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April 13, 2010
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カテゴリ: ミステリ(日本)

虚栄の肖像
北森鴻
文藝春秋 四六並製
☆☆☆☆☆
 花師(多分生け花を生ける人だと思う)であり絵画修復師である佐月恭壱(さつききょういち)が主人公の絵画修復を巡り胡散臭い事件が起こるミステリ。殺人が絡むわけではなく、少々危ない事件がらみであっても、謎解きは主人公が修復をするために、その絵画の画材や来歴を推理していくのが主。もっともそれを巡る人々の過去や謎にも触れていくことになるが。また主人公に仕事を依頼する人物の一人として女性旗師(店舗を持たない骨董商)が登場する。他のシリーズでもおなじみのあの人物だ。今回、彼女は名前すら出てこないが、一見の読者ではない限り、すぐ分かると思う。
 この小説では、登場人物に感情移入するとかキャラの面白さにつられて、ということではなく、絵画修復に関する薀蓄が面白かった。特にレオナール・フジタのことが書いてあったので、彼の絵は結構好きだが、あまり勉強する気のない私にはありがたいマメ知識が得られたと思う。まあ、登場人物、特に主人公の活躍や人間関係を目当てにはちょっと読みにくいかな。本人はモサい中年男のつもりで、熱心な隠れファンの女性がいる、というかなりなありがちパターンだから。ただ、主人公の父親のためだけに額縁をつくり、父親の死去だか業界からの追放以来、額縁作りを放棄した職人や、主人公の片腕的な(女好きで酒好きの)爺さんと主人公の父親とのつながりはちょっと心惹かれるが、短く言及されてるだけだし。
 どうも書き方からして、続巻なり前巻なりがありそうだ。探してみよう。…って今調べてみた。前から気になっていた「深紅のガランス」の続巻だったんだ…!

 この著者の方はまだ40代の若さで先日亡くなったそうだ。民俗学のフィールドワークに題材を採ったシリーズが特に好きだった。もう新刊が読めないのは寂しい。
 末筆ですが陰ながらご冥福をお祈りします。





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Last updated  April 14, 2010 03:24:39 AM
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