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2006年10月10日
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カテゴリ: 海外文学
サイレント・スクリーン
サンフランシスコの新聞社社長夫人がテロリストに拉致された。衛生中継の設備を持つ犯人は同日の夜、地元のテレビ局に夫人の拉致場面を送信、局はそれを放映した。フェニックスと名乗る犯人はテレビ画面を通して犯行声明を行う。犯人はもう一人、人気女性ロック歌手ステイシーのマネージャーも拉致していると述べた後、以後七日間にわたりテレビ裁判を行うと告げた!その映像を見ていた弁護士ロードにステイシーから助けて欲しいとの電話が入った。二人が会うのは一年ぶり、上院議員暗殺事件裁判の法廷以来だった…。







大統領候補キルキャノンが、選挙活動中の舞台で観衆の目前、頭を撃たれ殺される。その狙撃犯の裁判の法廷シーンが前半部の中心。 犯人はベトナム帰りの男で、ロードは”心神喪失による無罪”を主張する。 

ベトナムでの悲惨な兵士生活が 徐々に明らかになる。「ランボー」とか「ジェイコブズ・ラダー」などの80年代のベトナム戦争により心身を破壊された男の映画を思い浮かべれれば、その崩壊ぶりが想像できます。。帰国後、本人と家族を苦しめ 日常生活を破壊する。アメリカの闇のひとつがこうした従軍兵士の戦後の傷なのが分かります。


この前半の法廷場面の ベトナム帰りの男の内面が明らかになっていくくだりが リーガル・サスペンスとしては最高の盛り上がりです。

後半、一年後に、キルキャノン上院議員の恋人だったロック歌手ステイシー・タラントが、自分のマネージャが誘拐され、アントニー・ロードの助けを求める。二つの誘拐事件が発生するが、肝心の”フェニックス”という犯人の、正体や対決シーンは、前半の迫力程には盛り上がらない。 たぶん、犯人の正体は早くに見当がつくでしょう。 ただ、ふたつの誘拐事件に関わる、あやしいふたりの人物が同一人物だったことは予想つきませんでした。 

パターソン作品群は、途中7年のブランクがあり、弁護士トニー・ロード登場作品の「サイレント・スクリーン」と「サイレント・ゲーム」はそのブランク前と後とに、別れて書かれてる。 その為、作風は同じでも、やっぱりちょっと、力の差を感じます。「サイレント・ゲーム」は全編通して、肉厚なドラマ展開でしたが、「サイレント・スクリーン」は、ありがちなサスペンスと一括りには出来ない面白さがありましたが、前半の方がメイン・ストーリーよりも印象が強く、全体としてちぐはぐ感がいなめない。


いろいろな意味でこの「サイレント・スクリーン」はその後のパターソン作品の基盤となっている。未訳?の”No Safe Place”は、殺されたキルキャノン大統領候補の弟が登場する話らしい。「ダーク・レディ」も関連作品。


パタースン作品一覧



『ラスコの死角』    ハヤカワ・ミステリ文庫 1979
『アウトサイド・マン』 ハヤカワ・ミステリ文庫 1981
『ケアリ家の黒い遺産』  扶桑社ミステリー 1983
『サイレント・スクリーン』扶桑社ミステリー 1985
『罪の段階』  新潮社 1992 Dgree of Guilt  
『子供の眼』      新潮社 1994 Eyes of a Child 
『最後の審判』     新潮社 1995 The Final Judgment
『サイレント・ゲーム』 新潮社 1997 Silent Witness  
1998 No Safe Place
『ダーク・レディ』   新潮社 1999 Dark Lady    
2000 Protect and Defend
2003 Balance of Power










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最終更新日  2006年10月10日 14時34分17秒


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