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2006年01月29日
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カテゴリ: 露野
 私は母の傍らに腰を下ろした。母の枕上には小さな厨子が置いてあり、その中に納められた仏像の手から五色の糸が延びていて、その糸の端が母の手に握らされている。私がその糸を見ていると、ふとその手の下に何かあるのに気付いた。私は既に冷たくなった母の手を取り、その下のものを引出した。

 それは、小さく折りたたまれた陸奥紙だった。

 開いて見るまでもない。私にはそれが何だかわかった。私からの文を、母はその手に握り締めたまま、逝ったのだった。

 私の眼から涙が溢れてきた。母のために泣く日が来ようとは。だが、私は涙を押さえることが出来なかった。すすり泣く私に、老尼は言った。

「母宮様は、いつもあなた様に会いたいと、そればかり言っておられました」

「それは嘘だ。母上が私に会いたがるはずはない」

「いいえ。確かに、誰にでも自分の心を打ち明ける方ではございませんでしたが、襁褓のうちからお育てしたこの乳母にだけは、いつも全てをお話し下さいました」

「だが、私は母上から可愛がって頂いたことなど一度もない。母上は、私など要らなかったのだ」

「そのようなことがありますものか。宮様にとって、あなた様はただ一人のお子。可愛くないはずはございません。あなた様がお生まれになった時、どれほどお喜びになったことか。あなた様の歌が人々に誉めそやされる度、まるで我が事のように御自慢なされました。東国へお出でになったあなた様の身を案じて、どれほどこの仏にお祈りなされたか。わたくしはいつも傍らでそれを見ておりました」





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最終更新日  2006年01月29日 12時34分52秒
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