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2007年11月19日
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カテゴリ: 蒼鬼
 急にがっくりと肩を落とし、真言を唱えるのを止めてしまった真済に、背後に居並んでいた僧たちも驚いて黙り込んでしまった。真済は俄かに立ち上がると、僧たちにむかって低い声で言った。

「しばらく席を外せ」

 僧たちは互いに目を見合わせつつ、それでも押し殺した真済の声の迫力に押されたのか、ぞろぞろと下がって行った。

 真済は一人きりになると、不動明王の根本印を結び、短く真言を唱えた。たちまち、剣の幻の中から金色の光が溢れ出して来る。そして、見る間にそれは二つに分かれ、矜羯羅童子と勢多迦童子が姿を現した。真済は恐ろしい形相で勢多迦童子を睨みつけて言った。

「これは一体どう言うことだ。お前は一体何をしていたのだ」

 勢多迦童子は少し俯きはしたものの、凛々しい童顔の顔色も変えずに、淡々と答えた。

「私はお言いつけ通り名虎の馬を操っておりました。そのまま行けば、もちろん勝利したことは間違いありませぬ」

「だが、そうはならなかった。一体、さっきのあのていたらくはなんだ。小さな竜巻ごときに巻き込まれて、馬から振り落とされでもしたか」

「ただの竜巻であったならば、どうして私が振り落とされなどしましょうか」



「あの竜巻は、ただの竜巻ではございませぬ。あれは、大威徳明王が御自ら姿を変えて、示現なさったものでございまする」





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最終更新日  2007年11月19日 12時50分29秒
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