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2007年12月04日
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カテゴリ: 蒼鬼
 生まれて以来、明子はこの染殿で最も長い時間を過ごしてきた。まだ子供だった頃はもちろん、宮中へ入内してからも、何かにつけてこの染殿へ戻ってくることが多かった。

 明子は身体が弱くて、すぐに体調を壊してしまうたちだ。宮中で重病に陥ったり死んだりすることは大変忌まれることなので、具合が悪い時は出来るだけ速やかに里へ退出しなければならない。

 また、明子にとって宮中は、女たちの権謀術数渦巻く恐ろしいところであり、とても心穏やかに過ごせる場所ではなかった。

 だから、少しでも気分が悪かったり、他の妃との間で何かつらいことがあると、明子は里であるこの染殿へ下がってきた。今回の里帰りも、持病の頭痛があまりにもひどく、ほとんど起きられなくなってしまったからだった。

 だが、明子は好んでこの染殿へ度々下がって来ていたわけではない。実を言うと、明子はこの美しい屋敷を心から恐れていたのである。

 しかし、恐れれば恐れるほど、逆に明子を魅了する不思議な力が、この染殿にはあった。それは、例えるなら、高い岸壁から眼下の逆巻く波涛を眺める時の感覚に似ていた。恐ろしくて堪らない。だが、何者かが誘惑して手招きしているような、吸い寄せられて落ちて行くことに甘い快感を覚えるような。そんな逃れがたい魅力だった。

 どうしてそんな感覚を覚えるのか、明子にはわからない。だが、明子は染殿を恐れつつも、この屋敷に足を踏み入れるたびにその奇妙な力に魅了され、どうしても染殿を離れることができなかったのである。

 そこで、どれほど恐ろしい思いをしたとしても……。





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最終更新日  2007年12月04日 11時28分10秒
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