江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

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大富士 朽木一空と五林寺隆さん

2023.07.17
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​​ 泡沫夢幻 江戸令和 1 ​​
​​  泡の助江戸に現る 1
​​


 巣鴨にある徳栄山令和寺の寺男、泡の助の泡沫夢幻の物語である。
  したたかに飲んだ、もうへべれけで
 遠山金四郎の墓石に倒れ掛かるようにして座りこんだ。
 ぐらぐらぐら、、なんだ、なんだ!酔ったせいじゃねえぞ、!
  泥酔していたた泡の助でも地面が割れるような揺れを感じた。地震だった。
  ばりっ、どすん!
  墓石が割れ、泡の助は暗い墓の穴の中に突き落とされてしまった。
  令和寺の庫裡は禁酒なので、泡の助は酒を飲むときには一升瓶を抱えて
 持ち場である徳栄山令和寺にある遠山金四郎の墓前へ座りこみ、
 「金四郎様ぁ、、お会いしてえょぅ、」と、愚痴りながら独り酒を飲むのが癖だった。
 「どこのどなたじゃ、!こんなところに寝込んで、狸か狐か、」
   庭掃除していたお手伝いのおみねは普段人気のない薮の中の祠の前で海馬(とど)のように 寝そべった男を箒で突(つつ)いた。
 「痛てええ、」
 酔いつぶれて泥のように眠りこけていたのは令和の寺男泡の助であった。
  おみねは泡の助発見の報を走って隠居の銀三郎に伝えた。
  奇天烈な出来事に気を惹かれる隠居の銀三郎はその男の埃をはらい、
 座敷にあげ、世話するようにおみねに申し付けた。
 「へいっ、あっしは泡の助という者でございまして、ちょいと飲みすぎたようで、
 何がどうなったのかさっぱりわかりません、はたして、ここはどこでござんしょうか、」
 「ここは巣鴨の遠山金四郎様の武家屋敷じゃ、」
 「へえ、ここがあの遠山金四郎様のお屋敷でございますか。
 あっしは、巣鴨の徳栄山令和寺からやってきたのでございます。
 そう、遠山金四郎様の眠る墓のある寺でございます。その寺の寺男をしておりまして、」
 「馬鹿を申すでない、遠山金四郎は今でも北町奉行のお役に付いて務めを果たしておるぞ、」
 泡の助はまだ酒酔いから覚めていないのか、呪術にでもかかったようであった。
 「ご隠居さん、わたくしは、令和寺の和尚から、遠山金四郎様の人 情裁きと名奉行ぶりを毎日のように聞かされておりまして、 いつかは江戸へ潜り込んで遠山様に会いたいと夢みたいなことを願っていたのでございます。」
「よくわからぬが、まあよい、それで、おぬしはいったいどこから来たのじゃ、誰なのじゃ、」
「へえ、あっしは令和の国の者で泡の助と申しますがすが、、」
「寝ぼけておるのか、頭でも打ったのか、令和の国など聞いたこともないぞ、」
「へえ、あっしもどうなってるのかわからねえで困っておりますんで、
 ひょっとしてここはお江戸でございましょうか?」
 「そうだ、江戸じゃ、おかしなお人じゃ、
 まあよい、江戸が初めてならついでじゃ丁度、植木屋の伍助の長屋に行くところだ、 江戸の町を案内(あない)いたそう。 おみね出かけるぞ、支度を頼む」
  泡の助まだ夢遊病者さながらであった。
 つづく 朽木一空





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最終更新日  2023.07.17 10:30:07
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