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・「きこえる」は音だったけど今回は写真で・1枚または2枚の写真に連動する形で書かれた超ショートショートのミステリー約50連発。意味が分からないものが大半、ネタバレサイトをみてやっと分ってなるほどと思ったり、見ても分からなかったり、見返すうちに分かったり・・・結局よく分からない作品も残った。・新しい試みであることは間違いない。とは言えこれは小説ではないと思ったが、究極のショートショートか?フォトミステリー -PHOTO・MYSTERY- [ 道尾 秀介 ]価格:1,485円(税込、送料無料) (2024/5/26時点)楽天で購入2024/5/19読了「静かな午後」:ギターを弾いているのに「静かな」ということはお爺さんは石になってる?「さがしもの」:探し物は上半身?ネタバレを読んでもすっきりしない。「お兄ちゃんの髪は濡れていた」:ジャンプしているように見える女の子は肩車されているのだった「行方」:鏡のミステリー、意味が分からなかった「能才」:巻き戻し「ジャンプ力」:分からなかったけど何度か見直してそういうことねという感じ「ごめんね」:何度目かで分かった悲しいくやさしいお話、「手紙」に続く「デュロン」:「ベロン」に続く「習慣」:オカルトだけどほのぼの「人のもの」:これは?分からなかった。「つちのうま」:「つ」と「う」を入れ替える、以下同文で告白文が分かる「今夜」:「つちのうま」の続編「成長」:意味わからんかった「聞いてごらん、と言った女性の肌は濡れていた」:ネタバレサイトを読んでなるほど「何日か経つと静かになった」:ネタバレサイトを読んでなるほど・・・50編以上あるのでキリがないのであとは記憶に残ったものだけ「手羽先」:これはネタバレサイト見ないと分からなかった。食材になったのは古臭い弓矢を持っていた2人の恋のキューピットだった!?なーるほど。「いかないで」:これもネタバレサイトなしでは理解できなかった。鏡文字と普通文字の順序の入れ替わりには気が付かなかった。なーるほどである。「中身は家の裏に埋めたそうな」:これもネタバレサイトを見ないと分からなかったけど、まだ桃太郎は熟してなかったという話。・何だろう?つまらなくはないけど難解すぎてあまり楽しめなかった感じ、何度か見直して、ネタバレサイトを見て何とか分るものが多いけど結局分からなかったものもある。・道を秀介さん、久しぶりに他の作品も読んでみようかなと思った。
2024.05.26
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・高野さんの作品は「13階段」が初読みで2作目。前作がかなり面白かった印象があって期待したのだけど・・・まさか幽霊が実在するというストーリーだとは思わなかった!そういえば「幽霊人命救助隊」という作品もあるので高野氏の作風の一部なのかもしれません。踏切の幽霊 [ 高野 和明 ]価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/5/20時点)楽天で購入2024/5/14読了・踏切で撮った写真に写っていた「幽霊」の写真を取材して主婦向けの雑誌の記事を書くように指示された元新聞記者の主人公が事件の真相に迫っていく。その裏にある反社会的集団と有力政治家の存在も次第に明らかになってくる、とても清純とは思えなかった元キャバクラ嬢の被害者=幽霊の人物像が終盤で明らかになってきて印象も大きく変わる。彼女がなぜ犯行現場となった踏切の近くに立っていたのか知ると切ない。・幽霊や超自然現象が本当にあったらそれは記事にできないというある意味矛盾した報道の姿勢にそうかもしれないなと思ったりした。でもそうじゃないような気もするけどなぁ・・・どうなんだろう?・ストーリーとしては面白かったのでケチをつけるのは気が引けるけどあえて言えば、わざわざ被害者の友人女性に組員の男を良い仲にしたりする必要もなく、被害者を殺して埋めたり沈めたりしておけば済んだことではないかと思うのだけどどう?とか幽霊になった彼女に殺人犯や影の政治家を殺す力があったのなら最初から殺してやればこれほど不可解な踏切の幽霊が出てくる話にはならなかった?とか・・・いろいろツッコミどころがあるような気がする。・超能力とか超現象をあるものとしてミステリーを書く作家としては宮部みゆきをまず思い浮かべるけど作風はかなり違いますね。・「13階段」面白かったのは覚えているけど内容はすっかり忘れてます。また再読しようかなと思います。で他の作品もまた読んでみたいかな?
2024.05.20
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・GW後半は風邪をひきなので外出を控えて本でも読むかということで図書館で借りていたこの本を選択。この著者は初読み、「このミス」でグランプリをとった作品。・「このミス」の作品は、自分的には外れないけどそんなに大当たりはないよなって感じ。今回も予想通りくらいに楽しめたけどそれ以上じゃなかったかな?レモンと殺人鬼 (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) [ くわがき あゆ ]価格:779円(税込、送料無料) (2024/5/6時点)楽天で購入2024/5/5読了・どんでん返しに次ぐどんでん返しが売りのストーリー展開だけど、全体的に必然性があるのかなぁって感じが残るし、登場人物の性格というかキャラクターも現実感がないように感じた。別に楽しく読めればいいんだけどね。・最近、意味不明な動機や信じられないようなキャラクターの人物が起こす事件が現実社会でもあるが、どちらかと言えばその奥にある納得できるような事実とか心理が解明されるようなミステリーが好みかな?・とは言え、面白かったのでよいのだけど。ジジイの独り言です。ってか内容に全然触れませんでしたけど、ミステリーだからまあいいか?他の書評などで読んでください。
2024.05.06
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・QRコードで聞くYouTube音声と本文を融合して読むミステリー短篇集。新しい試みだけど慣れないせいかとっても難解だった。ネタバレサイトを見てもまだもやもやっていうのも多かった。自分の能力不足かもしれないけど今後に期待したい。きこえる [ 道尾 秀介 ]価格:1,760円(税込、送料無料) (2024/5/3時点)楽天で購入2024/4/26読了
2024.05.03
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・どこで知ってまた読もうと思ったのか思い出せないけど、図書館で借りた川添愛さん初読み。著者にとって初の歴史ミステリーだと帯に書いてある。・キリスト教の信仰を題材にしたミステリー、「聖遺物」って何かと思ったら、キリスト教に関連した偉人たちの骨とか何とかを有難がたがって収集したり売買したりという文化があったことを初めて知って驚いた。タイトルの「聖者のかけら」はここからきていると考えられる。聖者のかけら [ 川添 愛 ]価格:2,970円(税込、送料無料) (2024/5/3時点)楽天で購入2024/4/20読了・キリスト教にもいろんな枝の会派ができて勢力争いがあり、異教徒として排除されるという時代背景の中でーそういう当時の時代背景がよく分かって面白かった。教会に持ち込まれた「聖遺物」が誰の骨であるか調査するよう命令されたベネディクトが主人公、純粋すぎる主人公の成長物語であり、ミステリー。「聖遺物」が起こす奇跡とか主人公の特殊な能力などはファンタジー的で若干違和感あるけど史実を元にした小説らしい。・前半はちょっと読むのに我慢が必要だったけど、時代背景を知られたのが面白かった。後半はミステリーとして盛り上がって面白くなった。言語学者である著者の川添さんにもちょっと関心ありです。
2024.05.03
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・毎年発刊されているミステリーのオムニバスの2023年版、今年度版でシリーズ初読み。オムニバスは読んだことのない作家に出会う機会として面白いと思う。Jミステリー2023 FALL (光文社文庫) [ 光文社文庫編集部 ]価格:1,320円(税込、送料無料) (2024/3/6時点)楽天で購入2024/2/24読了・似鳥鶏、太田愛は他の作品を既読、売れっ子の東川さんも多分初読みで、逸木裕、長岡弘樹、宮内悠介さんは初読み。で、新たなお好み作家は発見できた?と聞かれるとイマイチだったかな?宮内さんの「「最後のひと仕事」が意外な結末で面白かったかな?って感じ
2024.03.06
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・今、この本を読んでるんだよとカミさんに見せたら、本のタイトルで大爆笑されてしまった。いやいや多分そういう面白い本じゃないんだけど・・・夫よ、死んでくれないか [ 丸山正樹 ]価格:1,870円(税込、送料無料) (2024/2/6時点)楽天で購入2024/1/31読了・大学で3人組と呼ばれていた仲良し女子大生が、メンバーの離婚問題で再会してまた集まりだした。飲みながら仕事のことや夫に対する不満、「夫が死んでくれたら」と話したりしていたのだが・・・突き飛ばした夫が意識を失って動かなくなったり、はたまた突然夫が失踪したりと事件が起こってそれなりに面白かったのだけど・・・・タイトルほどの衝撃は無くて若干「タイトル負け」的な感じ、最後のどんでん返しも弱くて途中から想定された範囲内だった。・軽く読めてつまらなくはないけど「デフ・ヴォイス」の著者で期待が大きかった分ちょっと期待外れだったかな?
2024.02.06
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・たまにはイヤミスを読むのもいいかなと思って図書館本。あんまり盛り上がったりひどく裏切られたりすることのないジワっとしたイヤミスで湊かなえさんらしい作品だったのかな?ユートピア (集英社文庫(日本)) [ 湊 かなえ ]価格:814円(税込、送料無料) (2023/12/29時点)楽天で購入2023/12/16読了・人口7000人の港町、鼻崎町を舞台にそこに住む3人の女性の視点から物語が進む。地元生まれでUターンして来た仏壇屋の菜々子、転勤族でやってきた光稀、都会からちょっと胡散臭い芸術村に移住してきたすみれの3人の視点で語る。主人公は事故で歩けなくなって車いす生活の久美香(菜々子の娘)と彼女を健気にサポートする彩也子(光稀の娘)。・殺人事件も絡んだミステリーではあるけど二人の少女の健気なウソや芝居が切ない。・解説で原田ひ香さんが、「主観と主観の殴り合い」と書いているが、すれ違い程度の表現では足りない、登場人物が自分の正当性を主張するために相手に対して強い感情をもって心の中で叫んでいるということらしい。僕はそこまでの強さは感じないけど、というかみんな弱い人だと思えるのだけど、弱さゆえに殴り合ってしまうのかな?
2023.12.29
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・大崎さんは4作目かな?本に絡めた日常の謎の話が得意分野の作家さんだと認識している。今回は学校図書館の司書が主人公でお仕事小説っぽくもあり、いろいろな事件に巻き込まれてそれを解明していく日常の謎解き小説でもある感じ。27000冊ガーデン [ 大崎 梢 ]価格:1,760円(税込、送料無料) (2023/8/21時点)楽天で購入2013/8/17読了・学校の図書館かぁ・・・小学校の頃はもう何を借りたか覚えてないけどSFの本なんかをけっこう借りて読んでいた記憶があるけど、中学からは図書館の記憶が全くない!受験に関係ないものは全部切り捨てていたのかもしれない。おかげで今はその反動か活字中毒っぽくなってしまっているのだけど・・・・大崎さんは、のめり込むような感じのスタイルじゃないけど安心して読める作品を書く作家さん、くつろいだ雰囲気でビールとかコーヒーとか飲みながら良い感じ。
2023.08.21
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・昆虫法医学シリーズでハマってしまった川瀬七緒さんは何とこの本で14作目になったようだけど、この作品はまた新境地?でめっちゃ面白く一気読み、続編期待したいけどそれはなさそうな感じのエンディング。・ネットで知り合って集団自殺するために集まった4人が、誰も来ないはずの山奥の駐車スペースで乳児遺棄の現場に遭遇。成り行き上集団自殺は保留して、その子を救出したのはいいけど、なぜかネット上で誘拐犯の罪を着せられる書き込みがアップされると、あっという間に拡散されて、どこに行っても監視されて逃げ場がなくなってしまうというお話。ネット社会、怖すぎる!・夏実がそのネットを逆手にとって逆襲に出て、窮地を脱するだけでなく実行犯を追い込んで真犯人をあぶりだす流れが面白くて一気読み。・あぶりだされたのは里親探しを名目にした団体の乳児を扱う闇ビジネス【中古】 四日間家族/川瀬七緒(著者) 【中古】afb価格:1,512円(税込、送料別) (2023/8/11時点)楽天で購入2023/8/6読了〇「なるほど、夏実姐さんはそうやって生きてきたんだ。ぬるい連中につけ込みながら甘い汁を吸ってきた」(陸斗)・ストーリーの進行とともに自殺志願者4人の正体が明らかになってくるのだが、だんだんと明らかになってくる夏実のエグさが何とも言えず快感になってくる、で、ある意味夏実と陸斗の成長物語だったかも?・陸斗は頼りになる少年だけど、聡明さだけでなく幼さというか純粋さも持ち合わせていていて・・・どうも七緒さんは引きこもり少年が好きらしい。
2023.08.11
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・面白くて一気読み、と言っても600ページ超なので2日かかってしまったのだけど。クライムノベル、「最悪」とはまた違ってリアル?登場人物がたくさんでこんがらがってきたので途中から読み直して登場人物メモを作りながら読んだのだった。・渡良瀬川河川敷で全裸の女性死体が続けて発見された、実は10年前にも同様な未解決事件があったのだ。同一犯?ちなみにタイトルの「リバー」は奥入瀬川で起こった事件からだと思う。県境をまたいだ群馬県警と栃木県警、取材する新聞社、過去の事件の被害者の父親、犯人を起訴できなかった元刑事、犯人に関わる人たちそれぞれの立場から・・・リバー [ 奥田 英朗 ]価格:2,310円(税込、送料無料) (2023/8/9時点)楽天で購入2023/8/5読了・一番怪しいと思っていた人が犯人だったけど、どんでん返しと言えなくもないのは怪しい人が結局は全員事件に関与していたということ。犯人は誰かという推理小説のカテゴリーではなくてそれぞれの人の立場から事件を構成する群像劇的な小説だと思える。・何も語らない病的な殺人犯の期間工の刈谷にも、彼に心を通わせるスナックのママ明美にも同情できる過去とそれに続く現在がある。確かに犯罪ではありけど、誰が悪いということではなく加害者側の病理に触れている秀作だと思った。・多重人格(解離性同一性障害)が絡んでいたのも新鮮だ。、一見変人の心理学者が実はできる人で、多重人格を隠れ蓑にして犯罪に関与していた第2の人格を見破ったのがちょっと強引だけど面白かったなあ。・奥田英朗さん、岐阜出身、同い年、やっぱ面白いなと思い直したのだった。お勧めの1冊です。
2023.08.09
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・昆虫お宅で飄々としていてつかみどころのない感じの主人公が謎を解き明かしていく、解き明かしていくのは犯罪ではなくて人間模様みたいな感じのミステリー小説。櫻田さんは「サーチライトと誘蛾灯」に続いて2作目なのだけど、前作余り記憶にない。確かに読後感はこんな感じだったような気はするけど・・・(読後感はわりに良くて好印象)蝉かえる (創元推理文庫) [ 櫻田智也 ]価格:814円(税込、送料無料) (2023/5/30時点)楽天で購入2023/5/23読了「蝉かえる」・16年前に起こった震災当時を振り返って、当時行方不明になって震災後に死体で発見された少女にまつわる謎や迷信の関係が解き明かされて・・・どんでん返し的に社会学の先生が当事者だったとは!で蝉を食べる。確かになんとも「上手い」と言いたくなる構成だった。全体的におっとりしている印象でそれが味なのだろうけど、もう一味欲しいような気がする。「コマチグモ」・親子関係の話、コマチグモは生まれた子供たちが母親を食って栄養にして生きていくそうだ。その母親の気持ちは?(ところでお父ちゃんはどうしとるんじゃ?!)「彼方の甲虫」・これはフンコロガシがテーマ。人種間のいさかいが悲しい結末に。「ホタル計画」〇『・・・すみません。何から話したらいいのか』『そういうときは、は結論から言ってごらん』・ストーリーには関係ないけどこれは実生活で使えます!「サブサハラの蠅」〇<中立とは、傾いたシーソーの中心に立つことではない。傷ついた側に立って、シーソーのバランスを戻すことだ>・南スーダンで医療に携わってきた医師の言葉、これも名言!
2023.05.30
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・法医昆虫捜査官シリーズでお気に入りの著者が、今度は衣服に残った痕跡から過去の未解決事件を解決していくという短篇連作集を書いた短編集。服飾ブローカーの桐ヶ谷京介が主人公で、美人ヴィンテージショップ店長水森小春はネットゲームの人気実況配信者であったりする、顔なじみの警察関係者が絡んで、軽いノリの身近な謎解きサスペンス的な仕上がりかなという感じ。下着泥棒の短編もあったけど、殺人事件なのだけど未解決事件だけあって過去のことなので生々しさもないし。クローゼットファイル 仕立屋探偵 桐ヶ谷京介 [ 川瀬 七緒 ]価格:1,760円(税込、送料無料) (2023/5/10時点)楽天で購入2023/5/7読了〇「おそらくは、脱いだ下着の代わりに被害者のものを身に着けて帰っていったと我々は想像しています」「新しい下着を身に着けて一度も洗わずに過ごし、頃合いを見て窃盗を決行する。そして現場に汚れた下着を置き去りにし、また新調する・・・」・小春さんの下着泥棒はとってもユニークだった。しかしその残していったパンツの由来とパンツのシワから明らかになった生活様式から犯人が明らかになっていくのだった。小春はヴィンテージものの衣服を見る目と知識が半端なく、京介は衣服の素材や質よりもそのしわから着ているひとの生活様式だけでなく健康状態まで見破ってしまうという設定。・七緒さんと言えば「法医昆虫捜査官シリーズ」だけど、新境地開発中の作品かな?あのおぞましさと緊迫感を知っているファンには物足りないなぁとも感じる。気楽にコーヒーでも飲みながら暇つぶしに読むにはいいかなという感じなので、このシリーズはもう読まないかも?
2023.05.10
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・隣県の岐阜出身でほぼ同年代ってこともあってたまに読んでる奥田英朗さん、調べてみたら何とこれが13作目になるのできっとワシはファンなのでしょう。それにしても作風がいろいろ違ってどれだけ引き出しがあるんだ!って感じ。で、どれもそれなりに面白くて外れがない。・社会派小説的犯罪小説でエンターテイメント小説って感じのてんこ盛り小説で文庫本で648ページもある割には中盤からは飽きさせない。最悪 (講談社文庫) [ 奥田 英朗 ]価格:1045円(税込、送料無料) (2022/11/25時点)楽天で購入2022.10.9読了・前半は3人の主人公のそれぞれの話。鉄工所所長の川谷は騒音問題で地域住民から責められ経営でもピンチに、銀行員みどりは職場の人間関係のストレスに加えて妹とも何だかうまくいってない、無職の野村はヤクザ絡みでやばいことになって早急に金を作らないと身が危ないことになって・・・みどりの妹も絡んで全く関わりのないように生きていた3人の人生が次第に交わっていくというストーリー展開が面白い。・銀行強盗をやった後で逃走する車の後部座席に突然、川谷が現れたシーンでは思わず笑ってしまった。もうそこからはドタバタ劇でエンタメ的展開に。
2022.11.25
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・今のところ読んで外れのない法医昆虫学捜査官シリーズも7冊目、順不同で読んでいるがこれは第3作目なので比較的初期の作品ということになる。たぶんこれで今のところコンプリート? まだ飽きない。水底の棘 法医昆虫学捜査官 (講談社文庫) [ 川瀬 七緒 ]価格:968円(税込、送料無料) (2022/7/12時点)楽天で購入2022.7.9読了・現場にいた昆虫の種類やハエの孵化日数などから事件の真相に迫っていくというのがベースで・・・・主人公の法医昆虫学者赤堀涼子の破天荒なキャラ、相棒の捜査一課刑事岩楯(彼はまだ離婚する前という設定だった)との掛け合い、岩楯刑事の相棒になるオタクな刑事鰐川、定番の面白さは「水戸黄門」的かもしれない。終盤で赤堀がピンチになって盛り上がって怒涛の解決に収まるというパターンが多いと思っていたが、今作のようにピンチになるのが岩楯刑事というパターンもありなのだったな。とにかくエンターテイメント小説として面白い。ただ画像的に映画化はできないだろうなというのがちと残念だ。関連本「法医昆虫学捜査官」シリーズ1-3「潮騒のアニマ法医昆虫捜査官」「紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官」「スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官 」
2022.07.12
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・法医昆虫捜査官シリーズでハマってしまった川瀬さん、前から気になっていたタイトルの本。女學生奇譚 (徳間文庫) [ 川瀬七緒 ]価格:814円(税込、送料無料) (2022/4/26時点)楽天で購入2022.4.26読了・「この本を読んではいけない」というメモがはさまれた「女學生奇譚」という本にまつわる導入だけでつかまれるが、ラストは結構などんでん返し。すべて仕組まれていた?まさか人食=カニバリズムとは・・・だけどラストで心地よい発想の転換で前向きな明るさで読み終わることができた。・主人公のフリーライター八坂が双子の弟共に背負っている先天的「ウルバッハ・ビーテ病」は調べてみたら実在する疾患なんですね。恐怖を感じないって想像以上に危険なんでしょうね。弟は恐怖を知りたくて母親を殺害して刑務所の中。川瀬さんの作品は引きこもりとか社会に馴染めないけど生き方を模索している登場人物が活躍するのがけっこう特徴なのかな?
2022.04.26
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そろそろ飽きてくるかと思いきやこのシリーズは面白い!読んで外れのないシリーズ7作のうち6作目。今回も図書館本で楽しませていただいた。 印税収入に貢献せずに川瀬さんごめんなさい!紅のアンデッド 法医昆虫学捜査官 [ 川瀬 七緒 ]価格:1650円(税込、送料無料) (2022/4/11時点)楽天で購入2022.4.6読了〇「指だけを残して遺体を持ち去るなんてのは、普通の感覚ではないと思ってね・・・」・大量の血痕と切断された3人分の小指だけが残された事件現場にその遺体はない、今回はいきなりのウジ虫ウジャウジャ場面からは始まらず、赤堀の登場はちょっと遅め。。ネタバレだけど、3本の小指のうち2本はまだ生きている人のもの、殺された被害者の死体は・・・・法医昆虫捜査官赤堀が警視庁に仮採用されたのは「捜査支援分析センター」、警視庁が扱いに困った専門家3人を追いやった新設部署という設定。この問題部署の構成メンバーは赤堀の他、プロファイラーの広澤と分析機器の達人波多野の3人。・広澤さんのプロファイリングと「やけど虫」の声で23年前の未解決事件と今回の事件がつながる、ウジが侵食した小指の程度の差によって1本の主がベジタリアンであった可能性に行きつく。アルコール依存症の患者会の存在も・・・・赤堀の父親がアルコール依存症だったとか、それと関連した法医昆虫学を選んだ不純な動機が明かされた。一見クールで優秀なプロファイラー広澤の個人的な家庭の事情も明かされてかなり追い詰められた気持ちで移動を受け止めていた・・・何だかもう最終回が近いのか!?と思ってしまったが、さらに物語をふくらませて続けていただきたいと思っている。だってこれ映像化こそできないけどめっちゃ面白いシリーズなんだから。・今回の岩楯警部の相棒ワニ君、プロファイラー志望のメモ魔のメガネ君が、いい味出してる。・もう水戸黄門的なお決まりの事件解決前の赤堀の無茶な行動からの大ピンチで盛り上がるシーンが今回はなかったのが残念。 作品として成熟してきている?もっと楽しませてほしいなというのは一読者のわがままでしょうか?・改めて考えてみるタイトルの「紅のアンデッド」ってどういう意味?うーん「死んでない」?「不死身」?そうか、残された3本の小指のことかなあ・・・残された血で染まった3本の小指が実はまだ生きているかのように真実を語るとか、実は小指の持ち主だった3人のうち2人はまだ死んでなかったとか、そういう意味なのだろうか?ワシにとってはタイトル自体もミステリー。
2022.04.11
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・昆虫捜査官シリーズでハマってしまった著者の作品は図書館で見つけては読んでいて、読書メーターの記録によれば9作目になるようだ。賞金稼ぎスリーサム! [ 川瀬 七緒 ]価格:1760円(税込、送料無料) (2022/3/29時点)楽天で購入2022.3.26読了・表紙から連想されるように内容もやっぱり軽い感じだけど、登場人物3人のキャラが面白い。植物人間になった母親をもつマザコンでハードボイルド系の元刑事、金持ちで優秀な頭脳をもって人たらしの警察マニア、コミュニケーション障害ながら天性の才能でまぼろしのハンターと呼ばれている24歳の若い女性。・妙に猟に詳しくて行動の規範が猟である上園一花が特に面白い。TPOわきまえない発言や目の付け所の鋭さが、昆虫シリーズでいえば赤堀的、さらに昆虫シリーズで毎度出てくるオタク系登場人物とも重なる。とすれば、元刑事の薮下は岩楯と重なる。イケメンの警察マニア淳太郎は新たなキャラクターだと思った。淳太郎はチャラいが情報収集のプロでプロファイリングのプロでもあるのだ。・自殺した薮下の父親と淳太郎の関係も明らかにされて・・・・3人のキャラは面白かったのだけど、結末は元国際的テロリストの老婆が動物愛護の立場で放火???ミステリー小説としては納得がいかないがエンターテイメントと考えればOKなのか?いやいや、やっぱり中途半端な気がする。ネットでちょっと見たら続編らしい本も発見したので、機会があればまた読んでみようと思う。
2022.03.29
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・水上作品は「ブンナ・・・」を学生時代に読んだ気がするが内容は全く記憶がない。当時はあまり印象に残らなかったのだろう。なのでほぼ初読み。水上勉社会派短篇小説集 不知火海沿岸 [ 水上 勉 ]価格:2420円(税込、送料無料) (2022/2/27時点)楽天で購入2022.2.22読了・テイストは松本清張に似ていると感じた。「推理小説」というくくりよりも「社会派小説」というくくりで、謎解きやトリックよりも犯人がなぜ犯罪を犯したのかという背景をあぶりだすことが主眼とされているらしい。バックグラウンドとしての時代背景は全く違うのでテイストは異なるけど、この路線を引き継いでいる一人は宮部みゆきのような気がした。・短篇集、結末ですべてが明かされないものが多くて不完全燃焼だけどそれだけに余韻が残る。「不知火海沿岸」:水俣病を題材にした「社会派小説」、時代背景もあって松本清張テイストはとても親和性があった。未回収なことが多すぎて不完全燃焼だったけど余韻が残る終わり方ともいえるかも。これを加筆して長編にした「海と牙」は読んでみたいなと思う。私が生まれた1959年はまさにこの作品が書かれた時代なのだ。・死体が見つかるのが遠隔地だった話が多いが、なぜ?という謎解きでストーリーが構成されている。やはり謎解きよりも人間ドラマだという視点で読みごたえがある。・水上勉作品、他ものものもまた読んでみたいと思わせる短篇集だった。それを狙った出版なのかもしれないと思うが、まんまとそれに乗るのも悪くないなとも思っている。
2022.02.27
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・ちょっと恩田陸的?ファンタジーというかやっぱ宮部みゆき的か。一気読み。過ぎ去りし王国の城(1) (角川文庫) [ 宮部 みゆき ]価格:748円(税込、送料無料) (2022/2/8時点)楽天で購入2022.2.6読了〇この絵の中に別の世界がある・銀行で偶然見つけたヨーロッパ中世の城のようなスケッチから、絵の世界にアバターとして入ることができることが分かった中学生の主人公が、美術部のハブられ同級生と異世界に行く。そして異世界で同じく現実世界から入ってきたパクさんに出会う。城にいる少女は閉じ込められているのか?現実世界で10年前に起こった失踪事件の少女と同じ? 〇「「僕もタマちゃんも、これが現状を、僕らの人生を変えるチャンスになるかもしれないのなら、試みたい」・話は、タイムスリップやパラレルワールドの世界になって複雑になる。囚われの少女を開放することが本当に彼女を救うことになるのか?彼女を救ってしまえば別なパラレルワールドに入って人生が変わるかもしれないけどそれがどんな世界なのかは分からない・・・でもあんまりかわらなかったみたい。・宮部みゆきさんはこんな小説も書いてるんですね。ラノベっぽいけどそれはそれでやっぱり宮部みゆきワールドだと思った。
2022.02.08
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・シリーズ7作目ということだけど読むのは5作目、あれ?あと2冊あるんだ。読んで外れのないシリーズを今回も図書館本で楽しませていただきました。関連本「法医昆虫学捜査官」シリーズ1-3「潮騒のアニマ法医昆虫捜査官」スワロウテイルの消失点 法医昆虫学捜査官 [ 川瀬 七緒 ]価格:1650円(税込、送料無料) (2022/2/7時点)楽天で購入2022.2.4読了・法医昆虫捜査官の赤堀が初めて立ち会えた法医解剖、腐敗した死体をついばむ大量のウジ虫、悪臭・・・そんな中で自由奔放に虫を採集する赤堀、吐き気を我慢しながら見守る岩楯警部という入りのシーンは何ともお馴染みで懐かしくさえ感じてしまった。・今回の岩楯の相棒、深水は軽薄そうだけど実は屈折した過去や考え方を持つ訳あり警察官だけど、彼も素顔を見せて赤堀と共にする捜査の中で成長していく・・・というパターンはこれまでもあったお決まりパターンになるのかな。・そしてまた今回も日本にはいないはずの「小黒蚊」とか環境にそぐわない場所にいた「カバキコマチグモ」とかマニアックな昆虫や、ツバメが煙草のフィルターを巣に敷き詰めて防虫対策したというマニアックな報告があるとか事件解決の手がかりとなったりと本領発揮!でもそれは素材であってストーリーの中心ではないと思う。・そしてまたまた今回も、引きこもりが活躍、不登校小学生のツバメマニア夏樹。カラスを殺して吊るすという連続事件を起こしていた彼もまた、赤堀教授の夏休み課外授業的に事件の捜査に関わり成長していく。・これまでは終盤、ピンチに陥るのは赤堀だったのに今回は岩楯警部だったのがちょっと目新しかったかな?それを救ったのが何と夏樹少年だったりした。・このシリーズは完全娯楽で読んで楽しい。とは言え、ウジ虫うじゃうじゃでは映像化はされないんだろうなとちょっと残念。あと2作もそのうちに読もうと思った。
2022.02.07
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・またまた面白い本に出合ってしまった。柴田よしきさん、面白い。「さまよえる古道具屋の物語」「小袖日記」「ワーキングガール・ウォーズ」続いて4作目。いずれも全く分野もテイストも違う感じで、しかも面白い。【中古】 風味さんのカメラ日和 文春文庫/柴田よしき(著者) 【中古】afb価格:200円(税込、送料別) (2022/1/30時点)楽天で購入2022.1.20読了・ある初心者対象の写真教室を舞台にした日常のミステリーと言う感じで、それとなく写真の基礎知識も教えてもらえる的な連作集。しかも内容はハートウォーミングだ。
2022.01.30
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・読書好きの患者さんに紹介されて初読みの作家、サラ・パレツキーさん。女性が主人公のハードボイルド小説。主人公V・I・ウォーショースキー(覚えづらいが何だかカッコいい名前)はタフな私立探偵、舞台はシカゴ、初版が書かれたのが1985年なので昔と言っても自分はもう社会人になっていたのでその時代の文化は共有できる。翻訳本はあまり得意ではないのだが、とても読みやすく肩ひじ張らずに楽しみながらすらすら読めた。サマータイム・ブルース新版 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ サラ・パレツキー ]価格:1034円(税込、送料無料) (2021/12/5時点)楽天で購入2021.11.30読了〇「料金は一日125ドルと必要経費。報告書は作成しますが、調査方法の指図はお受けしません」・という業務スタンスの宣言がカッコいい。息子の恋人の行方を捜してくれと依頼されて訪ねたアパートには息子の射殺死体が・・・というつかみも何だかテレビのサスペンスドラマ風で馴染みやすい。・ストーリーは簡単に言ってしまえば、生命保険会社の役職が労働組合委員長と結託して不当に私腹を肥やしているのを暴くというミステリーとしてはシンプルなものだけど、ハードボイルドでしかも女性が主人公ということで十分に楽しめる作品だった。
2021.12.05
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・原田マハさんは「キネマの神様」「太陽の棘」に続いて久しぶりの3作目。いずれも読みやすいし映画や絵画に対する深い思い入れを感じる作品。残念なことに自分は映画や絵画をあまり知らない。でも未知の世界に憧れてしまうなあ。リボルバー/原田マハ【1000円以上送料無料】価格:1760円(税込、送料無料) (2021/11/13時点)楽天で購入2021.11.11読了〇ゴーギャンは悪役のポジションに立たされがちなのである。ゴッホの命がけの希求に応えなかった冷徹な男。計算高い商売人。都会暮らしに耐え切れずタヒチに逃げ出した意気地なし。妻がいるのに幼い現地妻を娶った非道徳な輩・・・〇「誰が引き金を引いたのか?」「―殺されたんじゃないのか?・・・あのリボルバーで撃ち抜かれて」・とか言われても、芸術やや美術史にはほとんど知識がない。恥ずかしながらゴーギャンほとんど知らんし、ゴッホとピカソの区別も曖昧な人間です。それでもミステリーというよりか物語としてそれなりに面白かった。別世界の人たちだと思っていた絵画の巨匠ゴッホとゴーギャンを生身の人間として感じることができるようになった。彼らを取り巻く人間模様も。もし仮に彼らが歴史上に著名な芸術家でなかったとしたら、これほど面白くは感じなかったのかなと思えなくもない。・現在の視点からは絵画のオークションビジネスの世界はこんな感じなのかなと想像できたのも新鮮で面白かった。〇「あれこそは花だ」・ゴッホのひまわりの絵を見てゴーギャンはその才能に嫉妬した。そして自身が自殺に用いようとしたリボルバーで実際に撃ち抜かれたのはゴッホだった!というストーリー。これが歴史的にみて可能性があるのかないのか全然分からないけど、ゴッホとゴーギャン、彼らを取り巻く人たちの物語として面白かった。・っていうより、未知だった絵画の世界が人間的な世界としてとらえられるんだと知ったことが自分の人生にとって大きな収穫になる可能性も感じた。小説としてはまあまあ、受けた影響は大きいかもしれないって感じ。
2021.11.13
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・明治時代の文豪マニア、カレーお宅的な健全娯楽の日常の謎とき小説だった。神保町・喫茶ソウセキ 文豪カレーの謎解きレシピ (宝島社文庫) [ 柳瀬 みちる ]価格:748円(税込、送料無料) (2021/10/7時点)楽天で購入2021.10.5読了・明治から昭和、平成にわたるロマンにしてはライトノベル的でちょっと平板だなと思いつつ結構楽しめた。えーっとその人は誰だったっけ?とか結構人間関係図が複雑だった。・小説って読むそのときの自分自身の心境とか体調とか環境によって印象が変わってくるのだろうと気が付いた。今読んだから楽しめたのかとも思うし、別な時に読んだら?やはり本とは出会いなのだなとちょっとだけ思ったりした。
2021.10.07
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・丸山正樹さん初読み。著者の「デフ・ヴォイス」シリーズの番外編らしく無骨だけどヒューマンな何森刑事が事件を解決していく短編3作の連作小説。リアリティだけを追求すればどうかなというところも無きにしも非ずだが、読み物としてはなかなか面白かった。特に「ロスト」は読み応えあった。刑事何森 孤高の相貌 [ 丸山 正樹 ]価格:1980円(税込、送料無料) (2021/9/26時点)楽天で購入2021.9.28読了
2021.09.26
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・古典的なミステリーの傑作短篇集だと知って読んでみた。星新一のショートショートのちょっと長め版?的で全体的には後味の悪い印象の11の短篇集だった。あなたに似た人(1)新訳版 (ハヤカワ・ミステリ文庫) [ ロアルド・ダール ]価格:836円(税込、送料無料) (2021/9/26時点)楽天で購入2021.9.29読了・結末まで読んで理解できないものもあったし、何となく物足りない感じだった。それは、この作品の価値というよりも読者である私の読解力とか時代背景の理解不足が原因だとは思う。・タイトルの「あなたに似た人」のあなたとは、読者である私のことを指しているということでいいのでしょうか?とすれば、さすがシニカル!
2021.09.26
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・木内さん初読み、TV関係者の経験があるらしくエンタメとして楽しめる一冊だった。小麦の法廷 [ 木内 一裕 ]価格:1650円(税込、送料無料) (2021/9/26時点)楽天で購入2021.9.25読了〇俗にケータイ弁護士と呼ばれるフリーランサーの一人〇そしていま、くわえ煙草で軽トラを走らせている〇「この野郎! お前なんか5秒だからな!・・・」・主人公のキャラが好みかも?父が麦で娘が小麦、父親は闇の世界に味方する違法弁護士として逮捕されて収監中。童顔ながら元レスリング選手の新米弁護士は何だか身近に感じる存在。・初めての法廷経験は楽勝と思われた国選弁護人の仕事だったが、実は他で起こった凶悪殺人事件のアリバイ工作であることが分かり、起訴した検察や警察との軋轢、グルになっている被害者と被疑者と目撃証人たち=法律を知り尽くした闇の殺し屋集団たちを向こうに回して戦う羽目に陥ってしまう。・父親が実は頭の切れる良い人だったり、別件で調べていた前科18犯の菅原さんがまたまたいい人だったり、最後には悪の組織からも認められてしまうなど、出来すぎ感が否めないが、エンタメ小説と思えば全然OKな気もする。・木内さんの別な作品、シリーズものになったらとりあえず次作も読んでみたいと思う。
2021.09.26
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・今回も中山七里に外れなしだった。新たなシリーズの予感を感じた。能面検事 (光文社文庫) [ 中山七里 ]価格:748円(税込、送料無料) (2021/9/20時点)楽天で購入2021.9.8読了・警察、検察業界のタブーや慣習にとらわれず、自らの業務を冷静沈着にこなしていく主人公、「能面検事」こと不破検事。そのもとで働くことになった新米事務官の美晴が主人公。・ストーカー殺人の誤認逮捕だけかと思ったら、事件は警察の威信に関わるところまで・・・
2021.09.20
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〇「少年や少女、子供を主人公にする小説を書くのは難しい、と思っていました。」「デビューしてから二十年、この仕事を続けてきた一つの成果のように感じています。」(あとがきより)・という著者の小中学生が主人公の短篇集5編。大人になった現在からの視点も絡ませて深みを出しているのかな?「逆ソクラテス」「スロウではない」「非オプティマス」「アンスポーツマンライク」「逆ワシントン」。いずれも否定が入ったタイトルになっている。逆ソクラテス [ 伊坂 幸太郎 ]価格:1540円(税込、送料無料) (2021/9/20時点)楽天で購入2021.9.5読了・ソクラテスは自分が無知であることを知っていると言った哲学者、担任教師久留米は自分は何でも知っていると先入観で人を判断する「逆ソクラテス」。謎の転校生安斎君、優等生佐久間とぼくが、久留米にさげすまれて標的にされていたクラスメートの草壁を擁護して佐久間の価値観を変えるべく闘うのが第1話の「逆ソクラテス」。〇「僕はそうは思わない」・安斎から教えられた裏技の台詞。その言葉があとで効いてくるのはいつもの伊坂パターンだけどやっぱり気持ちがいい。ただ安斎のその後が切ない。〇「未来のお前は笑っている」「申し訳ないが、あれは由緒正し・・・正真正銘のでたらめだ」(「スロウではない」)〇「私にいい考えがある」「もし、平気で他人に迷惑をかける人がいたら、心の中でそっと思っておくといい。可哀そうに、って」(「非オプティマス」)「アンスポーツマンライク」はバスケの話、「逆ワシントン」は桜の枝を折ったことを正直に誤ればいい結果が得られるとは限らない?って話
2021.09.20
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・近藤史恵さんには「サクリファイス」シリーズから入ってファンになったのだけど、日常の身近なミステリーを書く作家だと認識している。時代小説も書いているのでそちらもと思っているが、今回はタイトルが気になって図書館で衝動借りした。私の命はあなたの命より軽い (講談社文庫) [ 近藤 史恵 ]価格:682円(税込、送料無料) (2021/8/24時点)楽天で購入2021.8.22読了・出産間近でナーバスな時期に夫が海外に単身赴任、やむを得ず出産のために実家に帰ったわたしは、自分が歓迎されてない?家族の雰囲気が何となくおかしいと違和感を感じる。〇「ねえ、遼ちゃん。どうして人の命の重さには違いがあるの?」美和が何を言っているのか分からなかった。〇―どうして人の命の重さには違いがあるの? そう、今になってその言葉の意味がわかる。・妊娠、堕胎、自殺・・・身近なミステリーと言うにはあまりにも陰鬱な内容なのに、そう感じさせないのは妊婦の私の視点から書かれているからだろうか? 著者の意図と筆力?・最後のページのどんでん返し示唆は必要だったのか意見が分かれそう。無理にいやミスにしなくてもとも思うが、より印象には残った。実は美和の妊娠の相手が夫だったのではないかと思いながら読んでいたのだが、予想が外れてよかった。
2021.08.26
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・柚月裕子さんは初読みが「盤上の向日葵」、Audibleで「最後の証人」や「孤狼の血」シリーズの3作を聞いていているが紙の本は2作目で図書館本。2008年第7回「このミステリーがすごい」で大賞を受賞した作品。・デビュー作なので仕方がないのかもしれないが物足りない感は否定できない。その後の成長が著しいということか、もしかしたら読者として著者の原石としての凄さを読み取れなかっただけなのかもしれないけど。【中古】【全品10倍!6/10限定】臨床真理 / 柚月裕子価格:395円(税込、送料別) (2021/6/10時点)楽天で購入2021.6.8読了・主人公は精神疾患の弟が自死した経験を持つ新米臨床心理士の美穂。犯罪を犯して障碍者更生施設に入所している司という青年の担当になるのだが・・・〇嬉しいときは桃色などの暖色、悲しいときは青っぽい寒色、相手が憎いと思えばどす黒い土色になり、嘘をつくと赤色になる。・司は「共感覚」という能力を持っていて人が話す言葉に色が見えて感情が分かってしまうのだが、それゆえに周囲から疎まれて精神疾患患者のふりをしていたのだが・・・・彼が親しくしていた少女の彩が手首を切って自死したとされるが、司は自死を否定して傷害事件を起こしたのだった。・彼を信じる美穂は、同級生の警察官の協力を得ながら事件の真相に迫っていくというストーリーで、一番身近で信頼していた人が実は・・・・敵だと思っていた人が実は・・・みたいなところも定番で何となく途中から予測できてしまった。・他の作品が面白かっただけにちょっと残念な感じがした。作家のデビュー作を読んでみるということでは意味があったかもしれない。
2021.06.10
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〇「62歳 住所不定 無職 平成最後の大型新人」・と帯に紹介された著者赤松利市の著作は「らんちう」に続いて2作目。・ストーリーはかなり面白くてページをめくる手がとまらない!的な感じのだが、それぞれの人物像や感情が薄っぺらく感じてしまうのが残念。どこがどうとかうまく説明でいないのだが・・・著者がこれまで生きてきた経験をもとにして小説を書くタイプのようで、他の作品も読んでみたい気もする。鯖 (文芸書) [ 赤松利市 ]価格:1870円(税込、送料無料) (2021/6/9時点)楽天で購入2021.6.1読了・「海の雑賀衆」というロマンの中でドロドロの人間ドラマと犯罪が繰り広げられる。〇「あんたの顔見たら、ジンマシンが出るわ。鯖餓鬼が」・・・ぼくはいつの間にか、鯖に、妙な親近感を抱くようになった。〇「けどな」恵子が微笑んだ。「悪いことを考えているシンイチくん、ちょっと色気あったで」・世の中から捨てられた?取り残された?一本釣りの腕は確かだが一癖もふた癖もある漁師たちが孤島に棲みついて汚らしく荒れた生活をしていた。金と欲とプライド?スマートな文化との出会いと戸惑い。一番若いが容姿にコンプレックスをもっているシンイチが次第に愚かな人間に陥って殺人犯になっていく、・ずる賢い女=今回は恵子とアンジ、結局は利用されただけ、というキーワードが「らんちう」と共通していたと思う。女は怖い。・阿部倉が死体を始末するのに骨まで全部食べてしまったというエピソードにおぞけが立った。
2021.06.09
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・人物評価どんでん返しのミステリーで読みやすく面白くはあったけど、読後感の悪い作品だった。・表題「らんちう」は奇形の魚、正常な魚を次から次に間引いていって奇形のあるモノだけを生き残らせてつくっていくらしい。殺された男は間引いた大量の魚を平気で処理し、純子はその姿を見て結婚を決意したと。表紙のランチュウの絵も醜いと思っていたが、そのことを読んでからさらに嫌悪感が増した。(これも著者の狙いだったのかどうかは分からない)らんちう [ 赤松利市 ]価格:1650円(税込、送料無料) (2021/5/5時点)楽天で購入2021.5.5読了〇「犯人はここにいる全員です」・リゾート旅館のキモデブ総支配人が殺され、元従業員が電話で自首して従業員5人とともに取り調べを受けてそれぞれの思いを語っていく中で真実があぶりだされてくるというストーリーで、読みはじめと、読み終わってからの登場人物それぞれの印象がガラッと変わってしまうが、それが作者の狙いだったのかなと思う。・「自己啓発セミナー」「マインドコントロール」が実は重要なキーワードであった・登場人物は少ないのだけど、誰が誰だか分らなくなってきたのでまた最初から今度はメモを取りながら読み返して「なるほど」だったところが多かった。・職人気質の従業員や社会的理想を持っていた従業員たちみんなの憧れだった若女将の純子。夫であるキモデブ支配人に虐待されている弱い人だと思っていたら実は、ほぼ黒幕的なブラックな人物で・・・・経営能力もないのに暴君となったと思われていたキモデブの支配人は実は経営能力もあったし実は利用されていただけだった・・・・一番いい加減な奴だと思っていた鐘崎が実は一番全体を客観的に見ていてマインドコントロールされていなかったとか、そのくせ供述に失敗して一番長い刑期をくらったとかいうのはブラックユーモア的だけどいらないエピソードじゃないの?とも思ったりした。・それぞれの人の立場からの語りが説明みたいな感じで、それぞれ人物の感情に深みが感じられず薄っぺらく感じてしまった。宮部みゆきさんあたりと比べるとやはり人物の感情描写が物足りない気がする。ネットでみたら同著者の「鯖」は傑作だという話なので読んでみてもいいかなと思ってはいる。
2021.05.05
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・伊坂幸太郎さん作品は、読み初めた当初は会話の妙も面白く、ラストに向かっていろいろなアイテムを回収されていくのが爽快でかなりハマっていたのだけどちょっと飽きてしまった感じでしばらくご無沙汰だった。何年か前に買って積読にしてあったこの本を今更思い出したように読んでみた。重力ピエロ (新潮文庫 新潮文庫) [ 伊坂 幸太郎 ]価格:825円(税込、送料無料) (2021/4/13時点)楽天で購入2021.4.8読了・連続放火事件、遺伝子、過去のレイプ事件・・・・母親がレイプされて生まれた弟の「春」、自分は「泉水(いずみ)」どちらも”spring”・つまらなくはないけど、当初に感じたほどには登場人物の台詞の面白さに新鮮さを感じなくなってしまったし、本当はあり得ない世界をリアルっぽく書いてある・黒沢など、他の作品の登場人物がそのままのキャララクターで普通に登場するのも伊坂作品の特徴なのかもしれない。
2021.04.13
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・ディスクン・カーと言えば高校生の頃から名前を聞いたことのある古典的な推理小説作家。当時は関心なかったが、年を取ってミステリー小説なども読むようになったので、いちおう体験として読んでおこうとチャレンジした彼の代表作「火刑法廷」は途中まで読んで挫折したという苦い経験がある。2020年に50年以上ぶりの新約が出版されて読みやすくなったらしいと聞いて図書館本で再チャレンジしてみた。死者はよみがえる【新訳版】 (創元推理文庫) [ ジョン・ディクスン・カー ]価格:1012円(税込、送料無料) (2021/2/12時点)楽天で購入2021.2.11読了・そもそも訳本が苦手。訳者の責任もあるかもしれないが、それよりも文化の違いが大きいように感じる。登場人物多いし名前が覚えにくいしと言うこともあって、残念ながらやっぱり苦手で読み終わるまでけっこう努力が必要だった。・殺されたのは性悪女と彼女に寄生する夫で犯人は過去に騙されて没落した男だった。真犯人や真相は意外ではあったが、純粋な推理として読めば「そんなのあり!?」的ないろいろな意見もありそう。推理小説ではなくTVのサスペンスドラマ的な人間物語の小説だと思えば楽しめるだろうし、推理小説の古典を楽しむという意味でこそ価値がある作品かもしれない。
2021.02.12
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・MCI(この先認知症になる可能性がある)と診断された当事者が主人公の小説でしかも江戸川乱歩賞受賞作と知ってしまっては読むべきだろうと思って借りた図書館本。読みだしたら止まらずに日付を超えて最後まで読んでしまった。あまり期待していなかったせいもあるかもしれないが予想以上に面白かった。・医療関連の本ではなくミステリー分野の本だった。わたしが消える [ 佐野 広実 ]価格:1980円(税込、送料無料) (2021/1/25時点)楽天で購入2021.1.22読了・主人公は訳ありで警察を辞め同時に離婚した経歴のある元刑事、現在はマンション管理人。いずれ認知症になるかもしれない診断されて当惑していところ、亡くなった元妻と暮らしていた娘から介護施設の身元不明者で進行した認知症患者の「門前さん」の身元を調べて欲しいと依頼を受けるところから物語が始まる。なんだかありがちな設定ではあった。・「門前さん」と言う名前は、介護施設の門の前で置き去りにされていたということで仮につけられたもので本当は誰なのかがわからない。それを調べて彼の人生を辿っていく話。・タイトルの「わたしが消える」の「わたし」は「門前さん」のことで、彼に自分の未来を重ね合わせて考えるものの主人公の藤巻さんの認知症は進行することはなく、最後まで明晰で事件を解明していく。そのあたりちょっと物足りないという気がしてしまう。・現実の苦労を何も知らない理屈だけの学生運動に反感を感じて警察官になった主人公は、その正義感を買われて学生運動にスパイとして潜入する任務を与えられた。それから彼の人生が狂ってしまった。・飲み屋の女将大山さんと一緒に住む前の「門前さん」の過去は、他人に成り代わって名前を変えながら生きていた人だった。成り代わり小説といえば、これまで読んで記憶に残っているのは、「火車/宮部みゆき」「ある男/平野 啓一郎」だ。この小説では、自分の意志ではなく警察(公安)からの指示で次々と成り代わりしていった挙句にスパイとしてテロリストの陽動作戦に加担させられてあげく殺人まで犯してしまい海外に逃亡させられて・・・・認知症小説というよりも公安の闇小説だったと思う。公安の闇小説といえば、この本の次に読んだ「テロリストの家/中山七里」がまたそれだった。公安は本当に怖いね!・また別な側面から家族の話でもあった。・2つの震災や原発問題も絡んでいた。
2021.01.25
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●他人と人生を入れ替える「なりすまし」を題材とした「存在の不安」がテーマ(なのかな?と思う)。●思考が深いというより難解に感じる(自分が「浅い」だけかもしれないけど)。作中に出てくる音楽の趣味も全然自分と違って分からないし、確かに「いい小説」なのかもしれないけど自分には「あまり合わない小説」だったと感じる。「俺はこんなに凄いんだぞ」的な作家のプライドが見え隠れしてちょっと嫌味な感じもしてしまったが、別な作品を読めばまた違った印象なのかもしれない。ある男 [ 平野 啓一郎 ]価格:1760円(税込、送料無料) (2021/1/25時点)楽天で購入2018.12.24〇「そら、気になるわな。-その人たちは、どんな音楽聴いてたの?音楽の趣味は、なかなか偽れんやろ?」●音楽とか絵の趣味ってその人の本質を関わっているのだろうかと今更気づかされた。なので、自分の音楽を趣味を知られるのにちょっとばかり恥ずかしさを感じるのだろうか?そういえば逆に誇らしさや優越感を感じることもあるし人からそれを感じると嫌味に感じてしまうけど、ああそういうものなんだと改めて今気が付いた。〇「ううん、三勝四敗でいいんです。」「わかったってところから、また愛し直すんじゃないですか?一回、愛したら終わりじゃなくて、長い時間の間に、何度も愛し直すでしょう?」●そんななかで美涼が語る言葉は分かりやすく共感できた。〇「他人の傷を生きることで、自分自身を保っているんです」〇城戸は・・・“X”になりすましたあの数時間の、言い知れぬ悦びが忘れられなかった。●タイトルの「ある男A MAN」は谷口大祐として事故で死んだ原誠のことなのか、人生を交換し合った人たち皆のことなのか、しかすると城戸も含めてもっと広く一般化された人のことなのか、どうなんだろう?と思った。●過ちを犯さずハッピーエンドだったのが救いだ。●表紙の絵に関心あり。近くで見るとモザイクの木片なのに、遠目で見ると立ったまま悩んで屈む男に見える。アントニー・ゴームリーという人のイギリスの彫刻家の作品だと記されている。
2021.01.25
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●26年前に書かれた作品で、舞台は約30年前なのでちょうど自分が社会人になって医師として働きだして結婚、子供が1歳の頃、バブルがはじける直前?の社会状況。携帯もメールも一般的ではなかった頃の話。そう言えばサラ金地獄なんて言葉をよく聞いたっけなぁ。自分には懐かしいな的な話だけど、その後に生まれた世代にはリアルに想像もできないのかもしれない。●30年近く前に書かれた小説とは思えないほどにリアルな小説。ボリュームはあるけど一気読みしてしまう作品だと思う。なり替わり小説としても面白い。火車 (新潮文庫 新潮文庫) [ 宮部 みゆき ]価格:1100円(税込、送料無料) (2021/1/25時点)楽天で購入2018.06.17読了●いつものことながら、アルコールを飲みながらの読書だったので、「あれっ、この人誰だっけ?」とか「誰のエピソードだったっけ?」など考えてページをめくり直しながら読んだ。読み終わって振り返ってみればそんなに登場人物が多いわけでもないし複雑でもないですね。二人の女性が良く似た境遇だったことが原因かも?それがこのお話のキモなんだろうけど・・・〇なんということだ、君らは共食いしたのも同然だった●そのサラ金地獄の取り立てから逃れるために殺人を犯してまで戸籍を乗っ取ろうとした女性もまた多重債務で自己破産していたというのが大まかなストーリーで●全体を通して暗い?(まあ確かに)、でもミステリーというより人間ドラマを書いるんで・・・「人と人のつながり」がテーマなのかも?〇「ただ幸せになりたかっただけなのに」●多重債務は特別な人に起こることではなく巧妙に仕掛けられて誰でもが陥ってしまいかねない問題であること、自己破産という救済の方法があることを知った。将来の自分にとっては役に立たない知識であって欲しいとは思うけど。●住民票や戸籍を調べればかなりの情報が得られるんだなと知らされた。あと、医療保険や運転免許やパスポート、今のところ犯罪を犯す予定はないけど注意せねばと思った。●ある意味火付け役の和也が後半に全然登場しなくなったのはどういうことか?きっかけだったけど重要ではなかったってことかな。〇「一生懸命、何度も何度も脱皮しているうちに、いつかは足が生えてくるって信じてるからなんですってさ。今度こそ、今度こそ、ってね」●蛇の脱皮について語った水商売の元同僚の言葉が印象的だった。
2021.01.25
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・警視庁公安部のエリート刑事幣原が主人公、息子の大学院生秀樹がテロ組織イスラム国医に志願したとのことで逮捕され、釈放後に殺害されてしまう。テロ組織との関係は?真犯人は?というミステリーだが、期待して以上ではなく、確かにどんでん返しはあるものの、どんでん返しの帝王としては物足りなかったというのが正直な感想。テロリストの家 [ 中山 七里 ]価格:1760円(税込、送料無料) (2021/1/24時点)楽天で購入2021.1.23読了・とは言え警察小説ではなく公安を書いた小説であり、家族内の葛藤の描いた小説であるとすれば納得のできる読み応えであった。著者は「どんでん返しの帝王」からの脱却を図っているのかもしれない。・警察と公安は別物、公安は怖いと再認識させられた。
2021.01.24
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・宮部みゆきはやっぱ面白いなと再確認させられた。人間味あふれる気持ちが優しい探偵が事件に関わっていくというストーリー。読みやすくてぐいぐいひき込まれて一気読みだけどさすがに宮部みゆきなのでそれなりに深い中編3篇だった。・シリーズものなのに、あれ!主役の私立探偵杉村さんって大金持ちの婿だったような気がするけど離婚したんだっけ?とか全く記憶がないので不安になって確認してみたら読んだことがあるのはシリーズ1作目の「誰か」だけだった。なので離婚のエピソードは知らなくて当然かあ、読む順番を間違えただけかな。あんなに性格がいい杉村さんがリカオンした理由は?どうも相手の恋愛問題みたい??・・・まあいいかそのうちに読んでみよう。【中古】昨日がなければ明日もない(杉村三郎シリーズ6) / 宮部みゆき価格:890円(税込、送料別) (2020/12/13時点)楽天で購入2020.12.7読了・主人公の杉村三郎は妻と離婚後、お金持ちの竹中さんの家を間借りして探偵事務所を開いている。依頼も少なく経済的に厳し生活を送っているが、身近な知人のつてから依頼などで何とか食いつないでいるが・・・【絶対零度】・物語が進む中で絶対零度の気持ちで自殺に追い込まれた妻の恨みを晴らす男の行動が明らかになってくる。どの登場人物にも共感できずあまり後味がいい作品ではなかった。【華燭】〇私も、共に生きていこうと誓い合い、愛情と信頼を預けていたパートナーに裏切られた経験がある。こういう傷は、たぶん永遠に癒えない。〇私自身は元妻に告白されるまで何も気づかなかったでくのぼうだが・・●杉村さんは、やっぱりワシが知らないうちに辛い体験をされたようだ。どんないきさつがあったのかぜひシリーズの前の作品を読んで確かめねば・・・〇「・・・花嫁の支度部屋で、やっちゃってたのよ」●さすがにそれはイカンでしょう。花嫁側の滅茶滅茶な当初の計画を上回るハプニングで大混乱・・・でもハッピーエンド?〇ボートを漕ごう。漕いで明日へと進んでいこう●ボートの漕ぎ手は後ろを向いて漕いでいるので、過去である後ろを見ながら漕いでいるが前方である未来は見えない。そして今この瞬間は後ろに過ぎ去っていく。【昨日がなければ明日もない】〇「必要だから払うんじゃないよ。父親だから払いたいんだ」●これも短篇のストーリーに関係ない杉村三郎ネタだ。親子関係や家族関係がテーマになっている短編なので関係なくもない。〇どれほど辛い過去だろうと、それはあなたの歴史です。昨日のあなたがあってこそ今のあなたがあり、あなたの明日があるのです。受け入れて前向きに進まなければ・・・●姉を殺してしまった犯人の妹に、昔占い師が言った言葉。この短編のタイトルだ。
2020.12.13
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・法医昆虫学捜査官シリーズ5作目(ごめんなさい、全部図書館本です)。読むのは4作目だけど読んで外れのない安心のシリーズ。赤堀先生と岩楯刑事コンビの掛け合いや信頼関係も板についてきた感じ。残りの1冊もそのうちに読んでみよう。「法医昆虫学捜査官」シリーズ1-3・ところでタイトルの「アニマ」って何? アニメおたくの話題も出てきたのでその線かなと思っていたが全然関係なかった。どうも「魂」とかそんな意味らしい。タイトルの意味を理解した読者は少ないのではないだろうかと思ったりもするが、そういう私もイマイチ分かっていないのだ。潮騒のアニマ 法医昆虫学捜査官 [ 川瀬 七緒 ]楽天で購入2020.8.20読了・今回の舞台は伊豆の離島神ノ出島、ミイラ化した女性、西峰果歩の死体が発見されたことから話が始まる。〇なんでウジが途中で食べることをやめて消えたのか。その謎が、いろんなところにつながってくるとは思う・などと、よく意味は理解できないのだが、結局は法医解剖や鑑識の結果とは違っていてもそういう昆虫の声を聴くことで真実に近づいていくといういつものパターン。ミイラや蟻の大群なら大丈夫かは分からないが、死体の中でウジ虫がうじゃうじゃみたいな場面がなくてちょっと普通?だったような気がする。・今回は外来種であるアカカミアリという凶暴で繁殖力の強い蟻が重要なカギとなっていて、マツクイムシの調査が関与していたというのが昆虫学的な謎解きだった。〇自分は仕事の手を抜きつつ勉強するようになったんですよ。・・・階級はそのまま給与に響きます。つまり、不真面目な自分のような人間が、真剣に職務と向き合う者よりも高給になっていく。性格的に、そういう自分が許せなくなっていたんです・岩楯刑事の相棒になったのは新島南警察署の兵藤で、警察組織に疑問を感じつつ組織の中でうまく生きていこうとして悩んでいた潔癖症の彼の成長物語にもなっていた。・果歩やその妹由紀に多大な保険金をかけていた両親、首つりが美徳だとする島の過去の風習は貧困の中で口減らしを正当化するためのものだった、それが書かれた「風習と民俗」という本が消えてしまった。果歩が最後に心変わりして生き直したいと言ったという真実が明らかになる。なんともやるせない。〇「死ぬなんて考えるな。未来にはきっといいことがある。死にたくなったら、夜中でも電話してこい。君は若いんだ。いつだって輝ける。今に打ち勝て・・・。いろんなありきたりな言葉をかけてもらいました。わたし、警察マニュアルにいくつ言葉が載っているのか数えているんです。だから今は電話がちょっと楽しみ」由紀は伏し目がちにぎこちなく笑った。・岩楯も兵藤も被害者の妹由紀を実はしっかり支えていたんだというのがまた良かった。・このシリーズの中で一番の傑作ではないかと思う。
2020.08.20
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・夜、布団の中でこの本を読み終わって眠りについた。そのせいか、何度も人生を繰り返す「ループ」あるいは「リバース」といわれる状態になってしまった夢を見た。小説の中では、同じ人生を繰り返すのだから、学習して失敗を繰り返さないようにしたりうまく立ち回ったりするはずなのだが、ワシの場合は繰り返すたびにどんどん悪いほうに行ってしまうという情けない夢だった。繰り返すうちに人生の良かった部分がアルバムからどんどん消えていってしまって「おいおい、そりゃないだろう」みたいな悲しい気持ちで目が覚めた。そういうタイプの小説あっても面白いのかなと思ったりした。・というあまりこの本に関係ない前振りでごめんなさい。でも、どういうわけか書いておきたかった。ループ・ループ・ループ (宝島社文庫 『このミス』大賞シリーズ) [ 桐山 徹也 ]楽天で購入2020.8.1読了・新聞の書評から興味をもって借りた図書館本。初読みの作家さんで「このミス」大賞シリーズだとは知らなかった。たまには気楽なラノベ的学園ミステリーもいいかなって感じで読んだのだが、けっこう面白かった。・高校2年生の主人公(自分は物語の主人公ではなく、“モブキャラ”として誰かのループに巻き込まれていると考えている)が、11月24日が何度も繰り返されていることに気づく。ループの中で誰かを助けると助けられた人もまたそのループに気が付いて仲間がどんどん増えていく。1年前に亡くなった同級生の女子高生が二人、一人は自殺でもう一人は連続殺人の犠牲者とされている。真相はよくあるパターンだが、ループが絡んでいて面白くなっていく。なのでこんなオヤジでも楽しく読めたのだと思う。〇靴がない。そのかわり焼きそばパンが二つ、まるで履いてきたかのように揃えて置いてある。〇しかし悠樹は言った「仕方ないよ」・ほぼ1日の出来事のループ、同じことを繰り返しているその中にヒントが隠されていたり、繰り返されていたことが再現されなくなっていることがヒントになっていたり、なかなか面白かった。だからこそ「このミス」大賞なのでしょう。
2020.08.07
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「悪いお医者さんがうちに来てお父さんを殺した」と少年から電話がかかってきたことから始まる、「安楽死」をテーマにした医療警察小説。読み物としては面白かったのだけど・・・ドクター・デスの遺産 [ 中山 七里 ]楽天で購入2018.1.27読了〇終末期医療については・・・余命いくばくもないと診断された患者に対し、延命治療を中止することだ●それは違うだろう!「終末期医療」について誤解を与えてしまう内容ではないかと危惧される。身体的苦痛については適切な緩和ケアでかなり対応でき得るし、できない場合でも死期を早めない鎮静という方法があるので身体的苦痛除去目的での安楽死には疑問があるし、経済的なことが理由で安楽死を求めることがあるならそれは許されなと思う。社会的な苦痛やスピリチュアルな苦痛にどうやって向き合っていくのかが大切で、安易に安楽死を許容するべきではないと思う。●ストーリーは、どんでん返しの帝王こと中山七里さんの作品なのでそれなりに楽しめるだけに残念。ちなみに途中から真の犯人は予想がついてしまった。〇だって家族を死なせたくないのも、苦しませたくないのも、根は同じ思いやりなんだからさ・・・対立してるんじゃなくてアプローチが違うだけなんだと思う●という沙耶香のラストの言葉に救われる。●国境なき医師団の体験があったとしても戦場環境での安楽死とは別、問題提起だとしても、だからこそ?現場で関わっているモノとしては、「終末期医療」についてもう少ししっかり勉強してから書いて欲しかったというのが実感である。
2020.07.26
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・綾辻行人さん初読み。推理小説好きの入院患者さんにもらったたくさんの本で読んでなかったうちの1冊。ロフトにある本棚で見つけた。日本の本格推理小説作家らしいので読んでみようかと思って手の届くところに置いておいた。・夜中に蚊に刺されて目覚め、刺されたところはかゆいわ、時々「ブーン」という羽音が顔の周りで聞こえるわで眠れなくなってしまった。夜が明けてしまったので諦めて本でも読もうかと読みだしたら一気読みだった。鳴風荘事件 殺人方程式2 (講談社文庫) [ 綾辻 行人 ]楽天で購入2020.6.7読了・ところで本格推理小説ってなんなん?とあまり考えたことのないことを考えてみる。・作中に《読者への挑戦》が入っていたが、これは推理小説作家としては勇気がいることらしい。それまで書かれた中に全ての情報が入っていないといけないし、別な人が犯人である可能性が残ってもいけないし、まず簡単に犯人が見破られてもいけないし、といういろいろなしばりがあるからだ。なるほどと思った。・ただ読者としては、読者に挑戦されてもねえ・・・と思う。綾辻さんはエラリークイーンを愛してやまない作家とのことだが、エラリークイーンを読むときには時代背景も違う過去の名作として楽しめたり味わえたりするところが、現代の綾辻作品を読むのは読み方がまた違うだろうと思う。・与えられた情報を吟味して本格的に推理しながら犯人を予想しながら読んでいくというよりもストーリー重視というか、細かいことはいいから犯人は誰でそこにはどういう物語があるねんというタイプの読者なので、「本格推理小説」には向かないのかもしれない。・この小説は「本格推理小説」として読み応えのある面白い作品である(たぶん)。
2020.06.08
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初読のときの記録から・・・「ABCキラー/有栖川有栖」「あなたと夜と音楽と/恩田陸」「猫の家のアリス」「連鎖する数字/貫井徳郎」「ABC包囲陣/法月倫太郎」●アガサ・クリスティーの「ABC殺人事件」をモチーフにしたアンソロジー5作品。有栖川有栖さんは別なアンソロジーで読んだことがあったけど、法月倫太郎さんだけは初読み。しかも、読み方を、ずっと「ほうげつ」だと思っていたのに「のりづき」だということに初めて気が付いた!●この1年の間で海外の古典ミステリーをけっこう読んでいたので、この推理小説の古典中の古典ともいえる「ABC殺人事件」を読んだ(というかAudibleで聞いただけかもしれない)記憶もまだ新しく楽しめた。中山七里さんの「カエル男」も思い出した。●有栖川さんと法月さんの作品は本格推理小説っぽく、へえ~面白いなと思った。●恩田陸さんの話は既読だったけど再読してやっぱよく書けているなと偉そうに再確認できた。「ABC殺人事件」との関りでモチーフがどうなの?とも思ったが、ヒントを散りばめながら事件が現在進行形で進んでいくところがそうなんだろうかと思った。●加納さんの猫の話は、いちばん「ABC殺人事件」をモチーフにしたというのがわかりやすいし、加納さんらしい日常のミステリー小説だった。私立探偵仁木と助手の安梨沙はシリーズもので書かれていそうなのでそちらも読んでみようかなと思った。【中古】 「ABC」殺人事件 講談社文庫/有栖川有栖(著者),加納朋子(著者) 【中古】afb楽天で購入2019.3.10読了 2020.6.1再読以下、再読の感想より・アガサクリスティーの「ABC殺人事件」をモチーフにした書下ろし短篇集。再読だけど、「あなたと夜と音楽と/恩田陸」以外は悲しいかな全く記憶に残ってなかった。全部書下ろしってこれはまたすごいな。・そもそも読もうと思ったのは、Audibleで聴いた有栖川有栖さんの「マレー鉄道の謎」が期待に反してイマイチだったので、もう1回短編でも読み直してみようかいという気持ちだったが・・・・初っ端が有栖川有栖氏の「ABCキラー」。これは面白かった。この作品が一番アガサクリスティーの原作を忠実にイマージュしているような気がする。ABの殺人がCD殺人のヒントとなり誘因となった。原作よりもストーリーとしては面白い?有栖川有栖さん、長編よりも短篇のほうが面白い??・「あなたと夜と音楽と/恩田陸」だけは3回目なので記憶に残っていた。ラジオ番組のディスクジョッキー2人の語りだけで書かれたミステリー小説。何度読んでも面白いなと思う。「ABC」殺人事件のテーマとしてはどうなの?という意見もありそうだが、ABC順で殺人事件が起こらなくても、決まった順序で曲をかけることで犯人を追い詰めるって話は、恩田陸的「ABC殺人事件」解釈でOKだと思う。まれにみる秀逸な短篇だと思っている。・「猫の家のアリス/加納朋子」は殺されるのは人でなくて猫だけど、「ABC殺人事件」をモチーフにしたというのが一番わかりやすいし、加納さんらしい日常のミステリー小説だった。・「連鎖する数字/貫井徳郎」では、数字は子供が殺害された日にちと時刻だった。安楽椅子探偵の迷推理はご愛敬か。・「ABC包囲網/法月綸太郎」は、機会に恵まれず、いまだに唯一読んだことのある彼の著書。本格推理小説短篇らしい作品で面白かった。再読なのにかすかにしか覚えてなかったのは普通なのか、それほど魅力がなかったのか、私の認知機能の低下なのか・・・
2020.06.07
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・小説いついては今のところ読んで外れは一度もない作家。どんでん返しの帝王と言われている作家としては、今回のどんでん返しはイマイチだったかなと感じた。読者としては作品を何作も読むうちにだんだんハードルが高くなっているのかもしれない。・ところで「テミス」って誰?〇右手に剣を、左手には秤を携えた法の女神テミス・・・剣は力を意味し、秤は正邪を測る正義を意味している。・秤が間違えば剣は誤った者に向けられるというのがテーマなのか?もっと言えば人がそんな人を裁く秤を持ちうるのだろうかということを問う小説を書こうとしたのだろうと思う。テミスの剣 (文春文庫) [ 中山 七里 ]楽天で購入2020.5.25読了・今回のテーマは冤罪。誤認逮捕され死刑判決を受けて獄中で自死した「犯人」とその家族、被害者とその家族、取り調べをして証拠捏造までした警察、検察や裁判で誤った死刑判決を下してしまった裁判官たち、それぞれの立場からその心情やとった態度を書いた小説だった。〇「そんな調書、俺は知らん。さっきの立ち会いも知らん。お前が一人でやったことだ。いいか、俺は絶対に無関係だからな」・別件で逮捕された迫水が自供して冤罪だったことが分かると、保身、組織防衛や対面の保持のための隠蔽体質から渡瀬に攻撃が始まった。〇人が神の視座に立つことなど到底不可能だ。それにも拘らず裁判官は人を裁かなければならない。〇押しなべて裁判官と呼ばれる人種は最高裁に逆らおうとしない。その判断と対立してまで自説を貫こうなどとは露ほども考えない。何故なら裁判官といえども公務員であることには変わりなく、その処遇を決定するのが最高裁だからだ。〇「世の中に正しいことなんて何一つない。あるのはその時々に都合がいいか悪いかだけだ。それを見誤ると得にならんぞ」 それがどうしたクソ野郎。・証拠品=被害者の血が付いたジャンパーの捏造・こんなに重くて面白いストーリーだったのに、どんでん返しがイマイチだった。信頼していた検察の恩田が裏切りもので、今回の事件の仕掛人だった訳だが、その理由がただの不倫の隠蔽だったなんてちゃっち過ぎない?!その点がちょっとばかり納得がいかないと思った。
2020.05.30
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・岡嶋二人という作家を知ったのは、私小説的な「おかしな二人」という本を読んだことがきっかけだった。二人合作ゆえの苦労や行き違いもあり、締め切りに追われながら苦しみ抜いて作品を書き続けていたということを知っていたので、作品には興味をもちながらも読みづらくて暗いものだろうなと勝手に想像してしばらく積読にしてあったのだが・・・・岡嶋二人さん初読みは、読みだしてみれば思いのほか読みやすく、ミステリーとしてだけでなく小説としても普通に面白かった。99%の誘拐 (講談社文庫) [ 岡嶋 二人 ]楽天で購入2020.5.28読了・2世代にわたる誘拐の完全犯罪。被害者だった者が今度は加害者として誘拐を計画、コンピューターでプログラミングして行われた。これが書かれたのが1988年、まだ携帯電話もなくポケベルでパソコンもちょっと重い画像を処理しようとしたら膨大な時間がかかっていた時代だと思う。現在でもおそらくこんな完ぺきなプログラムによる完全犯罪は難しいと思うが、当時にこの発想ができたことには驚嘆するしかない。・末期がんに冒された男が病床で綴った誘拐事件に関する手記を、瀬戸内海で起こったある事件をきっかけにその息子が読むことになった。かつての事件で誘拐された少年だった彼は過去の誘拐事件の真相に気づき、父の無念を晴らすべく誘拐の完全犯罪を計画したという話。完全にネタバレだ!だけど、小説を読んでいるうちに真犯人は分かってしまうし、昔の誘拐事件のことも薄々気付くように書かれていたので、謎解きで勝負するミステリーとは考えずに書かれた話だと思うのでまあいいか?・真犯人を慎吾と見破ったのは、上司でありかつて父が信頼していた部下であった間宮。彼はかつての誘拐事件の主犯格だった男である。かつての誘拐事件で身代金受け渡しの場となった瀬戸内海のフェリーの上での二人の会話が最終章。100%ではなく99%の誘拐というタイトルについて考えてみる。どちらの誘拐も100%ではなかったのだと思った。・岡嶋二人さんの他の本も読んでみてもいいかなと思った。
2020.05.30
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・新型コロナパンデミックの中、30年以上前に読んだ本を思い出して再読。当時(も今もだけど)敬愛していた椎名誠さん推薦の作家なので読んだ本の中の1冊だったと記憶している。・感染症を故意に発生させる犯罪と戦うサスペンスでとっても面白かったというのが、再読する前にもっていたイメージだったが、再読してもその印象は変わらなかった。ただ当時はエボラ出血熱という感染症をどこか遠い世界のSF的なことだと感じていたように思うのだが、読み返した現在ではリアル起こりうるサスペンスとして身近に感じてしまうのが大きな違いだった。あとはCDCについて認識が深まったのも収穫、日本にそれにあたる組織がないのは問題かも?と思った。今回のコロナを機会にそういう機関ができればいいのだが・・・2020.5.20読了・1976年にザイールで発生したエボラ出血熱が時を隔ててアメリカの各所で飛び石的に発生、初発患者は医師、発症前に追いはぎにあっている・・・CDCの新米医師マリッサが解明のヒントを得るが上司や同僚から孤立してしまい、頼りにしていた恋人は・・・・著者のロビン・クックは医師で、医療に関連したサスペンスを何冊か読んだ記憶がある。医学的な問題や医療を題材にしつつも、サスペンスドラマのようにハラハラドキドキする小説を書く作家なんだろうなと思う。・ウイルス感染を収束させるキモはやはり隔離、解明するのは疫学調査なんだなと改めて認識できた。
2020.05.21
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・ミステリー小説分野にカテゴライズしていいものかどうか微妙だけど、小説推理新人賞受賞作なのでまあいいかあみたいな感じ。どちらかというと女性を主人公とした、逞しくも愛らしく強い女をテーマにした短篇集だと思う。・表紙がちょっとあれというかこれなんで・・・還暦のジジイが読むには抵抗があってこそこそ読む羽目になってしまった。対象はヤング世代(これっておそらく死後ですね?)なのかなと今更気付いた。ちなみに著者の垣谷美雨とワシは同じ年生まれなのだが・・・竜巻ガール (双葉文庫) [ 垣谷美雨 ]楽天で購入2020.4.9読了〇カバーの表紙は、学校の廊下らしいところに立つセーラー服姿の女子高生、首から下だけで顔は分からない。第1話「竜巻ガール」の涼子のイメージだろう。・表紙がちょっと何というかあれで・・・還暦のジジイが読むには抵抗があって何となく隠れてこそこそ読む羽目になってしまった。遅ればせながら対象はヤング世代(これっておそらく死語ですね?)だったのかなと今更気付いた。ちなみに著者の垣谷美雨とワシは同じ年生まれなのだが・・・そう思えば何だか共感できるような気もしてくる。逆にそれを知らなかったら読後の感想はまた違っていたような気がする。小説ってそれを書いた作家のプロフィールも含めてのものなんだなと気が付いた。それって邪道?「竜巻ガール」・視点は高校生男子、突然に父が再婚して同い年の妹ができる。初対面はガングロだったけど実は美人の彼女とあっという間にエッチな関係になって・・・結局は離婚して別れることになるが、彼女やその母親の生き方や強さや弱さなど人生勉強もしました。みたいな感じ。〇「ガングロはもうひとりの自分になれるの。身を守る仮面でもあるし。あんまりきれいだと、ママの彼氏に襲われたりするからね」「旋風マザー」・借金を払えずに行方不明を装っていた父親を持つ独身息子の視点からの短編。親しくなった女性との甘い関係を夢見ていたのだが、実はその女性は父親と結婚することになった。実はそれを操っていたのが書類上ではまだ離婚が成立していない実の母親だった。あらすじをまとめればミステリーかも?女は怖いな。「渦潮ウーマン」・湯河原の旅館で溺れた不倫相手を見捨てて逃げ帰った女性の視点からのサスペンス。憧れのサラブレッド上司がマザコンの泣き虫だったり、その彼が湯河原の旅館の女将の姉だったり、思わせぶりな麻美さんが単なるいい人だったとか・・・人が死んだとは言え何となくハッピーエンドに感じて一番面白かったと思う作品。〇「あなたは、自分の身を守るためなら旅館から逃げ帰るような卑怯者にもなれる強い人間よ。そういう臨機応変なところも聡明な証拠だわ。それにストーカー行為にしてもなかなかのものだったわ。あれくらいのことをやれる女性じゃないと、社長夫人は務まらないわよ・・・」・そんなかっこいい彼を足蹴にして玉の輿を拒否して生きる人生を選択した主人公に拍手したい。「霧中ワイフ」・年下のイケメン中国人と結婚した新婚女性の視点から。妊娠した女性が、偶然に彼の娘からに来た手紙と家族写真を見つけて夫の二重結婚疑惑に悩んで葛藤する。結局はハッピーエンドになってよかった!解説・北上次郎と言えば目黒考二として「本の雑誌社」で椎名誠と一緒に仕事をしていた人ではないか!または椎名誠率いる「東ケト会」のメンバー「カマタキの目黒」としてご飯を炊いていた人でもある。しかも「椎名誠 旅する文学館」の名誉館長も務めていたはずだ。ちなみにワシは椎名誠の大ファンである。・椎名誠と目黒考二の対談「本人に訊く〈1〉よろしく懐旧篇」は少し前に読んだばかりだった。・本を読みたくて読みたくてしょうがなくてたくさんの本を読んできた彼が、彼女の才能をとても高く買っているのに驚いた。なぜならワシはそれほどには面白いと思わなかったからだ。単に好みの違いとか指向の違いならいいのだが、読み込みが浅いとか感受性が乏しいとかだったら残念だなあと少し不安にさらされている。・タイトル作にはいきなり面食らってしまって、あまりいい印象はない。「渦潮ウーマン」が一番面白かったかな。でも一番インパクトを受けたのは解説かもしれない。。
2020.04.10
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