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2009年01月30日
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カテゴリ: 山吹の井戸
 少将は白木の簀子の敷かれた井戸端に角盥を置くと、中の赤黒く染まった水を覗き込んでまた溜め息をついた。

 こんなに妹の胸の病が悪くなっているとは思わなかった。もっと早く知らせてくれていたら、お仕えしている后の宮に少し無理を言って退出させていただいていたものを。

 だが、そう考えつつ、少将は自分の胸の底に何か冥(くら)いつかえのようなものが燻っているのに気づいていた。

 知らせが来ても、果たしてわたくしはすぐに宿下がりを願い出て、この屋敷に戻ってきただろうか。

 少将は醍醐帝中宮藤原穏子の元に女房として出仕しており、いまや側近の一人としてなくてはならない存在である。内裏で多忙な生活を理由に、一日伸ばしにしてしまったのではないか。今度の宿下がりも、亡くなった父母の忌日の法要を営むためのものだった。妹のために戻ってきたのではない。

 少将は自分の薄情さを振り払うように、角盥の中の水を勢いよく庭へ撒いた。井戸の中へ釣瓶を落として引き上げようとしたが、水をたっぷりと汲んだ釣瓶を上げるのはなかなか骨が折れる。

 本来ならこんな仕事は下仕えの女童にでもやらせることだが、妹の側には乳母以外に侍女はついていなかった。いまや庇護者を失った妹は、宮中に出仕して俸禄を得ている少将の援助で、何とか屋敷を維持していくのに精一杯なのだ。余分な人を雇う余裕はない上、古参の侍女たちも妹の病を恐れて一人二人とこの屋敷を去って行ったらしい。


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最終更新日  2009年01月30日 12時35分04秒
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