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カテゴリ: CDか行



何しろ、「貴族と熱砂の皇子」・・・貴族が、公爵の子孫である竹雪くんと言うのはすぐに分かりますし。そうなると、正体不明の砂漠の鷹・ザイードが皇子様であるのはバレバレですもの。
ザイードの正体は、最後の種明かし・・のはずですよねぇ?ザイードを恋しく思って(助かった後に)泣いていた竹雪が、皇子に逢うシーンでの感動が薄くなってしまうんですもの。そりゃ、皇子がヨーロッパから帰国したばかり・・だのと言う会話が誘拐事件の直後に入って、伏線は張られてはいますけど。

最初にこのお話を聞いた時には。その最後のネタばらしがタイトルを見た事で分かってしまった事と、置鮎さんのやっている貴族の末裔のお坊ちゃまが、なんだかなぁ・・と言うので、今一つ気持ちがのらなくて。
マタニティブルーではありませんが、社会人になる抱負だとか意気込みなんてまるでなしで、新生活に怯えるばかり。社会人ブルー?って奴ですかねぇ?そんな、旅のそもそもの目的からして「こらこら・・」と思ってしまったんですね。また、自分では何も出来ないお坊ちゃんなのに、異国の地で治安が物騒になってきている所へ出歩いては攫われるし。助けられているのに、砂漠の中に一人で逃げ出そうとするし。某アニメの登場人物風に言うなら、「あんた、莫迦ぁ?」ですよ(苦笑)。置鮎さんのモノローグで進むお話なのに、主人公である竹雪くんに感情移入が出来なくて。ザイードに抱いた恋心も、あの過酷な環境にあっての幻か、スキー場では2割り増しみたいなものか(ちょっと違うなぁ)・・・と最初は思いましたから。
実は。最初に聴いた時、ちょうど機動戦士ガンダムSEEDが放送中だったものですから。ザイードの愛馬が「アスラン」と言う名前だったことが、一番受けた事を白状します。

しかし。聴けば聴くほど楽しくなりましたねぇ
このドラマCDは、格好良い皇子様の檜山さんと、ボンボン(大笑)の置鮎さんを楽しむお話なのだと思います。

最初は、やはり「正体バレバレじゃないよ」と思いつつ聴くものですから、竹雪くんの「彼の正体は一体・・・」と最初の夜のモノローグには「皇子様だよ・・」とつっこんでみたり(って、聞きながら突っ込みを入れても仕方ないですが)。自分を助けに来てくれたザイード(=白馬の王子様)に惚れたっぽい竹雪のセリフに、からかうしかないザイード。彼にも、とっとと正体を言えば良いじゃないよ!とも思いましたし。


ところが。最初からザイードを皇子と認識して、彼の目線でお話を聞いたなら。これが楽しめたのです。普通にポンとお話を聞くよりも、面白かった。音楽も流石にインターさん、良い音楽だったなぁ・・。
ザイードとしては、メタハット達と会話をしていた事もあり。(皇子としての自分ならともかく)砂漠の鷹としての自分に嫁に来てもらうわけにはいかなかった。だから、最初から本気で竹雪を救出に向かってはいるのだけど、それをばらすわけにはいかない。
どうせばれるけど、大使館に勤務しているムスタファとの連絡先まで竹雪を無事に送り届けるまでは、(厳しい砂漠の中で)どうなるか分からないから正体を名乗るわけにもいかない(まぁ・・あの砂漠の時点で皇子であると名乗っても、竹雪が本気にしないでしょうけどねぇ)。
サルトルを読む彼は、アラー以外の神を知る機会を持っており(ヨーロッパに行っていた事など)、「皇子」と言う以前に人として自由な生き方を望む見聞をも持っている。男である竹雪を心のままに愛したいと願う経緯などは、砂漠だけで盗賊活動を行っているザイードではありえない事なんですよね。
そのくせ、砂漠の民として流れる血を否定出来ずにいる。いくつかのセリフから、砂漠を愛し、厳しい砂漠と生きる姿も見えてきました。それは、砂漠の皇子として生まれた彼ならでは・・のものでもあったでしょう。
また、竹雪を思っている彼の気持ちが見えた時。このお話は、別の意味で面白さを増しました。
そう理解したなら、最後の最後に、二人が愛し合っているシーンのかなりきわどいセリフも楽しかったですよぉ。

それに追加して、ベテラン宝亀さんのベドウィンのならず者や、皇子と一緒に兵役を経験したムスタファ役の井上さんらの演技を楽しむお話だと・・・。
特に、宝亀さんのフリートークでのお話は、かなり笑えましたねぇ。流石にベテラン!・・・それにしても、フリートークにだけ参加している堀内さん・・。どうせ司会で仕切るなら、出演者を盛り上げたり。内容をしっかり把握していれば良いのにねぇ・・。その辺りが、また笑いを招くポイントにはなっていましたが。

でも。ちゃんとムスタファと連絡をとっているから、連絡した日にそこまで行けば大使館に戻れる・・と約束してやれば。もっと早くから、ザイードと竹雪は仲良しさんになれたのに。
言ったら、竹雪が「どうして、ムスタファを知っているのか?盗賊のあなたが、どうして??」とややこしくなるし。お話的には、言えなかったでしょうけどねぇ。






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最終更新日  2007年02月08日 18時55分43秒
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