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September 12, 2010
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カテゴリ: ミステリ(日本)

神々の乱心(上)

神々の乱心(下)
松本清張
文春文庫
☆☆☆☆☆◎
 未完の遺作。とはいっても、連載はあと10回もかからず終わる、(それでも一年近くかかるわけか…)と著者が予告していたそうで、最後の解決編残しになっているだけで殺人の理由などは明らかにされている。とはいえ、昭和8年頃の満州、東京、三次、茨城など各地を舞台に新興宗教、特務機関、関東軍、有閑華族、特高警察、憲兵隊、古墳盗掘、宮中の女官とその内部などさまざまな事件や事柄が絡み合う。登場人物も多いし、舞台は昭和8年だが、その15年くらい前にもストーリーが及ぶ。かなり込み入ったストーリーで読み応えのある内容だ。でも、最後まで解決していたら代表作になったのではないかと思う。やっぱり未完なのは残念だ。
 冒頭は、特高警察の係長、吉屋が怪しげな研究団体を自称するが、どう見ても新興宗教ではないかという団体から出てくる若い女性を尋問することから始まる。彼女は宮中の女官で、やがて自殺してしまう。それに責任を感じた吉屋は吉野の古い神社である彼女の実家で行われた葬儀に参列、そこで彼女が仕えてきた宮中の女官の弟である有閑華族と彼女の兄と出会う。さらにこの有閑華族、萩園泰之も事件について調べていく。一方では吉屋も捜査を進めており、時には泰之ともすれ違ったりしていく。正直、この二人が協力すれば解決も近いのではと思わせる。が、そうなるまえに終わってしまっている。巻末にこの後の展開を予想する材料となる著者と編集者とのやりとりがあるのだが、この中にまだ作中に出てこないが解決には重要と思われるネタが残っているし。昭和8年、日本がどんどん軍国化していく時勢が背景だが、吉屋の行動を読んでいると、この人、この後の日本の歴史を生きていけないんじゃないかと思ってしまう。だいたい、こんな押し出しの弱い特高なんていたんだろうか、という気分になってしまった。





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Last updated  September 12, 2010 09:53:16 PM
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