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2006年02月03日
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カテゴリ: 露野
 知らぬ間に、私の頬に涙が伝っていた。

 今、ようやく私は気付いたのだった。

 姫君に会いたい。あの髪を撫で、唇にくちづけし、この腕に強く抱きしめたい。私の話す他愛のない冗談に笑う、あの明るい笑顔が見たい。私の耳に私への想いを囁く、あの優しい声が聞きたい。そして、もう一度、あの黒髪の中に顔を埋め、あの懐かしい梅花の薫りに包まれながら、あの柔らかな暖かい身体を抱いて眠りたい。

 その気持ちこそが、恋というものだったのだと。

 私は恋とは何かということを知らなかったのだ。

 恋とは、特別なものではない。ただ、相手が恋しい、側にいたいというその素直な気持ちが、すなわち恋というものだと、私はその時初めて知った。あまたの女たちの間を渡り歩き、男女のことに倦み擦れきっていたはずの私が、本当は一番何もわかってはいなかったのだ。

 そして、私は愛というものも知らなかった。

 私は生まれてからずっと、母の愛を感じたことがなかった。およそ人間の持ち得る愛情の中で、母親の愛情ほど強く暖かいものはないだろう。それを一度も味わったことのなかった私は、愛というものがどういうものなのか、全くわかっていなかった。最もそれを必要とする赤子の時でさえ、それを知る機会すらなかった私に、愛を理解することなど出来ようか。

 だから私は、五条の姫君に全てを捨ててもいいと思うほど深く愛されていても、それに気付かなかった。そして、自らの心の奥底に宿った、この重苦しいような痛みと全身を焼き尽くすような熱さが、実は愛の本当の姿なのだと、今頃になってようやく少しだけわかって来たのだった。





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最終更新日  2006年02月03日 18時08分57秒
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