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December 26, 2008
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カテゴリ: 日本の小説

ナラ・レポート
津島佑子
文藝春秋 四六上製
☆☆☆☆☆
 奈良を舞台にした小説。
 12歳の森生は、母を早く亡くし祖母と二人暮し。ある日、カスガの鹿を殺してしまう。また、動物に姿を変えた死んだはずの母に大仏を壊してくれと頼む。
 その場面から、一気に小説の舞台は変わり、森生とその母はナラ、タカマド山、ヨシノ、ダイジョウ院…etc.と、その地の伝説の人物の中に姿を現す。それはまるで、現代から過去にさかのぼって転生しているような展開と筆致だった。いくつかは私も知っている伝説であり、幾つかは分からない。また、地名・人名はナラ、ヨシノ、ジンソン、トラン、ソウギ…などと全てカタカナで表されているのも不思議な感じがする。また伝説の出典は分からないが、地名の殆んどは行ったことや近くを通ったことのある地名なのも面白かった。
 それにしても、驚いたのはいきなりダイジョウ院で門跡のジンソンと彼に仕える「近侍の小者」アイミツ丸の話だ。いきなり寺院恋愛(?)の話になったのだ。この話、どこかに出典があるのだろうか。まあ、あまり恋愛ともいえない内容で、結局アイミツ丸が得度直後に死んでしまうのだが。このストーリーに一番作中でも頁数が割かれている。
 奈良といえば大仏だが、この小説でも大仏が大きな役割を果たしているような感じだ。この大仏が奈良の上に乗せられた重石、呪縛のように描写されている。
 それにしても、私の印象では奈良というのは、過去の堆積の上に現代があるような場所だと思うが、この小説もそのイメージ通りの雰囲気だと思った。初めて読んだ著者だし、見つけたのも図書館で偶然背表紙のタイトルを見たからなのだが、こういった奈良を舞台にした小説をまた一つ見つけられてよかった。






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Last updated  December 28, 2008 10:10:17 PM
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