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January 22, 2018
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カテゴリ: 日本の小説

悲素 [ 帚木蓬生 ]
帚木蓬生
新潮社 四六上製
☆☆☆☆☆◎
 和歌山砒素カレー事件を扱った小説。だが、登場人物は、実際の事件の人物だと、それとわかる程度の仮名になっている。主人公は松本サリン事件にもかかわった医師。他にも歴史上の毒殺事件などを織り交ぜながら、事件の捜査と被害者たちの様子が描かれている。本当に関係者にこういう人がいたのかと思ったのが、数年前の日付すら克明に記憶しているサヴァン症候群の被害者。彼がいなかったらこの事件の発端は闇に埋もれたかもしれない。そして、判決でケリがついたと思っていた事件だが、裁かれたのは氷山の一角であり、被告は毒で保険金をだまし取っていた被害者が他にも存在しているのだ。さらに被害者の方たちは、今でも後遺症に苦しんでいると思われることが、恐ろしい。
 しかし、献身的に被害者の診察にあたる主人公の医師と、彼が協力を依頼し、それに応える医師たち、そして、捜査官たちの姿には本当に頭が下がる。特に、捜査の中心人物で、犯人に手錠をかけた刑事が、この事件の起こった地区の交番に異動し、定年後もそこで過ごすとつづられた手紙には涙が出た。こういう人こそ、本当に公務員の鑑だと思う。この捜査官たちが、きっとすごくいい人たちなんだろうな、というのは、主人公の医師に仕事に関係なく遊びに来てくれたら、自分たちが休みを取って案内すると言っているところにも表れていると思う。
 本の表紙から、毒物関係のミステリだと思って読み始め、さらにあまりノンフィクションは興味がないのだが、この本は本当に読んでよかったと思う。





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Last updated  January 22, 2018 12:05:32 AM コメントを書く
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