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2006年06月03日
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カテゴリ: 心あひの風
 武生の町の外れに小さな庵がある。庵の主は年老いた僧で、時折父の元へ書物を借りに来ることがあった。若い頃は京の寺にいたというその僧は、温和で学識もあり、兵衛尉も何度か父の遣いで庵を訪れたこともある。

 兵衛尉がその庵に向かおうと思ったのは、その僧に千手の弔いをしてもらいたかったのだ。あの者なら、千手のことを憐れんで、心から供養してくれるだろう。

 兵衛尉が庵を尋ねると、老僧は驚いたが、兵衛尉から話を聞くと頷いて、心をこめて経を読み回向してくれた。

 回向が済むと、兵衛尉は庵の片隅に千手を葬ってもらえるよう僧に頼んだ。この静かな庵でなら、千手も安らかに眠れる。それに、毎日朝夕尊い経文を聞くことができるだろう。

 兵衛尉は僧の手を借りて庭に穴を掘り、衣に包まれた千手の亡骸をその穴に下ろした。

 その拍子に、衣の隙間から、千手の黒髪が零れ落ちた。生きていた時と同じように艶やかな、長い黒髪。その髪の一房を握り締め、唇に当てると、微かに懐かしい白檀の香りがした。

 何度この黒髪にくちづけし、その豊かな流れに顔をうずめたことだろう。

 兵衛尉は優しく彼の髪を撫でる千手の指先を感じたような気がした。

 でも、もう二度とあんな風に髪を撫でてもらうことはないのだ。あの優しい笑顔を見ることもない。






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最終更新日  2006年06月03日 14時51分22秒
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