江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

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旧岸総理邸 朽木一空と五林寺隆さん

2022.01.22
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​     ​ 慙愧 氷月左近  3闇夜の毀れ花





 いつの世だって きれいごとだけじゃおさまりはしねえよ   
      裏がなけりゃ きれいなままじゃいられねえよ
       人間だれしも そううじゃねえのかい、、、
遠山金四郎と榊原無道との話が纏まると、曲猿(せざる)は無言で、また蜘蛛が昇るようにすっと天井裏に消え、
 「遠山様と一緒のところを見られては拙者も都合が悪いのでな」
 と、言い残し、榊原無道も二階の障子を開け、蕎麦屋の出入り口を避けて、屋根伝いに姿を消した。
   遠山金四郎は、ほっと一安心して、膳の上のおかずに手を伸ばし、酒を口にした。
 「これでよかったのか?」
 だが、賽は振られたのだ、もう後戻りはできない。人情裁き、庶民の味方の看板を背負っているのだ。
  遠山金四郎がやくざ者のように江戸の町で喧嘩まがいの捕り物をすれば町奉行としての 人気は地に落ち、南町奉行の鳥居耀蔵のように妖怪だ蝮だと罵られるかもしれないのだ。
  いいひとの遠山奉行でいるためにはこれしかない、これでいいのだ。だがよ、誰にも内緒だ、口に閂だぞ、
  酒を含んだ遠山金四郎の唇が歪んだように笑っていた。
  ~おお、くたびれた、、~
  遠山金四郎は座布団を枕にしてうつらうつらした。
 四半時も眠っただろうか、 階下の店にどかどかっと、北町奉行定廻り同心の日下部退蔵と岡っ引きの吾平が入ってきた。
  酔っていた、声がやけに大きい。二階で眠っていた遠山金四郎も目を覚ました。日下部退蔵の声は遠山には筒抜けであった。
 「お奉行の、遠山の金四郎も焼きが廻ったんじゃねえのかい」
 「日下部の旦那、そんな事を言っちゃあいけませんや」
 「だってな吾平、佐伯新三郎なんて悪党の首も刎ねられねええで、何がお江戸の見回りでえ、 何のための奉行所でぃ、老中から圧力があったかどうか知らねえが、そんなことじゃ江戸町奉行なんざ、 屁のつっぱりにもなってやしねえよ、ふんっ、遠山桜にも苔がはえてるんじゃねえか」
 「ちょっと、酔いすぎですよ、奉行所の同心ともあろうお人がお奉行の遠山様の悪口を言って、 いくら、自分の妹が遊ばれて捨てられたからと言って、遠山様の責任じゃありませんからね、 悪いのは旗本佐伯新三郎でしょう、八つ当たりにしても見当違いですよ」
  本所の蕎麦屋”ひさご”で酔い潰れていたのは北町奉行定廻り同心の日下部退蔵、であった。
 ”ひさご”という蕎麦屋は遠山金四郎が贔屓にしている蕎麦屋である。贔屓というより、 金四郎が奉行所を抜け出し、忍びで町の探索に当たる時の住処である。
 ここで着替えをし、髪を崩し、変装した。いわば遠山が忍びで江戸の町を探索する時の隠れ家でもあったのだ。
 店主の吾平は元博徒で喧嘩でやくざ者を刺してお縄になり、島流しになるところを遠山のお慈悲で命拾いをし、 以来、蕎麦屋の亭主をしながら、遠山金四郎の隠れ家を提供し、狗(いぬ、密偵)も務めていた。
 定廻り同心の日下部退蔵も、遠山金四郎と、よく打ち合わせでこの店を利用していたし、 見廻りの途中には立ち寄っては蕎麦で腹を埋めていた。 いわば常連、身内と言ってもいい、気心の知れた、仲間内のような蕎麦屋であった。
 だからであろう、その日の日下部退蔵は、酔った勢いで、思いきり、上司である、
遠山金四郎への鬱憤を吐き出していたのだった。
 遠山の耳には充分日下部退蔵の悲鳴にも近い戯言が聴こえていた。
 江戸庶民の味方名奉行遠山の金さんの名声は汚したくはなかった。 かといって、江戸を我が物顔で闊歩する悪をのさばらせておくわけにもいかなかった。
 南町奉行の鳥居耀蔵は隙を見つけては遠山の失脚を狙っていたのだ。 遠山金四郎は、あくまでも名奉行という顔を捨てたくはなかった。
 そのために、第三の隠密の力を借り、裏で悪を抹殺しようとしていたのだった。
 これが、名奉行遠山金四郎の二重底の顔なのであった。
     つづく    朽木一空
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最終更新日  2022.01.22 10:30:07
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