2020年9月発売
パルファンサトリ
『 トライアルセットC 匂いの帝王のお気に入り(1.5ml×5種)
』より
■コンセプト
「をとめらのかざしのために、遊士(みやび)をの蘰(かずら)のためと、敷きませる、
国のはたてに咲きにける、桜の花の、にほひはもあなに」
万葉集 若宮年魚麿
万葉の時代から、日本のアートの中に描かれ続けてきたさくら。
雅やかに春を告げ、散りぎわも美しいこの花を、私たちはこよなく愛してきました。
花びらが風に舞うごとく、より軽やかに匂い立つように、
日本の美を香りに託し、丁寧に処方を組みました。
■香調:フローラル
明るくみずみずしい花の甘さが、うすべに色のふんわりパウダリーに変化します。
やさしくもきりっと美しい日本の「さくら」。
匂い袋のような和の花の香りです。
トップ:シソ、チェリー
ミドル:サクラ、ジャスミン、ローズ
ラスト:モス、ムスク、ウッディ、インセンス
■感想:私の好み度<85>(世界香水ガイド★4→80)
『日本人が投影する桜』
『桜』の作品で好きなゲラン『チェリーブロッサム(1999)』
(『パープルファンタジー(2001)』と同じプリーツボトル)
バイオレットのニュアンスでゲランらしさ、
日本的なパウダリー、ふんわりとした軽さ。
たまに恋しくなる香り。
そして「これは桜!」と感じたサトリ『桜(2004)』
ゲラン『チェリーブロッサム』と同じではないけど
これもまた日本人が思い浮かべる桜に近いかも。
サトリの作品(おそらく全てにいえますが)この感性に頷けるのは
調香師が日本人であり、茶道・香道も嗜まれることが大きいはず。
どちらも体験教室程度の私でもあの世界観を香りで思い出しました。
トップはラムネのようで甘く角がなく爽やか。
終始まろやか、いい意味でぼんやりとした桜の香り以外の印象も。
シソは梅干しを仕込む赤紫蘇の塩もみ中に感じる果実っぽさのあるグリーンに、
サクランボをかじった皮のかすかなほろ苦さ、酸味と甘みのフルーティーが少しずつ広がります。
ミドルではジャスミン&ローズにより香水らしさが出てきますが
このバランスが絶妙でトップの桜のイメージを持続させるための縁の下の力持ちな役割。
同時にモスがあることで完全に女性向きの雰囲気にはならず
薄くシプレのニュアンスでこのあたりが作品のキーであり、
日本的な香りにつながっています。
ムスク、ウッディで、ラストは石鹸のような香りに落ち着きます。
■拡散性・持続性
拡散性は、持続性ともに普通。繊細ながらもすーっと持続。
湿度のある日本でこの香り方はとても扱いやすいです。
■季節
通年。もちろん桜の季節にも!
■年齢
年齢は20代以降。女性向き。
オフィスでもオフでも、着物でも、日本の生活に溶け込む香り。
石鹸のような香り方でもあるため、
骨太な香水が苦手な男性が『桜』を使用されても清潔感があり似合います。
■リピートは?
どこかで感じたような香りですが『日本人が思う桜』がピタッとくる点は完璧。
レギュラーボトルを購入予定。
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