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2006年06月09日
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カテゴリ: 心あひの風
 京に帰らずに、このままずっと千手の墓守をしてやりたい。そう思った兵衛尉だったが、そのようなことをあの父が許すはずもない。越前を引き上げる日も父に勝手に決められてしまった。

 明日は出発という日の前日、兵衛尉は厩を訪れて爺に別れを告げた。爺は涙を流して別れを惜しんでくれた。兵衛尉は少々過分な金子を爺に渡した。これだけあれば、もし働けなくなっても、当分は何とか暮らして行けるだろう。

 それから兵衛尉は、千手の墓がある老僧の庵にも行った。そして、老僧にも多額の布施を渡し、これからずっと墓を守ってくれるよう頼んだ。

 兵衛尉は自分が寄進した千手観音に手を合わせて祈り、千手の墓に最後の別れを告げるために庭に出た。

 雪国越前の春はまだ遠い。

 兵衛尉は去年の春を思い出した。千手の墓の上の桃の木が初めて花を付けていた。まだ若木で花の数は少なかったが、墓の上に散り敷いた薄桃色の小さな花びらが、千手の唇を思わせて、兵衛尉には切なかった。

 もう二度とこの桃の花が咲くのを見ることもないのか。そう思うと、兵衛尉は胸が張り裂けるような気がした。





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最終更新日  2006年06月09日 12時31分18秒
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