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January 27, 2010
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カテゴリ: ミステリ(日本)

天才たちの値段
門井慶喜
文藝春秋 四六上製
☆☆☆☆☆
 美術品の鑑定にまつわるミステリー。ボッティチェリだの、岡倉天心だの…。ただ、私はミステリの素材でもない限り、野次馬根性でテレビの鑑定番組を観る程度。まあ、たま~に展覧会にも行くけど。語り手は短大の講師のセンセイ佐々木昭友。美術史専攻。専門はイタリアルネッサンスらしい。で、ホームズ役が真作を「甘く」感じ、贋作を「苦く」感じる、おそらくは共感覚の持ち主である天才美術コンサルタント(つまりはこーゆー絵がいいですよ、とクライアントに薦め、謝礼をもらうアヤしい職業ってことよね…)の神永美有。神永は佐々木がお世話になった気骨ある古本屋の店主の息子、という設定だ。ちなみに大阪のオバちゃんに「白魚のような」を評されている。佐々木先生はとてもまっとうでありながら、学生の羽目外しにも一定の理解を示してくれそうな良識人。神永はちょっとエキセントリックな天才肌。まあ、よくある取り合わせと言えばそうだが、定番、ともいえる。
 連作短編集の形をとっており、私が特に好きなのは「早朝ねはん」。お寺ネタ。それから、センセイの実家の遺産争い(そんなに骨肉ではないけど…)の「遺言の色」イタリアルネッサンスが専門の先生なのに、私はやっぱり日本がいいかな…。遺言の色は奈良も出てくるのがいい。
 また、神永の佐々木センセイへの懐きっぷりが結構ツボだったりする。だが、センセイの方はこの天才に「依存」してしまうから、と最終作では「ある決断」をする。まあ、私のいつもの性癖はおいといて、西洋美術だけに限らず、古い美術品に隠された「価値」や「歴史」「真実」が現れてくるのは好きだ。こういう小説には必ずついてくる取り上げられた題材に関する薀蓄・雑学を読むのは実に楽しい。
 実はこの本には続巻があり、そちらが面白そうだったので、まず第一作目の本作から読み始めた。さらりと読めるのに随所に衒学的な要素がちりばめられていて、私的に大変好みの内容の小説だった。ずっとこういう小説を気晴らしに読みたかったのだ。ちなみに2作目ももう読み始めた。





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Last updated  January 28, 2010 01:30:01 AM
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