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2014年04月09日
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カテゴリ: 羅刹
 それは藤原教通の子の藤原信長だった。

 教通は頼通の弟だから、信長は師実にとっては従兄に当たる。

 もっとも、能季の父である藤原頼宗も頼通の弟だから、能季だって師実の従兄ではあるのだが。

 ただし、頼通と教通の母は祖父藤原道長の正妻である鷹司殿源倫子で、頼宗の母は次妻の高松殿源明子だった。

 母の身分の重々しさが違うということは、この時代においては決定的な事柄だった。だから、明子腹の頼宗たち兄弟は、倫子腹の者たちとの立場の違いを、否応なく骨身に染みさせられていた。

 だが、同母の頼通と教通は違う。特に、野心家の教通は、人柄の良いおっとりとした頼通と何かとぶつかることが多かった。

 それに、頼通は正妻の隆姫との間に子供ができず、もし脇腹に師実が生まれなかったとしたら、いずれは藤原氏の氏の長者も摂関の職も教通の血筋に譲り渡される可能性も高かったのだ。現に、信長の兄の藤原信家は、頼通の養子になっている。

 だが、実子の師実が嫡子と決まったため、教通の息子たちにはその望みがなくなった。当ての外れた信長たちは、師実の地位や幸運を妬み、辛く当たったり苛めたりすることが多かったのである。

 能季はそういう信長たちの態度が嫌いだった。



 それに、能季から見れば、信長など自分よりよっぽど恵まれている。

 同じ御堂関白道長の孫でありながら……それは、能季が物心ついて以来ずっと味わわされてきた屈辱と憤懣であった。


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最終更新日  2014年04月09日 15時35分24秒
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