江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

江戸こぼれ話 笑左衛門残日録

PR

×

プロフィール

笑左衛門

笑左衛門

カテゴリ

江戸川柳、俳句、狂歌、端唄、

(70)

みそひともじ(江戸短歌)

(36)

都々逸処ごった煮でござんす

(53)

小説 小伝馬町牢屋敷、首斬り浅右衛門

(11)

小説 鼠小僧治郎吉 へたれ噺

(11)

笑左衛門 残日録

(100)

江戸の変人奇人狂人伝

(8)

浮説 徳川裏史疑隠密秘聞帳

(56)

浮説 徳川御用金、伊賀の蜜謀

(10)

小説 飛脚屋馬之助 悲恋走り

(13)

江戸の小咄でござんす

(53)

江戸しぐさ、江戸言葉、江戸っ子話

(38)

裏長屋よもやま話,

(62)

江戸ぶら、ぼてふり、

(45)

忍草、悪鬼不忍池に沈むの巻、

(4)

忍草 蛇抜け長屋の巻

(5)

忍草 無常の風の巻

(5)

忍草 汚桜金四郎の巻

(4)

忍草 表裏の巻

(15)

忍草 大奥乱れ咲きの巻

(10)

忍草 花川戸七軒店 屁買豚鼻乃儀十始末譚

(9)

忍草 花川戸七軒店  礫の退四朗

(14)

忍草 隠密岡っ引き 三蔵

(16)

忍草外伝 枯草の最後っ屁

(11)

忍草外伝  愚女よ、穢土の闇を駆けぬけろ!

(29)

小説 江戸珍臭奇譚 ふんどしお絹

(10)

小説 江戸珍臭奇談 貸し便お菊

(16)

小説 江戸珍臭奇談 霊岸島 おから村

(10)

小説 女郎花、 泥だらけの純情、 怪盗八咫烏

(12)

小説 浮草侍、 夢喰い侍、

(24)

小説 自由への幻戯 (めくらまし)

(17)

小説 死のう党、慙愧氷月左近、

(20)

小説 戯噺 白鳥空の彼方に

(25)

小説 謀られたり!燻り侍

(9)

小説 しゃっくり同心茂兵衛 事件帳控

(19)

小説 おから長屋 人情へちゃらか噺

(32)

へた絵廊

(39)

小説 天保河童騒動 巾着切り始末

(20)

小説 お江戸酔生夢死

(21)

小説 桃色頭巾参上!

(16)

小説 泡末夢幻江戸令和

(19)

小説 将棋指し、座頭の飛吉

(8)

小説 貸本屋文吉 天保騒動

(11)

橋番、木戸番、自身番、辻番噺

(20)

江戸 いろはかるた

(49)

忍草外伝 翁と忍犬

(19)

江戸風噂減ず口

(10)

小説 そろり長屋

(16)

忍草  再演 26

(18)

えいあい亭助左と代筆処じぇみにどん

(0)

コメント新着

聖書預言@ Re:本所惚門町 そろり長屋 7(11/23) 神の御子イエス・キリストを信じる者は永…
aki@ Re:大川の渡し(01/21) この様な書込大変失礼致します。日本も当…
笑左衛門 @ Re:~将棋指し、座頭の飛吉~1(09/21) さてさて、藤井聡太対飛吉の勝負、  対戦…
笑左衛門 @ Re:~将棋指し、座頭の飛吉~1(09/21) さてさて、藤井聡太対飛吉の勝負、  対戦…
将棋 夫人@ Re:~将棋指し、座頭の飛吉~1(09/21) 藤井聡太君とどっちが強いのかしら

お気に入りブログ

旧岸総理邸 朽木一空と五林寺隆さん

2026年03月22日
XML
カテゴリ: 忍草  再演 26
忍草(しのぶくさ  )    再演 26-1

忍草の 葉影が揺れて 掘割を
  小舟浮かした 春の宵
悪鬼、下忍の池に沈むの巻  1


どんな草にも咲く花がある  咲かせてならぬ草もある
 陰に隠れて忍草
 もういいかい? まあだだよ、忍草かくれんぼ
天保12年、皐月(さつき)明け六つ(朝6時)。
鯉兵衛はまだ眠りこけてる裏長屋から、竹魚籠(びく)を腰にぶらさげ、木戸を通らずに、厠(かわや)の横をすり抜けて、掘割に繋いである小船(鰻舟)に乗る。
 いくらか腰が曲がっていて、動作もゆるりとしただの老翁のように見えるが、
今朝の鯉兵衛の赤ら顔は、いつもの相好を崩した温和な顔を長屋の竃(へっつい)にでも忘れてきたようだ。
皺の間から覗く眼差しが、氷のように鋭く辺りを睥睨しているのを隠せなかった。
 鯉兵衛は<草>と呼ばれる伊賀の忍者である。忍者でも下層の下忍である。
 忍者としての素性を女房のお鮒にまで隠し通し、庶民の顔をし、鰻捕りの老翁として裏長屋の暮らしの中に溶け込んでいた。
 草と呼ばれる忍者にはいつ『秘命』が下るかわからない。明日、下ることもあれば、十年も『秘命』が下らない場合もある。『秘命』が下るまでは、忍者であることを悟られないよう、江戸庶民の中に紛れ込んで暮らているのである。
 <草>と云われる所以である。
 秘命を受けていない間のお鮒との裏長屋の暮らしは、鯉兵衛にとっては、ただの老翁の穏やかな時間でもあったのだが、
 十日前の子ノ刻、寝入っていた鯉兵衛の耳に、楠木の枝に停まった梟(ふくろう)が、
 ほおぉほおぉほおぉ、ほおぉほおぉほおぉ、ほおぉほおぉほおぉと、
 間をおいて三回啼いた。
 <とんと,縁がねえものだと思っていたが、ついにきやがったか、>
伊賀郷の元締めから『秘命』が下る合図だった。十六年振りの『秘命』であった。
忍びの運命(さだめ)なのか、ゆっくりとした老爺の動きの鯉兵衛の背筋にピンと、芯が通った。
鯉兵衛は水猿と呼ばれている下忍だった。『忍者八門』は極めていたが、水中での術が卓越していた。
<水遁の術>では、腹に己で当身をうち、仮死様態のまま、一日中水中に潜っていることもできたし、
魚のように、敏捷に泳ぎ、葉や藻のなかに、姿を隠す<葉隠の術>は誰にも見破れなかった。
水上を歩く<水蜘蛛の術>では、あめんぼのように、音を立てずに自由に水面を移動できた。
 そして、なにより、鯉兵衛の水猿としての奥妓は魚語が理解できる術であった。
 伊賀の忍術使いでも誰にも真似ができなかった。
 唇の動きで言葉を読み取る、<読唇術>という忍法は、忍者ならみな極めているが、 鯉兵衛は読唇術で魚の言霊が理解できたのだった。
 伊賀衆からは水猿と揶揄されていた。
<でもねえ、旦那、忍者なんて格好のいいもんじゃありませんよ、
 忍者なんぞ、やりたくてやっててるんじゃねえや、
 伊賀の帷(とばり)から逃げ出せなくて 泣きながらやってるんでございますよ、>
 つづく 朽木一空





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2026年03月22日 14時01分33秒
コメントを書く
[忍草  再演 26] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: