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2008年01月21日
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カテゴリ: 蒼鬼
 男は、良房の面前の階の下に、膝もつかずに無遠慮に立っていた。

 背が高く痩せた身体には、元は柿色だったらしいが今は見る影もなく真っ黒に汚れてしまった行者衣を纏っている。髪は後ろで無造作に束ねただけの蓬髪で、顎には無精髭が伸びかけていた。

 これが名高い葛城上人か? まるで鴨川の河原にいる乞食行者のようではないか。

 麗しい染殿の御殿にあげることさえためらわれるような上人の姿に、良房は思わず失望の溜め息を漏らしそうになった。

 だが、ふとその顔を見やった良房は、自分に向けられている葛城上人の視線とぶつかってたじろいだ。

 黒く日に焼けた顔の中で、白目ばかりがぎらりと光る鋭い目が、こちらをじっと見つめている。その獣じみた光を放つ瞳には、良房をも戦慄させるような強い力があった。

 この男なら、もしかしたら明子を救えるかもしれない。

 良房はしばらく考えた後頷くと、葛城上人を染殿の寝殿に招き入れた。そして、改めて上人に頭を下げて、明子への祈祷を依頼した。

 寝殿の簀子で胡座をかいたまま、ただ黙って良房の話を聞いていた葛城上人は、良房が話し終わるとゆっくりと頷いた。良房は安堵して、側にいた女房の一人に、明子の部屋の横に設えた祈祷所まで案内するよう命じた。



 どこかで、見たことがある。

 その尊大な笑い方を見て、良房はふいにそう思った。

 だが、葛城上人が渡殿を渡って東の対の中へ消えて行ってからも、良房はそれが誰だったのか思い出せなかった。


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↓建物の周りを囲んでいる手すりのついた廊下みたいな部分が「簀子」です。寝殿に上げたといっても、まだ外じゃん…という感じですが、身分の高い人でも男性がまだそう親しくない女性の元を訪れるような場合には簀子までしか通さないこともあるので、当時としてはさほど無作法なことではなかったのかな。相手の小汚さ(笑)からいっても、良房としては精一杯の好意だったのかも。





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最終更新日  2008年01月21日 12時25分36秒
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