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May 11, 2010
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カテゴリ: ミステリ(海外)

老検死官シリ先生がゆく
コリン・コッタリル
ヴィレッジブックス 文庫
☆☆☆☆☆◎
 1976年、前年に共産主義国になったラオスが舞台。その国内でただ一人の検死官がシリ先生だ。この設定だけで、好奇心をそそられて読んだ。
 ちょうど、同時期に行われていた中国の文化大革命中の雰囲気がある。物資もなく、人材難(インテリはみんな国外に逃げたのだ)、庶民の生活は貧しい。日本だと終戦後しばらくして経済成長が始まる前の雰囲気だ。また、共産化しているだけあって、好ましからざる人物は「セミナー」だのなんだのに送られるし、一般庶民が教育省とやらの命で「喜んで」休日にもドブさらいだのの社会奉仕活動を強いられたりする。
 そんな社会状況の中、シリ先生は、72歳。若い頃フランスで教育を受け、愛した妻がいたから共産主義運動に加わったという経歴の持ち主。妻が死んで、引退できると思っていたら、国内たった一人の検死官に任命されてしまうが、助手はタイの芸能誌と漫画ばかり読んでいる看護師とダウン症の青年。だが、先生の人徳かこの二人も役に立つ。
 そんなシリ先生のところに共産党幹部の奥さんの遺体が運び込まれてくる。先生は死因に疑問を持つが亭主がとっとと葬ってしまう。さらに立て続けに怪しげな遺体が運び込まれてくる。特にベトナム人の遺体には拷問を受けたような後もあり、調査を始めたシリ先生の身辺がキナ臭くなっていく。
 が、ここで、シリ先生には科学的な能力に加え、超自然の能力があることが分かってくる。周囲は誰一人信じないが、そういう能力に恵まれていなければ切り抜けられない危機を切り抜け、先生は協力者達とともに事件を解決に導くのだ。
 ないないづくしの検死現場にシリ先生の能力、共産主義政権下で全体主義の社会でありながら、どこかのんびりしているように感じるのはどうしてだろう?連続殺人で陰惨なはずなのに、ところどころ読んでいていて楽しい場面もあり、飽きない。原書は賞も受賞しており、シリーズになっているそうだ。続巻も是非読みたい。





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Last updated  May 11, 2010 02:20:30 PM
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