TOKYO☆Passenger
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世の中には「眠るための音楽」と称して出されたにもかかわらず、弾き手自身がソレを否定する、と言う音楽がありました。バッハ作曲「ゴルドベルク変奏曲」冒頭とラストのアリア、30曲の変奏曲をもつ、全32曲の曲です。この曲は、眠れない伯爵のためにバッハがチェンバロ奏者ゴルドベルクに、さあこれを弾けよ、と作った曲ですが、この曲の「眠りのための」部分を否定したのが、グレン=グルード。この変奏曲はすべてを2度繰り返す指示があるのですが、グルードは1度ずつしか弾きませんでした。そして、はじめはえらく速く弾きました。それが55年のデビュー。そして、1回しか弾かないのに2回弾く人並みにゆっくり弾きました。それが晩年。しかしグルードは、「癒し」のために音楽として弾いていませんでした。ひとつひとつ、鍵盤を叩くその音は、バッハと会話をしているようにもみえます。音が、ひとつひとつ、計算されて彩りを見せる変奏曲。カノンを中間に挟む構造は、聴いている人の脳内をすっきりさせてくれます。グルードのゴルドベルクを聴きながら、自分の脳内の宇田宇多や思考回路を整理した、誕生日前のある春の1日。
April 11, 2005
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