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2009年11月20日
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カテゴリ: 本のこと

おたふく物語

山本周五郎の小説が好きだ。
長編よりも、特に短編が。

初めて周五郎作品をまともに読んだのは、中学生くらいの時だったと思う。

小学生のころは、司馬遼太郎にはまっていた。
司馬作品はスケールがでっかくて、とてもかっこ良かった。
松本良順も、新選組も、みんな粋できりっとして、そして大らかでかちっとしていた。
魅力的に感じるのは、どれも男たち。
彼らの人生を彩る女性たちも素敵な人が多かったが、でも当時のこむぎちゃにとっては、あまり興味をひく存在ではなかった。

それに対して、周五郎の作品を読むと、どれも印象が強くて記憶に残るのは、女たちだった。

超シリアスなものから、滑稽物まで、その性格はさまざまだが、一人一人の生活習慣まで見えてくるようなその描写は、司馬作品の人物たちとはまた違った魅力があると思う。

司馬作品の人間たちは、広い広い海の波のしぶきのような感じがする。
雄大な歴史の中で、1滴1滴がそこを生きている人間とすれば、海を作るには気が遠くなるような数の人間が存在する。
歴史の表舞台に立つのは、その中で頂点にしぶいた一握りの人物だけなのだろう。
彼らは白い波しぶきになって強い存在感を示している。
そして、読者は、雄々しく立ち上ったその波の大きさ、高さ、さらにははかなさや繊細さを堪能するのだ。

一方で、周五郎の書く人間ってのは、同じ海にたとえるなら、その底に広がる砂や、さんご礁、そこを泳ぐ魚や貝たちであるような気がする。
こちらが海にもぐって、それらの生きているさまを覗いているような、そんな感じがする。
それぞれが、自分たちの生を一所懸命まっとうしている様子を見ているような、だから、おおおっっと息を呑むというよりは、そっと息を潜めてみつめてしまうような、そんな印象。

ま、どっちにも例外は多々あるけれどw


さて。


司馬遼太郎作品は、父親の書斎に全集があったので、そこから拝借して読んでいたから自分で買ったのは数えるほどなのだが、周五郎は自分でちびちびと揃えていったから、最初は文庫で集めた。

1冊読み終わると、本屋に行って、ブルーグレーの背表紙がずらりと並ぶ周五郎コーナーから新しい次の1冊を買うのが楽しみだった。

後にテーマ別に編集した全集が出たので、それも買いそろえたのだが、今でも読み返すとなると、やっぱり最初に集めた新潮文庫だったりする。
今の住居にも持ってきているしね。
もう何十年も昔に買ったものだからどれもぼろぼろになってしまっている。


「妹の縁談」「湯治」「おたふく」から成る、明るくて気立ての良い姉妹が主人公の3部作だ。

もっとも、最初に読んだときは、3部作とは気がつかなかった。
というのも、新潮文庫版だと、この3部作、全部ばらばらに別の短編集として収録されているからだ。
発表時期が数年にわたっているのもそうなった理由のひとつかもしれない。

細かいことを言えば、3部作とはいうものの、発表当初はそれを意識して書かれたものではなかったらしい。掲載誌も違ったようだしね。
だから、姉妹の妹の名前をはじめ、登場人物で統一がとれていない部分も少なからずある。
おたふく物語として3部作とされてからは、妹の名前は統一されたが、他に散見される矛盾点については修正されたところとそのままになっているところがあるということだ。

ま、そういう事情は、作品の魅力を前にしたらささいなことではあるのだけれども。

最初にこの作品、いいなと思ったのが、3部作の最後の作品となる「おたふく」だった。
発表順でいえば、これが第1作だという。
どんなものでも、1作目ってのが一番いいのかもしれないねw

この短編が妙に気に入って、何度も何度も読み返していた。
で、おたふくの解説を読んだら、3部作であることが書いてあったから、改めて他の2編も読み返してみたというわけ。
他の2つの作品も、印象には残っていたが、それほど気に入ったというわけではなかった。
でも、3部作として読むと、その2作品についても俄然魅力が増すから不思議だ。

姉妹のうち、こむぎちゃには特に姉のおしずが魅力的にうつった。
初めてこれを読んだときには、こんな人になれたらいいなぁって思ったものだw
解説によると、周五郎の2番目の妻とその姉妹をモデルにしたものらしい。
当時中学生だったこむぎちゃが、婚期を逃した36歳の長唄の師匠にあこがれるってのもどうかと思うけどwww
でも、最後まで読んで、おしずと貞二郎の話をもっともっと読みたいって思うほどにひかれたんだよなぁ。
読み終わったあと、すごくやさしい気持ちになれるんだよね。


冒頭にあげた「おたふく物語」はハルキ文庫のもの。
これは3部作が全部収録されている。
いつも新潮文庫版を読むときは、それぞれが収録されている3冊を並べて順番に読んでいたのだが、つい、どの短編集に収録されていたのか忘れてしまっていちいち探すのが大変だったんで、こっちのには文庫版で1冊にまとまってると知って速攻購入したw

収録順は、シリーズの時代設定としての時系列になっている。
だが、読むなら、だんぜん最初に「おたふく」から読むことをオススメする。

解説にも書いてあったが、先の2編を読んでしまうと、おしずの人物像が出来上がってしまうから、「おたふく」での彼女の魅力が薄くなってしまうような気がするのだ。
だから、最初におたふくを読んでほっこりしてから、さかのぼって「妹の縁談」と「湯治」を読む方が楽しめると思う。
実際、作品が発表されたのもその順番なので、あながち間違ってはいないんじゃないかとw

周五郎の日本語はとても美しくて、読みやすい。

周五郎の代表作である、日本婦道記の凛とした妻たちも素敵だが、この愛すべきおたふくたちも負けないくらい輝いているから、ぜひ彼女たちの生活を覗いてあげてほしいと思う。















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最終更新日  2009年11月21日 03時40分47秒
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