: ミステリ(日本)


創元推理文庫 ☆☆☆☆☆
 初めて読んだ著者。古代ギリシャを舞台に哲学者ソクラテスを探偵にクリトン(ソクラテスの友人)をワトソン役にアテナイに起こった不気味な事件を解決していく。
 古代ギリシャ文学・思想・風俗に詳しい人なら、ニヤリとするような描写があるのではないかと思うが、残念ながら、私にはそんな素養はない。せいぜいピエール・ルイスの「ビリティスの恋歌」と比べた程度のものだ。(舞台と内容、もしかすると時代すらも違いすぎるので、はっきりいって意味がないが…)
 ストーリーは日常の細かな謎をソクラテスが解決していくのを導入に、大事件を解決、さらにそれが後のソクラテスの最後にも繋がっていく…という展開になっており、むしろ、謎解きの手法がミステリ小説の王道をいくものであり、それとは対照的に舞台は古代アテナイという日本では稀有(じゃないかと思う)の設定を用いているのも面白い。また、このアテナイの人々の生活の描写が面白いのだ。また、謎解きにとどまらず、そこからソクラテスの言葉を通して、現代の我々も考えなければならないことを示唆している。まあ、そこが私にはちょっとお堅い印象になってしまったが…。
 私が一番面白いとおもったのは、作中の風俗だ。退廃し爛熟したアテナイの人々はそれでも、国力の衰えと外国からの脅威を感じ始めており、一部の若者には、民主主義国家アテナイと対極の全体主義的国家として描写される軍事大国スパルタへの憧れをもち、極端なまでに質実剛健に、男性性を強調した生活を身上とするものたちも出てくるし、在留外国人の立場にも言及されている。馴染みのない古代ギリシャの社会のはずなのに幾つかのキーワードには現代の日本人もドキリとする風刺がひそんでいるような気がする。

 私のミステリの読み方のいつものことで、謎解きよりは、舞台の雰囲気に重きをおくせいもあるが、著者の他の作品も過去の偉人を探偵役にしたミステリのようなので、読んでみたいと思っている。新規開拓できて、ちょっと嬉しい。





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Last updated  April 21, 2008 12:12:33 AM
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