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2007年01月31日
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カテゴリ: かるかや
 母はそう言うと、夢を見ているような優しい眼差しで、一つ二つと花びらを散らしている桜を見つめた。

「今でもはっきりと、あの時の殿のお姿を思い出します。まだお城から下がったばかりで、縹色の麻の裃をお召しになっておられた。わたしたちが庭先に跪くと、縁の端まで出て来られて、にっこりとお笑いになって……世の中に、こんなに凛々しく美しい方がおられるのかと、わたしはもうびっくりしてしまって。わたしがはかばかしくご挨拶も申し上げられないでいると、お前の父上は優しく笑って縁を下り、庭に咲く桜の見事な一枝を折り取ってわたしにくだされたのです。祝儀だとおっしゃって。あの時からわたしは、もうお前の父上のことしか考えられなくなってしまったのですよ。許婚のことが嫌いになったわけではありませぬ。あの人のことはずっと兄のように思ってきたし、今でも懐かしく思っています。とても優しくて良い人で、私を大事にしてくれることもわかっていた。でも、父上へと心が奪われていくのを、わたしはどうしてもとめることが出来なかったのです」





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最終更新日  2007年01月31日 11時37分17秒
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