In association with The British Museum Dorling Kindersley Book Soft cover, 280 x 217(mm) ☆☆☆☆ 洋書。Eyewitnessというシリーズの一冊。大英博物館の協力のもと書かれた子供向きのミイラの本。判型が大きい上に表紙・裏表紙にはこれでもかとミイラの写真が載っているので、絶対に電車の中では読めない。私も夜中に読んでいて少々気持ち悪くなった。本文は70ページあまりで、子供向きの本なのだが、情けないことにちょっと読むのに時間がかかってしまった。写真が非常に多く単語も私が殆ど辞書を引かずに読めたくらいなので、そんなに難しくない。洋書の入門に興味のある方にはいいと思う。ただ、書いてあることは大体私も知っているようなことが多い。そして全体のページのうち半分がエジプトのミイラに割かれている。ツタンカーメンのことも出てくるが、ツタンカーメンは最近の研究でDNAの解析ができたか何かで新しい事実が沢山出てきているので、日本語のサイトでそのあたりを確認すると面白いかもしれない。エジプトのミイラのほかは、アンデスのミイラ、氷河の中に閉じ込められてミイラ化した遺体、泥炭層の中でミイラ化した遺体、シチリア島のミイラ、そして少しだけ日本の即身仏や赤の広場にあるレーニンの遺体についても触れられていた。そういえば、ミイラへの加工作業もこの本では"embalm"という単語が使われている。現代のエンバーミングもミイラの範疇に入れられているようだ。また、気象条件により自然にミイラ化した遺体と気象条件を利用して人工的に作られたミイラとが扱われている。私が一番面白いと思ったのは巻末のタイムライン。本の中で扱われているミイラがいつくらいに作られた/できたものかが西暦に沿って並べられていた。一番古いミイラはアルプスの氷河の中で発見された紀元前3500年前後の男性のミイラだそうだ。エジプトでミイラが作られ始めたのはその後。しかし、この氷河の中で見つかった男性、まさか約5500年後に自分が研究対象になるなんて思わなかっただろうなあ。そういえば、19世紀に北極で葬られ、自然にミイラ化した船乗りの死因が缶詰技術の不備による鉛中毒で、精神的にもおかしくなっていたんじゃないかとか、聞いたことはあったが、泥炭層で発見される古代ゲルマンのミイラは大抵真冬に殺されており生贄でなんらかの宗教的儀式に則ってのことだろう、といった記述は興味深かった。それにちょっとビックリしたのは、1920年代くらいまではシチリア島でもミイラが作られていたし、現在でも依頼すればミイラを作ってくれるところがあるそうだ。鉄器時代から現代までの歴史の流れの中でミイラを説明しているのは面白い視点だと思う。