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2006年02月22日
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明治(3)

 この巻は、地租改正をはじめとする税制改革と自由民権運動そして議会開設という政治参加の2本立てで、日本の民主主義を考察するもの。

 税についても、政治参加についても結局は明治の問題を引きずったまま

 というのが、読後に一番残った感想だ。

 「人民告諭書・大蔵省原案」

 これは、明治の税制改革を行うにあたって、国民に対して、どういった趣旨の改革を行うのかを知らせるものだで、この告諭書の内容と書くにいたった重いが生かされていたならば、日本人の税への思いが、ただ単に「取られている」とか「払わされている」といったものでなく、もっと積極的で肯定的な意味になっていたかもしれない。原案とある通り、これは案であって、後に、この案の重要な部分は削られる形の骨抜きの状態で告諭書として国民に出された。

 「政府は国民のために存在するものであり、国民一般が欲するように規則を作ること(治安がよく、強者が弱者を支配したり、富者が貧者を搾取したりすることなく、安穏無事に働き、生活ができる)、そのために政府はさまざまな機関(裁判所・軍隊・各省庁・役所)を設置する。これらの役所が国民一般のためのことをするので、運営費用を国民一般で負担するものが税金であり、それだからこそ公平でなければならない」

 と説くように、江戸時代のお上と下々の発想を大きく転換させたものだった。しかし、このような理念を提示すると、農民に更なる騒擾をもたらすものになるかもしれないとのことから、太政官からは

 「政府は人民を保護する存在であった、税を納めることは人民の義務である」

 まさに、「政府=お上」そして「人民=下々」の江戸時代のような構図であり、税は義務の面が強調されることになった。現在も、日本国憲法でも納税が三大義務の一つになっているように、支えるという肯定的な面よりも、否定的な面が強いものになってしまったことを感じさせられた明治の税制改革の進展であった。

 福沢諭吉は、近代国家になるには、すべての人が「客分」の意識を捨て、一員としての意識を持つことが大切であり、そうでないと一国の独立が守れないという趣旨を説いている。明治政府は当初、建白書という形で国民の意見を広く集めていた。国会開設も当然建白書が出され(有名なのは板垣退助)、国会開設と憲法制定への動きができた。そして「私擬憲法」といわれる民間の憲法草案が、さまざまな人々によって作られたように「民」が積極的に”この国のかたち”を考えていた。しかし憲法は政府=官の伊藤博文が諮問機関で審議を行い、その過程は国民に知らされることなく、1889年に「大日本帝国憲法」が発布されるように、憲法制定について、官と民が手を結ぶ形には必ずしもならなかった。また、その後の選挙が男子だけ+納税額という条件を加える制限選挙によって、否応なく「客分」意識を持たされる人たちが生まれることになり、政治参加においては「客分」意識を払拭させることができなかった。

 今は、制限選挙から普通選挙(年齢の妥当性の議論はあるが)になり、そういった意味で否応ない「客分」意識を生み出すことはなくなったが、しかし、投票率に低さを見ると、やはりまだ完全には「客分」意識を脱却し切れていないのかもしれないのではないだろうか?

 この巻を読みながら、改めて税制度にしろ、政治への意識にしろ、まだ明治、そしてその前の江戸の問題を引きずっているのではないかと思わされた一冊だった。


NHKスペシャル 明治3

 編著者:NHK「明治」プロジェクト 発行所:日本放送出版協会
 定価:1,500円+税





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最終更新日  2006年02月22日 21時56分28秒
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