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2006年03月10日
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カテゴリ: 露野
 私は何か言おうと口を開きかけた。だが、斎宮はその冷たい白い指先を、私の唇に押し当てて制した。そして、衣擦れの音をさせて私の胸に寄り添ってきた。

 私はいつのまにか斎宮を抱きしめていた。そして、顔を上げさせて唇を奪いながら、思った。伊勢の斎宮は神に仕える清浄な巫女。未婚の皇女や女王から選ばれ、男と交わることなど絶対に許されない。もしそれを破れば、伊勢の大御神から絶大な罰が下るだろう。斎宮にも、この私にも。

 だが、私は自分を押さえることが出来なかった。私は斎宮の身体を抱きしめ、唇を貪った。後のことは、まるで頭の中に白い靄がかかったようで、よく覚えていない。

 翌朝目覚めると、私の傍らには既に誰もいなかった。髪の毛一筋さえ残されていない。

 あれは夢だったのか。

 私は疑ったが、ただ辺りに漂う濃い伽羅の薫りだけが、昨夜の情事が事実だったことを告げていた。

 私は斎宮に後朝の文だけでも差し上げたいと思ったが、まさかそのような文が人目に触れてはと考えて、自分を押さえていた。斎宮から何か言ってくるだろうか。私はじりじりする思いで待っていた。

 夜がすっかり明け、やはり昨夜のことは夢だったのだろうと思い始めた頃、昨夜斎宮に付いてきた女童と思われる少女が、私に文を持ってきた。私が急いでそれを開くと、中にはただ一首、歌が書いてあった。





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最終更新日  2006年03月10日 17時31分11秒
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