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June 7, 2010
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カテゴリ: ミステリ(海外)

【中古】afb【古本】マルヴェッツィ館の殺人 上/ケイト・ロス

【中古】afb【古本】マルヴェッツィ館の殺人 下/ケイト・ロス
ケイト・ロス
講談社文庫
☆☆☆☆☆◎

ネタバレ部分は背景色と同色にしてありますが、未読でこれを読むと、本当に興ざめになりますので、ご注意ください。

 19世紀初頭、イギリス貴族のジュリアン・ケストレルを主人公としたミステリシリーズの最終巻、というか遺作。著者はこの本を書いてから41歳の若さで癌のため亡くなっている。
 最初から解説を読んでいたので、この作品で最後というのは分かっているが残念。この作品がシリーズ中でも一番読み応えがあった。まあ、長いってものあるけれど。
 これまでとは変わって、ジュリアンは従僕のディッパー、親友(になっている)の医師マクレガーを伴って、イタリア旅行中。4年半前、急死した名門貴族の当主ロドヴィゴ・マルヴェッツィ侯爵が実は殺人だったと知り、その解決を買って出る。事件は侯爵が殺された夜に姿を消した、テノール歌手、通称オルフェオが犯人との色が濃いが、オルフェオはそれ以来消息不明。殺された侯爵は唯我独尊の傲慢なオヤジ。その弟は自由主義者、そして若い後妻、無能でプライドばかり高く、父親にはまるでアタマの上がらない唯一の息子、その妻はカストラートに入れあげて、こっそりお付き合いしていればいいものの、彼の元に走ってしまう…。といういかにも込み入ったお家騒動の渦中だった。
 華やかなイタリア貴族の生活ぶりに加え、著者が好きだったオペラが随所に織り込まれ、前の作品では少なかったハラハラする場面もあって、読んでいて飽きない。しかも、ストーリーは二転三転する。結局最後は最初読んでいるときには思いもかけぬ人物が犯人だ。そして、オルフェオの正体も 実はケストレルだったという…。まあ、なんとな~く察しがついてしまうのだが…更に、カストラート、ヴァレリアーノの父親もロドヴィゴ侯爵だったという… 社交界の伊達男も登場し、映画にしたら、見ごたえがありそうだ。いかにも女性作家だなと思うのは、テノール歌手とカストラートがおいしい役であるところ。特にヴァレリアーノは主人公のジュリアン以上にかっこよく書いてある。で、最後はギリシャ喜劇なみ(?)の大団円。でも端役の貴族ではない人々が誰もいい味だして書き込んである。むしろ貴族連中の方がテンプレな描写かも。また、父ー息子、母ー娘といった親子関係がストーリーに大きな役割を果たすのは前に作も含め、この著者の特徴かもしれない。





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Last updated  June 8, 2010 01:02:06 AM
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