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8畳1間のフローリングの部屋。 郁己の部屋らしく、ムダな物はない。 いたってシンプル。 初めて入るわけじゃねーけど、あんまり郁己の家には来ないから、新鮮な感じ。 オレはベットの横に背を預け、座る。「話って?」 郁己がカバンの中から教科書を机の上に出している。「あー実はさ……」 自分でここまで来ておいて、一瞬躊躇してしまう。 何というか……。 オレの話を聞けば、きっと驚くと思うから……。「何かやらかした?」「えっ?」「暗すぎる。優也らしくねーし」 郁己がそう言いながらオレの隣に座る。「……ん……オレ、やらかした……」「何? まさか、誰か、はらませた?」 郁己の言葉でオレは顔を上げる。 無表情の郁己。 何ていうか……。 誰かをはらませるとかって、本当だったらすげー深刻なことだろ? それを、サラリと言ってしまえる郁己がすごいと思う。「何でそうなるよ……?」「優也ならありえるかなーと思って」「最近、やってねーし!」 相手がいないのにありえねー。 >>>つづく
2006年07月30日
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「分かんない……とりあえず、郁己に任せたわ。優也、カゼひくから。早く温かくしなよ?」 真奈はそう一言言い残して帰っていく。「……とりあえず……家、来る?」 困惑顔の郁己。「ごめん……郁己に話あって……」 何故か分からないけど、郁己に聞いて欲しかった。 いやっ……郁己しか話せなかった。 誰にもぶちまけたことのないこの感情。 誰にも言うことなんて二度とないと思ってた。 もし、言うことがあっても、もっと先だと……。 今、ひとりで抱え込むには大きすぎる感情。 というか……。 オレ自身が驚いてたんだ。 この感情が湧いてきたことに……。 郁己の家に着くとずぶぬれになったオレを見て、郁己のお母さんがタオルと着替えを貸してくれた。 あとはホットハチミツティー。 体を温めるのには十分くらいすぎるいいらしい。 自分の体が冷えていたなんて知らなかったオレ。 体が芯から温まるのが分かる。 匂いもいいし、五感でも感じられて、いいかもしれない。 初めての味に、甘すぎず感動する。 まだ6月はじめ。 雨なんか降れば、寒いのは当たり前だ。 でも、それさえも忘れるくらい、オレは夕方のことを考えてたんだ。 >>>つづく
2006年07月28日
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いつも、訪問してくださるみなさま、ありがとうございます。今日、10000HITしました~まさか、ここまで来るとは思わず……みなさまの訪問のおかげです。ここでは、竜也と花澄のお話を中心にアップしてきました。まだまだ、Precious loveは続くのですが、去年からTずっと作りたいと思っていたHPを開設しました。こちらは、まだ、開設したばかりなので、実は、竜也と花澄のお話すらアップしてないですが…順次、アップしていく予定なのでもし、よろしければ、覗いてみてくださいね。HP開設企画として、1つお話を載せてあります。(これは完結済みです☆)そして、こちらの楽天のブログは、Precious loveの完結までは、もちろん、続けます。そのあとは、日々の日記に移行していこうかなと考えております(←でも、わたしは気分野なのでまた、変わるかも/笑)なので、こちらもチェックしてみて下さいね☆新設HP”The clystal of a dream”はこちらから→http://happy6together.web.fc2.com/是非、遊びに来てくださいね♪
2006年07月26日
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5.優也の気持ち あー。 何てことだ……。 まさかこんなことになるなんて……。 くそっ。 ただ、冗談のつもりだったのに……。 あのやわらかいぬくもりが未だに染み込んで放れてくれない。 何なんだよ……。 ありえねー。 オレは竜也たちと別れて、急に降り出した雨に濡れながら郁己が通う塾まで来ていた。 ちょうど塾が終わる時間らしく、人がまばらに出てき始めた。「あれ? 優也? どーしたの? ずぶぬれ……」 真奈が駆け寄ってくる。 今は小雨ほど。 傘がなくても歩ける範囲だ。「郁己は?」「まだ中だと思うけど……いつからいたの?」 数時間前、一緒にいたオレと様子が違うと感じたらしい真奈は深く追求してこなかった。 小雨に似合わないくらいずぶぬれのオレ。 どう見てもこの場所に似合わない。 髪から雨の雫が落ちる。「……今さっき……」 オレがそう一言ゆった時だった。「あれ? 優也? どうした? お前……」 玄関から出てきた郁己がオレを見つけて近づいてくる。 はっきりオレを認識すると驚いた顔になる。「どーした?」 郁己がオレの隣にいる真奈を見た。 >>>つづく
2006年07月26日
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「あっ……」 同時に竜也がわたしに触れたくなった理由も見えた。 さっきの雨でカッターシャツから下着が透けてしまってる。 薄いピンク色のブラ。 自分で見ても恥ずかしくなる。 こ、これじゃぁ、したくなるよね……。 不覚だった。 全然、気付いてなかったわたし……。 こ、これって……わたしが誘ってるようなもんだよね……?「花澄?」 洗面所のドアの向こうから竜也の声がする。「なっ、何?」「入っていい?」 あっ……どうしよう……。 わたし、近くにあったタオルを取ると、体を隠すよう覆う。「うっ、うん……」 わたしの返事を合図に竜也が入ってくる。「ごっ、ごめん……勝手にタオル……使ってる……」「あっ……うん。これ、着替え……姉貴のだから着替えたらオレの部屋に来て」 竜也はそういい残して洗面所を出て行く。 はぁ~。 何か、すごくぎこちない。 というか……。 恥ずかしくて……。 何を話していいか分からない。 あの男っぽい竜也についていけない自分がいて……。 というか……ついていくのが必死だったんだ。 竜也に置いてかれてしまうんじゃないかって。 竜也だけが歩いていってしまう。 わたしひとりがぽつんと取り残されちゃうんじゃないかって……。 すごく怖い。 きっと、竜也も必死なんだろうけど……。 わたしも必死なんだ……。 >>>つづく
2006年07月25日
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ビクッ。 ふたりの肩が飛び跳ねる。 わたしも竜也も慌てて離れる。「ごめっ……オレ……」 慌てた様子の竜也。 わたしは、カベに全体重をかける。 そうでもしなきゃ、立ってられない。 恥ずかしくて顔を上げられない。「竜也? いないの?」 玄関の声はさらに大きくなる。「ち、ちょっと待ってて」 頭の上から声が降りてきた。 竜也が洗面所を出て行く。 ビ、ビックリしたぁ……。 わたし、大きくひとつ深呼吸する。 さっき以上に早い心臓。 竜也の手がわたしの素肌に触れた……。 む、胸に……。 そう思うとかぁっと体が熱くなる。 う、うわっ。 さっきのことが頭を掠める。 でも……。 もし、誰かが家に帰って来なかったら? どうなってたんだろう……。 あのまま、ここで……? わっ、わっ。 ムッ、ムリだって。 だって……。 あんな男っぽい竜也、初めてだった。 いつものやわらかい竜也とは全然違った。 何というか……感情がむき出しだったというか……。 すごく強引で……。 竜也から逃れられない気がした。 でも、そこに愛情が見えてて……。 すごく複雑な感じだった。 竜也に会う前に優也に抱きしめられたときとは全く違う感覚。 ふっと右を向くと鏡に映ってる顔を真っ赤にしたわたしがいた。 >>>つづく
2006年07月24日
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ダッ……ダメ……。 やっ……ヤダって……。 体に力が入らないっ……。 なっ……何……これ……? 左手で竜也が支えてくれて、後ろがカベだから立っていられるけど……。 そうでなければムリ。 自分の体だけじゃなくて……。 頭の中も真っ白で。 何がなんだか分からない。 はっきり分かるのは竜也の体温とわたしの体温。 息苦しさ……。 そして。 初めて感じる竜也の男っぽさ 。 これから起こる未知の世界。 競りあがる不安と恐怖。 羞恥心。 つい、数時間前に話してたことが起こってしまうなんて……。 でも、竜也が好きで、受け入れたい自分もいて……。 竜也の溢れるほどの愛情も分かってる。 同時にわたしの竜也に対する愛情も……。 外の雨がまた、強く降り出し、音が洗面所に響いてきたとき。「竜也ぁー?」 玄関のほうから声が聞こえた。 >>>つづく
2006年07月22日
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わたし以外の手がわたしの体に触れている。 それが竜也だと思っただけで、一気に羞恥心がこみ上げる。 すごく恥ずかしくて。 体の芯から熱いものがこみ上げてくる。 ついさっきまで体が冷えていたのがウソみたい。 わたしの体温でカッターシャツが乾いてしまうんじゃないかと思うぐらい。「…………ッ……アッ…………」 首筋に落ちている唇が甘くそこを噛む。 さっきからわたしの頬に当たっている竜也の髪がくすぐったい。 竜也が動くたびに竜也の首にかかってる濡れたタオルも頬を掠める。 竜也の右手がすり上がる。 カッターシャツの襟元から素肌に触れる。 ドクン。 ひとつ、大きく胸が鳴る。 それを合図に心臓がけたたましく鳴り始める。 ドクドクドク……。 そこに触れてる竜也にも伝わってると思う。 素肌でうごめいていた手がカッターシャツの中に入り込んでくる。「ちょ……ちょっ……まっ……」 わたしの抵抗する間もなく右手は降りていく。 冷えた指先。 下着と素肌の間に割り込む。 ラインに沿って手が動き入ってくる。「あっ……んっ……」 竜也が顔を上げ、わたしの唇を再び塞ぐ。 >>>つづく
2006年07月20日
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「竜也……?」 唇が離れた瞬間。 わたしの声が震える。 それでも竜也はわたしを見つめたまま、再び唇を塞ぐ。 抱きとめられたまま、わたしは洗面所のカベに押し付けられる。 雨に濡れたカッターシャツと冷えたカベが肩を冷やす。 竜也の舌がわたしの口の中に割り入ってくる。「……んっ……」 ちょっ……。 う、うそでしょ……? 口の中で違う生き物が生息しているみたいに、うごめき回る。 わたしを捉えるかのように……。 ゾクリとした感覚にも似た悪寒。 竜也の腕に手を置いていたわたしの手に力が入る。「花澄……」 竜也の唇が離れる。 ひんやりとした空気が唇にまとう。 それと同時に竜也の右手がカッターシャツの上からわたしの胸の辺りを掠める。 えっ? ち、ちょっ……。 濡れたカッターシャツが素肌に張り付く。 冷えたカッターシャツの上から竜也の温かさが伝わる。「……たつ……あっ…………」 竜也の唇が首筋に落ちてくる。 同時に右手が胸をもみしだいてくる。 やっ……。 ど、どうしよう……。 体温が一気に上がる。 >>>つづく
2006年07月19日
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洗面所まで行くと、竜也がわたしにタオルを渡す。「これでふいて。オレ、着替えとって来るから」 竜也がスルリとわたしの横を抜けようとした瞬間。「竜也!」 わたし、手首をつかむ。「竜也こそ、軽く拭かなきゃ! 部屋、ベタベタになっちゃう!」 わたし、竜也からもらったタオルを竜也の頭にかける。 だって、竜也の髪からも大粒の雫が落ちてる。 少しでも拭いとかないと……。 竜也の髪から水気を取るようにタオルでゴシゴシ拭く。 背が高いから竜也のこと、見上げちゃう。 ちょっと驚いた感じでわたしを見下ろす竜也。「……花澄……」 そう言われたかと思うと、唇が落ちてきた。 すっかり冷え切ってしまった竜也の唇。 ひんやりとした感覚が残る。 長い長いキス。 徐々に唇が体温を戻す。 同時に抱きしめられて、キスが深くなる。 えっ? 初めての感覚。 今までに何度も竜也とキスしたけど……。 こんな力強いキスは初めて。 今まではすごくやわらかくて……。 心地よかった。 今日は男っぽい強引なキス。 にわかに焦る。「竜也……?」 唇が離れた瞬間。 わたしの声が震える。 >>>つづく
2006年07月18日
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今日、天気いいってゆってたよ? どしゃ降りなんだけど……。 しかも、この当たり、雨宿りするとこなんてないし……。 竜也に手をひかれて走るわたし。 竜也のペースについていけず、息が上がる。「大丈夫か?」 前から声が聞こえる。「……うん……」 わたし、顔も上げられず、返事をする。 だって……。 目に入ると痛いんだもん……。 雨の降りが少し弱くなったら、竜也の家についていた。「うわっ。誰もいねーのかよ……」 玄関のドアを鍵で開けながら竜也が言う。 真っ暗な玄関。 竜也が電気をつける。「上がって」「えっ……でも……」 このまま上がったら、廊下が濡れちゃう。「いいから!」 竜也が手を引っ張る。 わたしと竜也、本当にずぶぬれで……。 ペタペタと音を立てて廊下を歩く。 ひんやりした竜也の家。 6月といえども雨が降ればまだまだ寒い。 体が芯から冷える。 雨にやられたって感じ。 髪もボサボサだし……。 すごく恥ずかしい。 >>>つづく
2006年07月17日
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優也と一緒にいたときのことを思い出す。 優也に抱きしめられたこと。 あっ、ありえないんだけど……。 そんなこと、竜也になんて言えないし……。 べ、別に、竜也が見てたわけじゃないから、分かんないんだけど……。 何だか、見透かされてるみたいで、怖い。 竜也が知ってる気がして……。「花澄?」 竜也がわたしを覗き込む。「どうかした?」「えっ? な、何でもないよっ!」 平静を装って、笑顔で返す。 竜也のこと、直視できないよ。 ちょっとぎこちなくなった気がして……。 ちらっと竜也の顔を盗み見る。 竜也は何もなかったかのような表情。 よかったぁ……。 わたしがホッと胸をなでおろしたのもつかの間。「えっ? うそ……」 ポツポツ……。 さっきまで青空でいい天気だったのに? いやーなねずみ色の雲が現れたと思ったら、どしゃ降りの雨がわたしと竜也を襲う。「花澄、走るぞ!」 竜也がわたしの手をつかむ。 バシャバシャバシャ……。 竜也とわたしの足音が重なる。 みるみるうちにグレーの地面が黒くなる。 白いカッターシャツもあっという間にグレーがかったようになる。 黒のスカートもより深みを増す。 雨が素肌に当たって跳ね返る。 顔に当たるのが痛くて、顔を上げて走れない。 髪も濡れて、大きなしずくが落ちる。 何? この雨……。 >>>つづく
2006年07月16日
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餃子の皮も自分で作るってすごい! 料理人じゃん! ちょっと尊敬! 優也って、そんな才能、あったっけ? でも、男の人が料理できるっていいよね? 女の人とは違う力強さっていうか……。 ワイルドさっていうの? 男の料理って、そいういイメージがあって……。 憧れてしまう。 本を読んでる優也は真剣そのもの。 こうやって、女性誌の中にある料理雑誌を手にとって読んでる優也って、イメージにないから余計におかしくなっちゃう。 そんな優也を見て、ついつい微笑んじゃう。「ごめん、遅くなった……」 制服姿の竜也が駆け込んできた。「おう。オレ、行くとこできてさ……」「うん。ありがとな」「じゃぁ、オレ、行くわ」 優也が雑誌を棚に戻す。「オレらも行くか」 竜也がわたしを見て、3人でコンビニを出る。 優也とはコンビニを出て、すぐに別れる。「今日、深夏と一緒じゃなかったの?」 歩き始めてすぐ、竜也がわたしに聞く。「あっ……一緒だったよ? 真奈もいた。何でか知らないけど優也も来た……」「そうなんだ……」「う、うん……」「……優也から、一緒にいるってメール来たからさ……おかしいなーって思って……」 ドクン。 胸が騒ぐ。 >>>つづく
2006年07月15日
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そういえば……。 調理実習とか、進んでやってたっけ? 優也は食べるのより作るほうが楽しそうだった気がする。 にしても、意外だな。 包丁とか持って野菜を切ってる優也……。 こんな背が高くて大きいのにネギとか切ってたら笑える。 想像したら、思わず笑いがこみ上げてきた。「お前さー笑うって、しつれーじゃね?」「ごめんごめん……」 何だか、似つかなくて……。 キッチンに優也って、違和感がある。「花澄こそ、こういうの、読んだら? てか、料理、できんの?」「し、失礼だよ! 一応、できるし!」「得意料理は?」「……あさりのスパゲティー……」 わたし、それしか自慢できないかも……。「あ~……スパゲティー……」 優也が鼻で笑う。 失礼だって! 鼻で笑う? 普通……。「茹でてからめるだけだし……」 簡単すぎねー? って……。 簡単でもいいじゃんねー。 おいしかったらいいんだよ!「そういう優也は得意料理とかあるの?」「オレ? 家族受けがいいのはハンバーグ。でも、オレ的には餃子だな。悪いけど、餃子の皮も自分で作るからな!」 得意気の優也。「そんな本格的なの?」「まあな」 そう言って、真剣に本を読み始めた。 >>>つづく
2006年07月14日
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4.あまやどり「そー言えば、竜也呼んだんだけど……」「はっ? 何で?」「あーオレ、これから寄るとこあって……竜也にバトンタッチ」 何だそれ。「でも、用事あるって……」「用件終わったらしいけど? さっき、メール来た」 優也がそういって、わたしに携帯を出す。 わたし、ありえないことなんだけど……。 今日、携帯を家に忘れてきちゃって……。 家に帰らないと竜也と連絡がとれなかったのね。 でも、だからって……。 ひとりで帰れるし……。「てか、携帯忘れるとか、ありえなくねー?」 優也がわたしを流し見る。「だ、だって……昨日、充電してて……朝、遅刻しそうだったから……」 携帯のこと、すっかり忘れてたんだ。 電車に乗るまで気付いてなかったわたし……。 本当、ありえない。「ここのコンビニ待ち合わせ」 優也がそう言って、コンビニに入る。 入ってすぐの雑誌コーナーで優也が足を止めた。「えっ? 料理?」 優也が手に取った本を思わず見てしまう。 料理って……。 優也が?「悪いかよ……」「いやっ……意外だなと思って……」 優也が料理ね……。 >>>つづく
2006年07月13日
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でも……。 竜也以外の人に抱きしめられてもこんな感覚になるんだ……。 未だにドクドクいってるこの事実。 いやっ……。 でも、ドキドキの種類が違うよね?「ってか、竜也の前にオレが食ったら、竜也に殺されるって!」 優也が立ち上がった。「そ、そーゆーこと、言わないでよ……」 食うとかさ……。 ありえないから!「まっ、頑張れって! 竜也からの事後報告、楽しみにしてるからさ! あっ、花澄も教えろよ? 痛かったかどうか! そこ、重要」「……なっ……何でそんなに知りたいの?」「聞きたいから」 優也の一言。 そ、そう言われると、わたしも何も言えないんだけど……。 そんなに興味津々なことなの? その心理が分からない……。 >>>つづく
2006年07月12日
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それと同時だった。「……おもしろすぎる……」 優也が座り込んで笑い出す。 なっ……。 何? 何で優也、笑ってんの? わたし、優也を見下ろす。 え? どういうこと……? 状況がついてこないんだけど……。「なっ……何で笑うのよ?」「すげーその顔」 優也がわたしを見上げた。 さっきの優也とは打って変わって、おかしくてしょうがないみたいな顔。 え? わたしの頭の中は真っ白。 なっ……何? さっき、優也に抱きしめられてたよね? で……。 今、笑われてて……。 って……。 完全にからかわれた……? わたし……。「完全に魂抜けてた! すげーいいもん見た!」 優也のくったくのない笑顔。 なっ、なんて奴……。「あっ……ありえなんだけど……」「本当、花澄っておもしれー」「おっ、おもしろくないっ!」 うわ~。 わたしってば、不覚にもこんな優也にドキドキしちゃったなんて……。 それもありえない。 >>>つづく
2006年07月11日
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しかも、初めてだし。 全然、ありえないんだけど……。 っていうか……。 もしかして……。 優也、わたしのこと……? ううん。 それもありえないって! そんな話、聞いたことないって! でも……じゃぁ、何で? 分かんない~。「花澄……我慢できねー」 優也が体から離すとわたしを見る。 が、我慢できねー? い、今、そう言った? それって……。 どういう……? わっ、わっ! キ、キスされる……。「ダッ、ダメ~!」 わたし、大声で叫んで反射的に優也の胸を押しのけてた。 >>>つづく
2006年07月10日
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ど、どうって……。 ちょっ……。 ええっ? ドキドキドキ……。 なっ、何でこんなに緊張してんのよ、わたし……。 ゆ、優也だし……。「花澄……」 上ずるような甘い声。 まるで恋人にささやくかのような温かい声。 優也、なんて声……。 きっ、聞いたことないんだけど、そんな声。 っていうか、ありえないって!「だっ……だっ……ゆ、優也、何言ってるか分かって……」「分かってるよ」 トーンの低い声。 わ、分かってるって……。 分かってないし!「じ、冗談も……」「本気だけど……?」「………………」 わたし、それ以上、言葉が出せなかった。 本気だけど……。 そ、それ……。 ど、どういう……。 はぁ? 全然、優也のこと、つかめないんだけど……。 だ、だってさ。 優也とはそんなんじゃないし……。 ス、スキだけど、恋愛とかじゃないし……。 ましてや、体だけって……。 ギャ~。 ないないない! >>>つづく
2006年07月08日
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「えっ?」 わたし、優也を見る。 なっ……。 実践?「まぁ、痛くないようにはできるけど?」 優也がわたしを見る。 真剣な眼差し。 優也に笑顔はない。 え……。 痛くないようにはできるって……。 それって……。「花澄……」 優也が立ち止まって、わたしのほうを向く。「えっ?」 その瞬間。 優也がわたしの腕を引っ張る。 スポッ。 いとも簡単に優也の胸の中に埋まってしまったわたし。 はっ? 何? 状況が全然つかめなくて……。 わたし……。 優也の白いカッターシャツに顔を埋めてる。 心臓の音が聞こえる。 優也の手がわたしの肩を抱きしめる。「花澄……」 すごく優しい優也の声。 こ、こんな声の優也って……。「……ゆ、優也……?」 う、うそでしょ? 何、これ……?「どうする?」 >>>つづく
2006年07月06日
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