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2006年11月01日
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カテゴリ: 孤舟
 つらい潮汲みに耐えるために、袈裟はいつしか知らず知らずのうちに今様を口ずさむようになっていた。それをたまたま塩田を見まわりに来た主が耳にし、その歌声の美しさを愛でて、袈裟を館勤めに格上げしてくれたのである。

 塩田の下人小屋に較べれば、館の下仕えなど極楽のようなものだ。それに主は気の良い老人で、時々庭先に呼び寄せては袈裟の歌う今様を楽しむだけで、夜伽に召すこともなかった。本来なら、袈裟は地面に額を擦り付けて主を拝んでもいいくらいだ。だが、その頃には、袈裟は暗い眼をした、したたかで残忍な女に成り果てていた。

 袈裟は京へ戻りたかった。こんなところで朽ち果てるなんて真っ平御免だ。

 そう思っていた袈裟は、館に仕えていた一人の武者に目をつけた。常陸という渾名で呼ばれていたこの男は東国生まれで気が荒く、武芸や馬術に巧みなだけの無骨者だった。だが、猪首で不器量なくせに女好きで、博打に負けてはいつも金に困っていた。袈裟は巧みにこの常陸に近づき、自分の身体の魅力で虜にした上で、主を襲って金を奪い自分を連れて逃げるように垂らし込んだのである。

 袈裟にすっかり溺れていた常陸は、袈裟の言うがままに頷いた。袈裟はこっそり館の中を嗅ぎまわって、金が主の寝間の厨子の中にあることをつきとめると、ある夜常陸を館の中へ誘い入れ、主の寝込みを襲った。

 人影に気付いた主が騒ぎ立てたので、袈裟はためらわずに短刀を抜くと、主の喉を切り裂いた。袈裟にはもはや主への恩義を感じる心など微塵もない。そして、怖気づく常陸を叱咤して金を掴むと、一緒に若狭から逃げ出したのである。





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最終更新日  2006年11月01日 14時40分20秒
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