真実一路

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2025.05.22
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カテゴリ: 映画

バニラ・スカイ【Blu-ray】 [ ペネロペ・クルス ]

『オープン・ユア・アイズ』(1997、スペイン)のリメイク作品で、トム・クルーズ主演によるハリウッド版である。

公開当時(2001年)、私はこの作品にいたく魅了され繰り返し鑑賞したものだった。当時の私は身体的、精神的病に蝕まれ、現実を離れ夢の世界に逃避したいと毎日願っていたからだ。この作品は私を大いに癒してくれた。もし本当にリアルな夢のなかで暮らせるなら、それが現実と区別のつかない世界なら、そのための自死をも厭わないと本気で思いつめていた。人は誰も当てにはならなかった。それまで親友と思っていた同僚でさえ、軽薄な偽善者だと気づかされ失意のどん底に落とされていた。

久々に観なおして、ハッと気付いたことがある。それは、実は真相は明らかにされてはいないのではないか-ということだ。ストーリーの進行からすると、デヴィッド(主人公)が人口冬眠中にみていた明晰夢の世界から目覚めた瞬間で話が終わったと受け取れる。しかし映っているのは開いた瞬間の目だけで、それ以外の状況は不明だ。たとえば事故で崩れた顔とか、そこが人口冬眠していた施設とわかる描写はないのだ。ということは、こうも考えられる。人口冬眠でみていた夢の世界は、交通事故後の昏睡状態中にみていた夢で、つまり夢の中で夢をみていたのだと。そして目を開けた瞬間は、事故後の昏睡状態から目覚めた瞬間であると。さらにいえば、単純に一夜の夢から目覚めただけで、すべての出来事は夢の中の出来事だったと考えることもできる。この映画では夢と現実の区別は完全に示されてはいないのだ。だがそれはさして重要ではない。最初に友人のセリフとしても出てくるが、最後に救護員がデヴィッドに話す忠告、『酸っぱさがあるからこそ、甘さがあることを忘れるな』-この言葉に映画のテーマが集約されている。

常に良いことばかり、あるいは楽しいことばかりで満たされたいという思いは、人の性だ。しかしながら、「禍福 は糾える縄の如し」で、幸福と不幸とはつねに一体なのだ。それがいつどこでどのように発現するか、人はそれを事前に知ることはできない。さりとて、患難を避けようと何もせずに生きれば、退屈で虚しい日々が続くだけ。
欲を生きる-と、それしかないのかな... ただ、健全な欲でありたいと思う。そして、ささやかでいいから最後に望みをひとつ叶えたい。神よ、少しでいいから力をかしてくれ。





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Last updated  2025.05.22 17:53:16 コメントを書く


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