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February 1, 2014
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カテゴリ: 日本の小説

【送料無料】オクシタニア [ 佐藤賢一 ]
佐藤賢一
集英社 四六上製
☆☆☆☆☆
 アルビジョワ十字軍についての小説。本文二段組622頁の大作。文庫では上下巻。やっぱり長かった。そして、この小説自体がおよそ70年余の歳月のストーリーなのでやっぱり長い。おそらく全編を通じての主人公はトロサ(トゥールーズ)の名家の息子で後に異端審問官となるエドモンだろうが、他に最初のアルビジョワ十字軍の総司令官?シモン・ドゥ・モンフォール、「無冠の帝王」と呼ばれたトロサ伯ラモン7世の視点でもストーリーが展開される。
 この小説で一番興味深かったのは、カトリックの異端審問官の視点でカタリ派が描かれていること。結構納得してしまうところもある。オクシタニアはオック語が話される地というような意味らしいが、この小説ではオック語話者は全て関西弁で描かれている。これについては読者レビューを読んでいても賛否ある。私も伊勢や京都の言葉ならまだいいが、どーも大阪弁に近く思えてちょっと違和感を感じないでもない。しかし、トロサは商都で自治都市というからあながち不適切ということでもないと思う。
 この小説は70年余の歳月を書いているので、正直、時代の感覚が分からなくなった。エドモンだけでもいいので、その時の年齢が書いてあればよかったと思う。オクシタニアは北部のオイル語圏(この本の中ではこちらが「フランス」)に比べて格段に豊かな土地であり、それだけに享楽的なところが否めなかった。そこにつけこまれて、カタリ派の討伐を口実に法王庁とフランスに攻め込まれてしまい、結局フランスに併呑されてしまう。この小説はそれを描いたものといえる。私はこれでカタリ派が出てくる小説は三作目だが、この本が一番読みやすく、内容もとっつきやすかった。自由であることを願うが、それが上手くいかないエドモンの妻だったジラルダはカタリ派の完徳女として出家してしまう。それで愛する女をカタリ派に取られたと逆恨みしたエドモンが対立するカトリックの異端審問官になるわけだが、ちょっとそれからのエドモンがかっこよすぎかも。最後の最後ではこの本は彼ら二人の純愛に落ち着くが、私は結構この終わり方も嫌いではない。そして、二枚目に描かれていたトロサ伯ラモン7世もジラルダに横恋慕するのだが、途中彼の前世の生活が出てくる。そこも歴史小説の作中作で面白かった。
 初めて読んだ著者だが、内省的になり過ぎず、淡淡とした筆致が結構気に入った。他の本、特にミステリっぽい「カルチェ・ラタン」は読んでみたい。そういえば、化粧品メーカーの「ロクシタン」はまさにこの「オクシタニア」のこと。オクシタニアの歴史をこの小説で読んだ後だと、ちょっとロクシタン社の企業理念なんかも気になってきた。また、カントルーブの「オーベルニュの歌」は歌詞がオック語。一度聴いてみたが、ルーツ音楽好きとしてはちょっとソフィスティケートされていたものの、結構好み。またちゃんと聴いてみよう。





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Last updated  February 1, 2014 12:48:47 PM
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