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昨日の記事に掲載した、植物が生長し、それを人類が利用しながら、大気中の二酸化炭素を増加させない「カーボンニュートラル」の図これは「ウィキペディア(Wikipedia)」の「カーボンニュートラル」の項からとってきたものですが、下の方の二酸化炭素がどこにあるかを示した図の色の説明はつぎのようになっていました。色の説明:大気中の炭素 - 水色地中の炭素 - 薄いピンク色植物の中、暮らしの中の炭素 - 薄い茶色どうみても薄いピンク色が植物の中、暮らしの中の炭素、薄い茶色が地中の炭素というように見え、私の目が悪いのかと思いました。図をクリックしてみると、日本語だけでなくEnglishの方も、carbon in atmosphere - light blue carbon in ground - light pink carbon in plant and human life - light brownとなっています。やっぱり私の見間違いか?じっと画面を見つめつつ、これはやはり作者の説明文の書き間違いだと確信し、そして間違いは直すのがみんなのためになると心の中で言い聞かせて、Wikipediaの図の説明文を直しておきました。現在はこう訂正されています。色の説明:大気中の炭素 - 水色植物の中、暮らしの中の炭素 - 薄いピンク色地中の炭素 - 薄い茶色これでいいですよね、この図の作者さん。さて、「カーボンニュートラル」を「二酸化炭素を増やさない」という真の意味で実現しようという解釈だけでなく、「化石燃料の燃焼による増加を二酸化炭素の森林による吸収量の換算によってごまかそうという解釈」(どこかの政府のいいのがれ)や、「原料が植物でできていることだけを根拠に(生産過程などで大量に化石燃料などを使っていても)地球・環境にやさしい製品として「カーボンニュートラル」という言葉を使って宣伝」(どこかの企業の宣伝)なども存在します。とくに、アメリカの多国籍企業・穀物商社が戦略的に主導してブームをまきおこしたバイオエタノールなどのバイオ燃料の(ためのトウモロコシやサトウキビの)生産・利用も、その過程で(輸送や温度管理、農薬・肥料・水等の生産や散布等々に)多大なエネルギーを使っているので、「カーボンニュートラル」とはとてもいえません。そのうえ、食料価格高騰などを引き起こす被害を世界中に与えたということでは犯罪的です。「カーボンニュートラル」という言葉のこうした使い方、およびその姿勢は間違いだということを強く主張する必要があります。問題は、植物の生育や利用が化石燃料の生産・消費を抑えることと結びついていなければ意味がないということです。まずは、地中にある二酸化炭素をいかに大気中に出さないか、そして植物の生育、利用、廃棄(焼却)、それから再生…という循環が(化石燃料をできるだけ使わずに)できるかどうか、ということが肝要です。さらに、増加させてしまった二酸化炭素を相殺するために植林活動などをおこなう「カーボンオフセット」も、「カーボンニュートラル」と称されることもあります。長くなりましたので、これについてはまた別の機会に論じます。
2009.02.05
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「自然の摂理から環境を考える」という人気サイトがあります。いろいろな意見を持った多くの方が執筆者として交代に登場し、論旨もまちまちで、これはすばらしいと思う意見から、まったくおかしいと思うものまでさまざまですが、幅広い意見を知るという意味でも、楽しく読ませていただいていました。これはちがうのでは、と思う意見でも、これまでコメントしたことはほとんどなかったのですが、「2007年06月28日 新エネルギーってどうなの?」という記事を読むと、「バイオマスには可能性がない気がします」と結論づけられていました。たしかに、「はじめにバイオマスありき」で、穀物メジャーの支配のもと、バイオマス燃料・エタノールの生産のために、アメリカで、エネルギー効率のよくないトウモロコシを他の作物を押しのけてまでも増産していたり、アマゾンの熱帯雨林を伐採してサトウキビ畑を拡大していたり、というような事例もあり、ぜひやめさせなければならない「悪いバイオマス」があるのは事実です。しかし、そもそもバイオマスは、身近にある生物資源を「もったいない」の精神で利用してきたものであり、実際に小規模の伝統的なものを引き継いだバイオマスも多く、全体としてはバイオマスをエネルギーとしてももっともっと活用していくべきであると考えてきましたので、まず次のようにコメントしました。「ただ放置しているだけでは荒廃してしまう森林をどう維持すればよいのか、よく考えてみてください。バイオマスにもピンからキリまであり、可能性のあるものも、ほとんど意味のない、あるいはかえって環境にとってよくないものもあります。それを、きちんと吟味もせずに、森林のCO2吸収の数値だけ見て、ただ驚いて、解決策を考えようともせず、「バイオマスには可能性がない気がします」なんて結論を簡単に出すとは、あなたも「思考停止状態」に陥っていませんか? 2007年06月29日 12:03」で、そのコメントで名前を出すのを忘れたこともあり、バイオマスを一括して論じることはできないということを明確にする意味でも、他の数人の方のコメントに続いて、フォローのコメントも出しました。「最初にコメントした者です。(前回ネームを入れ忘れました。)この地球に微生物や動植物が存在し、人間が生ごみ等を出し続ける限り、バイオマスは存在し続けるのです。ただ、それをどう利用するか、は千差万別です。バイオマスを使うべきか、バイオマスは効率的か、という(実践的に役立たない自己満足的な)一般論ではなくて、どう使うか、どう使えば効率的なのか、そうした使い方をするにはどうすればよいか、が議論されなければならないと思い、前回もコメントを書きました。たとえば、「エタノール燃料はエネルギーを無駄にしているか?」という記事に、「ブラジルで1日30万リッターのエタノール燃料を蒸留する工場を建設する代わりに、1,500ヘクタールの農場で小さな農民が栽培したサトウキビとモロコシを1日2万リッターずつ燃料にした。エタノール蒸留場の近くで絞りかすを家畜の餌にし、家畜の糞尿と有機物残さからバイオガスを作った。このバイオガスはエタノール燃料を蒸留する熱源に使い、残りから発電し地域に電力を提供するのに充分な量だった」(http://journeytoforever.org/jp/ethanol_energy.html)という文章が掲載されていましたが、比較されたどちらの使い方もバイオマスなのです。そこを理解して、議論してほしいものです。 ecologician 2007年06月30日 21:53」また、その記事では、「カーボン・ニュートラル」が紹介されていて、それに対する疑問が書かれています。「バイオマスは有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出される。しかしこれに含まれる炭素は、そのバイオマスが成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素に由来する。そのため、バイオマスを使用しても全体として見れば大気中の二酸化炭素量を増加させていないと考えてよいとされています 1990年代以降、バイオマスは二酸化炭素削減(地球温暖化対策)、循環型社会の構築などの取り組みを通じて脚光を浴びています。そもそも高度成長期以前の日本では、落葉や糞尿を肥料として利用していたほか、里山から得られる薪炭をエネルギーとして利用するなどバイオマスを活用した社会であったと言えます。ウィキペディア「バイオマス」により抜粋・編集『バイオマスってなに?1』の↑の部分でちょっと「んん 」と思いました。「バイオマスは有機物であるため、燃焼させると二酸化炭素が排出される。しかしこれに含まれる炭素は、そのバイオマスが成長過程で光合成により大気中から吸収した二酸化炭素に由来する。そのため、バイオマスを使用しても全体として見れば大気中の二酸化炭素量を増加させていないと考えてよいとされています」 これに対して、この記事を書いた方は、次のように述べています。「の部分ですが、一見、理論上では「なるほど!」ですが、現実で考えたら...おかしくないですか この理論でいけば、今現在生えている木を切って、それが廃材になりバイオマスとして活用された→つまりエネルギーとして燃焼させてCO2を排出した→でもそのCO2は、その昔の木が成長する過程で光合成の際使用したCO2として換算すると、プラマイ0なのでOK ってことですが、実際、木が使用したCO2は、その昔成長する段階に空気中にあったCO2なんだから、燃やした時点で考えれば、ただ単に燃焼して空気中にCO2が放出された→CO2が増えた ことになりますよね 燃焼させた時点でCO2をプラマイ0にしようと思ったら、その時点で放出分と同じだけのCO2を吸ってくれる植物を育てるなどしないと、そうは言い切れないと思います。」「カーボンニュートラル」の概念は、植物は、空気中にあるCO2を固定化し、そしてまた放出するという過程を繰り返しており、燃焼してエネルギーとして使っても、これを繰り返し使う限りでは空気中にあるCO2が一方的に増大することはない、ということです。これに対して、化石燃料の場合は、もともと現在の大気中にはなかったCO2を地中から取り出して放出し続けることになるから、使えば使うほど大気中のCO2濃度が高まることになるということになります。この単純ではあるが、地球温暖化を理解するために基本的で重要な概念を、残念ながら、この記事を書いた方は理解していないといわざるを得ませんでした。
2007.07.06
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