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2012年01月06日
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カテゴリ: きりぎりす
「何の歌だ?」

 堀河の呟きで目が覚めたのか、眠たげなくぐもった声の獅子王が問うた。

「きりぎりすの歌」

「きりぎりす? どこにもきりぎりすは出て来ないではないか」

 堀河はふっと微笑んで言った。

「あきは、きりきりす、ぎぬれば……」

 獅子王も堀河に合わせて笑った。

「なるほど、そういうことか。わしは和歌には不調法でな。歌のことはよくわからぬ」

「そうは行きますまい。恋歌の一つも詠めねば、女は誰も振り向かぬ」



「そういうものですとも」

 堀河はそう言って微笑んだが、獅子王は何か考え込んで黙ってしまった。そして、しばらくすると、ぽつりと呟いた。

「あの男も、そなたに歌を詠んで寄越(よこ)したか?」

「頼政殿のこと? たくさん……もうずっと昔のことだけど」


注…平安時代には文章に濁点をつけなかったので、「きりきりす」でもOKなんです(笑)


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最終更新日  2012年01月06日 16時04分19秒
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